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表1-(1)フイリピンの主要国・地域別輸出
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
米国 11,244 8,843 27.5 △21.4
日本 5,609 5,057 15.7 △9.8
中国 663 793 2.5 19.6
EU 6,823 6,194 19.3 △9.2
アジアNIES 5,941 4,751 14.8 △20.0
香港 1,907 1,580 4.9 △17.2
台湾 2,861 2,127 6.6 △25.6
韓国 1,173 1,044 3.2 △10.9
ASEAN 5,890 4,909 15.3 △16.6
シンガポール 3,124 2,307 7.2 △26.1
マレーシア 1,377 1,112 3.5 △193
タイ 1,206 1,358 4.2 12.6
インドネシア 183 133 0.4 △27.7
合計(その他含む) 38,078 32,150 100.0 △15.6
出典)JETRO貿易投資白書2002年(フイリピン貿易工業省)
 
表1-(2)フイリピンの主要国・地域別輸入
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
米国 5,322 4,988 16.9 △6.3
日本 6,027 6,098 20.6 1.2
中国 768 953 3.2 24.1
EU 2,974 2,751 9.3 △7.5
アジアNIES 5,514 4,816 16.3 △12.7
香港 1,217 1,259 4.3 3.5
台湾 1,948 1,607 5.4 △17.5
韓国 2,350 1,950 6.6 △17.0
ASEAN 4,795 4,378 14.8 △8.7
シンガポール 2,114 1,793 6.1 △15.2
マレーシア 1,142 928 3.1 △18.7
タイ 846 897 3.0 6.0
インドネシア 693 760 2.6 9.7
合計(その他含む) 31,387 29,551 100.0 △5.8
出典)JETRO貿易投資白書2002年(フイリピン貿易工業省)
 
 品目別では工業製品が全体の66.4%を占め、次いで天然資源製品が19.8%を占めた。エレクトロニクス製品は、半導体が前年比15.4%減と減少したが、電子データ処理部品は48.1%増の大幅増となった。日系エレクトロニクスメーカーによる輸入が増加したことが主因である。
 国・地域別輸入では、日本が2年連続の1位で、前年比1.2%増の60億9,830万ドルとなった。2位の米国は6.3%減の49億8,802万ドルとなった。一方、中国からの輸入は24.1%増(9億5,292万ドル)と高い伸びを示した。内訳は、エレクトロニクス製品が最大だが、シェアは対中輸入全体の24.9%(2億3,745万ドル)と比較的低く、織物用糸が10.1%を占めているのが特徴である。織物用糸輸入の増加は、縫製業用原料の輸入が背景にある。
 ベトナムからの輸入も急増し、前年比78.6%増の2億8,000万ドルとなった。特に、エレクトロニクス製品が1億5,414万ドルと急増した。ブリント基板(PCB)などで、ベトナムの進出日系メーカーからの輸入が急増していることが原因と見られる。2002年第1四半期の貿易は、輸出が5.3%減の81億838万ドル、輸入が2.6%減の70億8,406万ドルと輸出入ともに減少した。しかし、政府は2002年6月、通年の輸出目標を前年比0%から4%増に上方修正した。米国景気の回復を受け、輸出の回復が見込まれるというのが主な理由である。国別でみると同期の輸出は、台湾(28.3%増、6億1,580万ドル)、香港(24.9%増、4億6,779万ドル)などが増加し、中国への輸出も76.6%増(2億6,916ドル)と伸びた。品目別では、エレクトロニクス製品が4.8%減の57億3,702万ドル、衣類が19.0%減の4億6,744万ドルとなった。自動車部品は15.2%増の2億7,991万ドルであった。
 輸入では、米国(15.1%増、14億3,697万ドル)、韓国(38.0%増、5億9,717万ドル)、中国(20.2%増、2億3,316万ドル)などが増加した。日本、EUは減少し、それぞれ1.9%減(14億6,250万ドル)、17.3%減(6億2,985万ドル)となった。品目別では、エレクトロニクス製品が増加し、なかでも半導体と出入力装置がそれぞれ21.5%増、36.0%増と大幅に増えた。これらの部品は、フィリピンで加工・組み立て後に輸出されることから、今後輸出の増加も期待される。
 
