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表1-(3)オーストラリアの主要商品別輸出
(単位:100万豪ドル、%)
  2000年 2001年
  金額 金額 構成比 伸び率
石炭 9,339 12,488 10.2 33.7
原油 7,478 6,473 5.3 △13.4
鉄鉱石 4,429 5,231 4.3 18.1
非貨幣用金 4,952 5,154 4.2 4.1
ボーキサイト・アルミナ 4,248 4,443 3.6 4.6
小麦 3,811 4,327 3.5 13.5
アルミニウム 3,722 4,223 3.4 13.5
天然ガス 3,215 3,705 3.0 15.2
乗用車 2,270 3,051 2.5 34.4
羊毛 2,730 2,927 2.4 7.2
精油 2,889 2,709 2.2 △6.2
牛肉 2,154 2,675 2.2 24.2
合計(その他含む) 110,307 122,580 100.0 11.1
出典)JETRO貿易投資白書2002年 オーストラリア政府統計局(ABS)
 
表1-(4)オーストラリアの主要商品別輸入
(単位:100万豪ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
乗用車 7,841 8,682 7.4 10.7
原油 7,339 7,529 6.4 2.6
コンピュータ 5,479 4,832 4.1 △11.8
医薬品 3,036 3,396 2.9 11.9
通信機器 3,118 2,387 2.0 △23.5
事務機器部品 2,229 2,248 1.9 0.9
商用車 2,431 2,157 1.8 △11.3
非貨幣用金 1,642 2,151 1.8 31.0
自動車部品 2,496 2,080 1.8 △16.7
ビデオ送信機器 2,451 1,999 1.7 △18.4
精油 1,755 1,824 1.6 3.9
航空機関連部品 2,049 1,453 1.2 △29.1
合計(その他含む) 117,029 117,596 100.0 0.5
出典)JETRO貿易投資白書2002年 オーストラリア政府統計局(ABS)
 
 国・地域別に輸入をみると、輸入総額の18.2%を占める最大の輸入相手国である米国は、7.4%減であった。主な輸入品目は航空機およびその関連部品、通信機器、コンピュータ、測定機器などであるが、航空機およびその関連部品がおよそ半減している。中国は、日本に次ぐ第3位の輸入相手国で、輸出同様、増加が顕著である。主要な輸入品目は衣料品関係、スポーツ用品・玩具、履物などであるが、コンピュータが近年大きく伸びている。
 2001年の対日貿易については、輸出が前年比8.8%増の237億2,800万豪ドルと国別では最大で、第2位の米国の約2倍、輸入が0.5%減の152億5,900万豪ドルで、米国に次いで第2位となっている。また、貿易黒字は前年比で20億500万豪ドル増加し、84億6,900万豪ドルとなり、豪州にとって最大の黒字計上国となっている。
 対日輸出の最大品目は石炭で、輸出総額の24%を占めている。続いて鉄鉱石、アルミニウム、牛肉などであるが、2002年は日本の鉄鋼生産が減少すると予想されており、石炭の輸出も減少に転じると予測されている。また、日本でも発生した牛海綿状脳症(BSE)に対し、豪州産牛肉の安全性を訴えてはいるものの、牛肉輸出は著しく落ち込んでおり、回復は2002年後半になると予測されている。
 日本からの輸入については、第1位の乗用車が前年比3.5%増の48億6,700万豪ドルとなった他は、第2位の商用車、続く自動車部品ともにマイナスであった。
 外国投資審査委員会(FIRB)の年次報告書によると、認可ベースでみた2000/01年度の外国投資受け入れ額は1,063億4,100万豪ドルで、前年度比36.4%増と大幅な増加であった。一方、同年度の投資件数は、前年度比15.4%減の3,532件であった。国地域別にみると、認可額では全体の44.7%を占める米国が最大で474億9,700万豪ドル(前年度比61.7%増)、次いで英国の227億豪ドル(97.1%増)、3位がドイツの46億6,800万豪ドル(3.2倍)で、日本は26億7,900万豪ドル(77.7%増)で前年度の10位から6位となった。
 業種別にみると、サービス(観光を除く)が311億1,800万豪ドル(前年度比24.7%増)と最も多く、次いで資源探鉱・開発の鉱業が237億7,000万豪ドル(同2.3倍)、製造業の219億1,100万豪ドル(1.1%増)の順となっている。サービスが増加したのは、米ケーブルテレビ会社リバティー・メディアとメディア大手のニューズ・コーポレーションとの株式交換によりニューズ社の株式18%を取得したこと、資源探鉱・開発については、世界的な一次産品価格の低迷への対応から、豪州最大の資源会社BHPと英国ビリトンとの合併によるBHPビリトンの誕生、同じく世界最大の鉱業グループである英・豪系企業リオ・ティントによる鉄鋼会社ノース、ダイアモンド鉱山開発会社アシュトン・マイニングなどの買収によるものである。
 オーストラリア政府統計局(ABS)によると、99/2000年度の豪州の対外直接投資は国際収支ベースで、14億6,900万豪ドル(ネット、再投資を含む)で前年度比39.1%減であった。シンガポール、NZ向けなどが増加したものの、主要投資先である英国、米国、オランダ向けが大きく落ち込んだため、全体では2年連続の減少となった。国・地域別にみると、最大の投資先はNZ向けで21億1,500万豪ドル(前年度比123.6%増)であった。2位は通信規制が自由化されたことにより通信市場への投資が活発であったシンガポールで、前年度の9億5,400万豪ドルの引き揚げ超過から9億1,800万豪ドルへと大幅に増加した。3位はカナダで、これも前年度の1億2,200万豪ドルの引き揚げ超過から3億2,900万豪ドルに増加した。日本向けは、前年度の1億7,500万豪ドルから5,700万豪ドルヘ減少した。なお、これまで主な投資先であった前年度1位の米国は、2億800万豪ドルの引き揚げ超過、英国は保険・金融サービス会社コロニアルの保険事業の売却、不動産開発大手レンド・リースによるショッピング・センターの株式売却等から15億9,200万豪ドルの引き揚げ超過となった。
 また、アジア経済の回復によりASEANへの投資は、シンガポール、タイ向けが増加に転じたこともあり、前年度の3億9,200万豪ドルの引き揚げ超過から9億4,900万豪ドルの流入超過に転じた。
 最近では、豪州メディア大手のニューズ・コーポレーションが中国事業拡大の一環として中国網絡通信(チャイナ・ネットコム)に3億2,500万豪ドルを投資し、その株式の12%を取得した。また、同社傘下のフォックス・テレビジョンは2001年7月に米テレビ局グループ、クリス・クラフト・インダストリーズの買収について、米連邦通信委員会(FCC)の承認を得ている。その他では、金融総合大手のAMPが欧州事業の拡大を狙い、英金融機関のトーリー・ローを2億690万豪ドルで買収することに合意している。また、資源関係のBHPビリトンがカナダのダイアモンド鉱山会社ディア・メット・ミネラルズを8億1,300万豪ドルで買収したと発表している。
 このほか、同年9月には豪州の不動産開発大手ウェストフィールド・ホールディングスがオランダ不動産開発大手ロダムコの米国子会社ロダムコ・ノースアメリカ(RNA)の株式23.9%を9億2,000万豪ドルで取得した。また、ウェストフィールドの米国子会社(WAT)は、2002年1月に入り、RNAの資産45億豪ドル(25億豪ドルの負債を含む)を買収した。この中には14のショッピングセンターも含まれるため、WATは米国第2位のショッピングセンター所有事業者となった。
 豪州の対外直接投資を99/2000年度末時点の残高ベースでみると、1,740億4,600万豪ドルと前年度比38.1%の増加となった。投資先としては、米国が891億9,300万豪ドル(前年度比62.3%増)と最大で、2位が英国の405億8,300万豪ドル(13.9%増)、以下NZの116億5,500万豪ドル(15.5%増)と続いている。ASEANへの投資は39億3,300万豪ドル(40.4%増)と大幅に増加した。
 ABSによると、国際収支ベースでみた99/2000年度の日本の対豪直接投資額は、16億5,400万豪ドルと4年ぶりにプラスに転じた。また、FIRBの年次報告によると、2000/01年度の日本の投資認可額は、26億7,900万豪ドル(前年度比77.7%増)と増加しているが、これは特に資源探鉱・開発が7億2,600万豪ドルから18億4,500万豪ドルヘ大幅に増加したためである。