表1-(3)フイリピンの主要商品別輸出
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
工業製品 29,177 23,742 73.8 △18.6
エレクトロニクス製品 27,178 21,910 68.1 △19.4
機械・輸送機器 1,366 1,269 3.9 △7.1
消費財 4,189 3,797 11.8 △9.4
衣類 2,463 2,300 7.2 △6.6
家具 381 297 0.9 △22.0
食品 1,290 1,308 4.1 1.4
天然資源製品 2,056 1,622 5.0 △21.1
合計(その他含む) 38,078 32,150 100.0 △15.6
出典)JETRO貿易投資白書2002年(フイリピン貿易工業省)
 
表1-(4)フイリピンの主要商品別輸入
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
工業製品 21,000 19,608 66.4 △6.6
エレクトロニクス製品 13,230 12,539 42.4 △5.2
機械・輸送機器 3,410 2,929 9.9 △14.1
消費財 1,398 1,357 4.6 △2.9
衣類 37 33 0.1 △10.8
家具 52 43 0.1 △17.3
食品 1,966 2,120 7.2 7.8
天然資源製品 6,510 5,859 19.8 △10.0
合計(その他含む) 31,387 29,551 100.0 △5.8
出典)JETRO貿易投資白書2002年(フイリピン貿易工業省)
 
 政府は2002年に入り、三つの行政令(EO)を発令し、関税率引き下げを実行した。まず、EO83では国内産業の競争力強化を目的とし、食品加工用原料、工業製品を対象に177品目(HSコード8ケタ)の関税率を0〜5%に引き下げた。また、EO84では農産品60品目を対象に、2004年までに関税率を3〜50%と段階的に引き下げることを決めた。EO91では輸入原材料、中間財、機械および同部品など合計787品目の関税率のほとんどを現行の3%から1%へ引き下げた。2002年6月には、輸出振興策として「フィリピン輸出開発計画2002-2004」が承認された。同計画は既存の輸出市場に加え新規の輸出拡大を狙ったもので、これまで未開拓の中東や東欧、アジアをターゲットに輸出促進が行われる。同計画では、2004年までに530億4,500万ドルの輸出目標額が設定されている。
 同年5月には、米国上院がフィリピンヘの特恵関税措置を含む包括貿易法案を承認し、フィリピンに対する同措置の継続がほぼ確実となった。同措置は、前回の措置が失効した2001年9月30日にさかのぼって適用され、期限は2006年の12月31日までとなる。今回の決定により今後の輸出拡大に期待が寄せられる。2001年6月には、中部ギマラス島産のマンゴーに害虫のゾウムシがいないことが確認され、米国向け輸出が解禁された。一方、政府はバナナ、パイナップル、マンゴーなどのフィリピン産果物の輸出をめぐり、オーストラリアと協議を続けている。現在、オーストラリア政府はフィリピン産果物の輸入に際し、輸入危険分析調査(IRA)を実施している。また、同政府のフィリピン産バナナに対する疫病への懸念も明らかになっている。フィリピン政府は、オーストラリア側が国内バナナ生産者の保護を優先していると指摘している。両国間の貿易においては、フィリピンが一方的な赤字となっており、貿易不均衡が問題となっている。
 政府は1999年から2000年にかけてWTO協定に沿った貿易関連法の整備を進めており、アンチダンピング法(99年8月)、相殺関税法(同年8月)、セーフガード法(2000年7月)を施行している。2001年のアンチダンピング案件は、中国の板ガラス、台湾の冷延鋼板、韓国のポリプロピレン、タイの塩化ビニール製品、マレーシアの冷延鋼板の5件であった。このうち、タイの塩化ビニールとマレーシアの冷延鋼板への課税が決定されたが、冷延鋼板については、同種鋼板を製造するフィリピン国家鉄鋼公社が操業を停止しているため課税停止となっている。
 2001年のセーフガード案件は、セメント、セラミックタイルの2件であった。セメントのケースは、貿易工業省が関税委員会の勧告を受け、セーフガードを解除したのに対し、セメント製造業者組合が裁判所に提訴したものであるが、同裁判所が解除の一時差し止め命令を発令したため、本件は未処理となっている。セラミックタイルに対しては、2001年12月に貿易工業省が関税委員会の調査結果を受け、セーフガードを暫定発動した。2002年4月には、数量制限を除きセーフガードを本格発動することが決定された。
 政府は2001年11月、ASEAN自由貿易地域への取り組みとして、共通効果特恵関税(CEPT)スキームに関しEO49を発令、関税率の引き下げと未加工農産品および一般的除外品目を適用品目へ移行した。2002年1月現在でCEPT対象品目は5,576品目、そのうち関税が5%以下の品目は5,370品目で全関税品目の96%に相当する。暫定的除外品目であった砂糖についても、インドネシアとともにセンシティブリストヘ加えることを要求し、2001年9月に開催されたASEAN経済担当相会議において原則承認された。なお、高度センシティブ品目とされるコメの関税化については、依然確約をしていない。
 2001年11月には、中国・ASEAN自由貿易地域(FTA)の創設に合意した。中国とのFTA交渉に対し政府は、(1)交渉には時間がかかる、(2)中国側が関税率をフィリピンと同レベルまで引き下げる必要がある、(3)産業界としては、中国市場への参入を奨励するとの考えを示している。特に、中国市場の開拓に積極的で、2000年に広州総領事館を、2002年に入って上海総領事館を開設するなど、中国市場の情報収集を強化している。
 フィリピンは、小泉首相が2002年1月のASEAN歴訪の際に発表したASEANとの包括的経済連携構想に関心を示している。両国の貿易関係は、工業製品分野は補完関係にあり、双方とも農業分野に慎重な扱いが必要と利害が一致する。また、フィリピン政府がIT振興を進めていることから、財だけでなくサービス貿易を加えたFTAを検討している。最大の貿易相手国である米国についても、2002年にFTA協議に入ることが決定した。
 2001年6月には、電力産業改革法が成立した。同法は、電力事業を発電、送電、配電、供給の4部門にわけ、送電部分を除き市場参入を自由化するものである。現在、国家電力公社の発電部門の民営化と、送電部門の分割民営化が検討されている。政府は、民営化にあたり外資の参入を歓迎しており、欧米系企業を中心に関心が集まっている。現在フィリピンの電気料金はアジアで日本に次ぐ高さとなっているが、参入自由化により、電気料金の引き下げと電力の安定供給が期待されている。
 2001年9月には資金洗浄防止法(反マネーロンダリング法)が成立した。同法の狙いは、不正な資金の流れを監視し、犯罪組織などの資金の流出入を防止することで、違法活動として、営利目的の誘拐、麻薬取引、汚職など14項目があげられている。
 規制緩和が進む一方で、外国進出企業の間では増加する労働争議に対して、政府の取り組みが適切でないとの不満が高まっている。また、労働雇用省は2002年2月に省令(D018-02)を発令し、「労働のみを対象とする契約」(Labor Only Contracting)を禁止した。同契約は労働者の保護を目的としており、定義は、(1)下請け企業が請け負った業務に関連する実質的な資産、設備を保有せず、かつ、下請け企業の労働者が元受け企業の主要業務に直接関与する場合、(2)下請け企業が、同企業の労働者に対して、権利行使できない場合となっている。これに対し産業界では、需要に応じた生産体制が組めないなどの声があがっている。
 なお、フィリピン政府がWTOに対し延長要請を行っていた、自動車産業に対するローカル・コンテンツ規制(国産部品調達義務)と外貨獲得義務については、2003年6月末に廃止することとなった。政府は、それまでに、両規制を段階的に引き下げていく。
 2001年の対日貿易は、輸出が前年比9.8%減の50億5,740万ドル、輸入が1.2%増の60億9,830万ドルとなった。貿易収支は10億4,090万ドルの赤字となり、5年ぶりに貿易赤字が拡大した。
 輸出を品目別にみると、全体の約6割を占めるエレクトロニクス製品が前年比7.8%減の32億2,324万ドルとなった。2001年は、日本の景気低迷を受け、ほとんどの品目が前年比減少となった。
 輸入を品目別に見ると、全体の93%を占める工業製品が1.4%増の56億7,082万ドルとなった。工業製品の内訳は、エレクトロニクス製品が13.5%増の34億9,024万ドルであった。これは、電子データ処理部品の増加によるものである。自動車部品をはじめとする一般機械・輸送器機は全体の21.3%を占め、13億83万ドルとなった。
 2002年に入っても日本向け輸出は回復せず、第1四半期は前年同期比15.6%減の12億5,978万ドルとなった。全輸出の67.3%を占めるエレクトロニクスが11.8%減と振るわなかったためである。一方、輸入は電子データ処理部品が前年同期比10.4%増と好調だった。全体では前年同期比で1.9%減の14億6,250万ドルとなった。







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