 日本の対豪投資事例をみると、大手商社によるエネルギー開発への積極的な投資が行われている。三菱商事は東京ガスと組み、ビクトリア州の天然ガス田の権益40%を取得し、西オーストラリア州の北西部沖大陸棚油田・ガス田開発では日本のMIMI(三井物産、三菱商事の合弁企業)が6分の1の権益を取傳している。丸紅と住友商事が英・豪系企業リオ・ティントと共同で進めているクイーンズランド州のボーエン炭田(推定埋蔵量は世界最大級の12億トン)開発について丸紅5.33%、住友商事2.67%の権益を取得している。2002年4月には伊藤忠商事と三井物産が、西オーストラリア州で鉄鉱山開発に着手すると発表されている。また、東京ガス、大阪ガス、東京電力なども天然ガス田の権益取得・開発を行っている。
 さらに、地球温暖化ガス排出権取引を視野に入れた植林事業については、大阪ガスと三井物産が共同で、現地に合弁会社エコ・ツリー・ファーム(資本金:約1億8,000万円)を設立(2000年10月、ビクトリア州メルボルン)し、1,000ヘクタールの牧草地に植林を行っている。総事業費は、約7億3,000万円で、2001年6月から植林を開始し、伐採後は日本製紙に全量を製紙原料として販売する。また、エレクトロニクス部品メーカーであるロームについても、1,000ヘクタールのユーカリ植林を行うこととしている。
 そのほかでは、三菱自動車工業が南オーストラリア州アデレードの現地法人(工場保有)に対して、9億豪ドルの投資を行う。一方、日系百貨店では大丸のブリスベン店(2002年1月)およびメルボルン店(2002年7月)、高島屋シドニー店(2002年1月)が撤退を発表している。
 豪州政府は、ASEAN自由貿易地域(AFTA)と「豪州・NZ経済緊密化協定(ANZCER)」の自由貿易地域との間でFTAを形成する構想が、AFTA側の意見調整に多くの時間を費やし、難航したことや、シアトルにおけるWHO新ラウンド立上げの失敗を契機に、二国間協定を積極的に推進する方向へ政策を転換している。
 東南アジア最大の貿易・投資相手国であるシンガポールとは、現在FTA締結に向けて、個々の貿易障壁の改善について協議が継続的に行われている(協議開始は、2000年11月で、これまでに7回を数える交渉が行われている)。シンガポール側のサービス分野の市場開放、豪州側では関税障壁の撤廃と知的所有権保護強化等をめぐって交渉中である。交渉日程としては、2002年12月末までにFTA締結を目指している。
 また、タイについても、FTA締結の効果・影響について事前調査を完了(調査報告書を2002年5月に発表)しており、2002年5月末に訪豪したタイのタクシン首相は「二国間の貿易拡大は投資・雇用の拡大、経済活動の活発化を意味し、両国にとって有益」と評価しており、具体的な交渉を開始することで合意した。なお、FTA締結は2005年を目指している。本FTAにかかわる事前調査によると、FTA締結後20年間の経済効果は、タイ側で252億米ドル、豪州側では66億米ドルと試算されている。
 さらに、2002年1月には米国との間においてFTA締結のための具体化への検討が開始されている。2002年6月に訪米したハワード首相は、米国連邦議会の演説において、先ごろ成立した米国の「新農業法」に懸念を表明しつつも、「FTA締結は、両国の利益につながる」と主張した。米国側でも、「両国の良好な関係からすれば、FTA締結は自然」との見方が強い。このため、米国連邦議会が大統領に通商協定のファストトラック(早期一括審議)権限を付与する「通商促進権限法案」が承認された後、FTA締結協議に入る予定である。
 日本との関係では、2001年4月の日豪21世紀会議をはじめとして、2001年10月の日豪経済合同委員会等において、両国間の新たな経済関係のあり方について議論が行われた。また、2002年5月の小泉首相訪豪の際には、FTA交渉開始の声明は出されなかったものの、経済連携に関する次官級のハイレベル協議を始めることで合意されている。
 なお、ASEAN諸国との間では、95年9月以降、NZも含めてAFTA-ANZCERの連携が検討されてきたが、2002年9月にブルネイで開催されるASEAN-ANZCER経済大臣会合で(1)非関税障壁の撤廃、(2)情報通信技術(ICT)の利用促進、(3)人材開発協力、(4)中小企業の強化など、相互の貿易促進に向けた具体策が提案される予定である。







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