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 主要商品別では、石油製品、穀物、木材、鉄鋼等の輸入数量が増加しているが、国際商品市況の下落により輸入金額は相対的に低い伸びとなった。原油は数量14.2%、金額で21.5%減とともに大きく減少した。機械電気製品では、機械設備が406億ドル(17.8%増)、電気・電子は559億ドル(10.1%増)となり、部品を中心に大幅に増加した。うち基幹部品であるICは24.8%増となった。ハイテク製品は消費水準などの向上により641億ドル(22.1%増)に達している。
 WTO加盟に伴い、中国は加盟国の一員として関税引き下げなどの約束を履行する一方、WTOが認める権利を行使して国内産業を保護することが可能になった。実際、WTOに加盟してから中国が提訴するアンチダンピング(AD)案件が急増している。中国は97年にAD法を制定して以来、累計19件のAD提訴を実施しているが、その中の7件がWTOに加盟後、半年の間に提訴されたものである(2002年5月末時点)。
 
表1-(3)中国の主要商品別輸出
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
一時製品 25,458 26,353 9.9 3.5
 食品、動物・動物製品 12,282 12,779 4.8 4.0
 飲料・煙草 745 874 0.3 17.3
 食品以外の原料 4,464 4,173 1.6 △6.4
 鉱物油、潤滑油関連原料 7,851 8,416 3.2 7.1
 動植物油脂・ 116 110 0.0 △4.6
工業製品 223,754 239,802 90.1 7.2
 化学品及び関連製品 12,098 13,354 5.0 10.4
 紡績製品、ゴム製品、鉱産物製品 42,550 43,823 16.5 3.0
 機械・輸送設備 82,602 94,918 35.7 14.9
 雑製品 86,283 87,123 32.7 1.3
 未分類のその他製品 221 584 0.0 14.0
合計 249,212 266,155 100.0 6.8
出典)JETRO貿易投資白書2002年
 
表1-(4)中国の主要商品別輸入
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
一時製品 46,740 45,774 18.8 △2.1
 食品、動物・動物製品 4,758 4,976 2.0 4.6
 飲料・煙草 364 412 0.2 13.0
 食品以外の原料 20,004 22,128 9.1 10.6
 鉱物油、潤滑油関連原料 20,637 17,495 7.2 △15.2
 動植物油脂・ 976 763 0.3 △21.9
工業製品 178,357 197,840 81.2 10.9
 化学品及び関連製品 30,213 32,106 13.2 6.3
 紡績製品、ゴム製品、鉱産物製品 41,807 41,939 17.2 0.3
 機械・輸送設備 91,934 107,042 43.9 16.4
 雑製品 12,750 15,076 6.2 18.9
 未分類のその他製品 1,653 1,677 0.7 △2.7
合計 225,097 243,513 100.0 8.2
出典)JETRO貿易投資白書2002年
 
 AD調査対象製品の分類をみると、化学製品が14件と大半を占めており、続いて鉄鋼製品が3件、紙製品が2件となっている。また、これまで最終決定がなされた案件はすべて「クロ」の判定が下されており、2001年12月6日の仮決定で出されたポリスチレンに関する判定がこれまでで唯一の「シロ」判定である。これまで調査対象となった国で中国による提訴件数が最も多いのは、韓国の15件である。次いで、日本が9件、米国が7件の順となっている。
 中国のWTO加盟以降、「AD条例」が2002年1月1日に施行された。この中で述べられているAD調査に関する法的枠組みの主な変更点は、次の2点である。第1に、調査開始決定の期限についてこれまで具体的な設定はなかったが、今回の規則では調査開始申請受理後60日以内と規定されている。そのため、中国政府は、調査の開始決定に際してこれまで以上にスピードが要求されることになる。第2に、調査対象について、これまで「国」であったのが、「国・地域」に変更された。この措置は調査対象に台湾を含めることを念頭においたものとみられる。実際、2002年3月23日に調査が開始された冷延鋼板、同年3月29日に開始されたポリ塩化ビニールの対象国にはともに台湾が含まれている。
 また、中国政府は、2002年5月24日、WTO加盟以降初めて鉄鋼製品に対する暫定的緊急輸入制限(セーフガード)措置を発動した。発動期間は180日間で、対象品目は普通鋼厚中板、普通鋼薄板類など9品目となっている。今回の措置は、同年3月に米国、EUが相次いで鉄鋼に対するセーフガードを発動したことを受けたもので、米国やEUから締め出された鉄鋼製品が大量に中国に流入し、国内産業に悪影響を与えることを懸念したための措置とみられる。
 中国の通商政策はWTO加盟が視野に入ってきた2000年末ごろから、姿勢に変化がみられるようになった。2000年11月の中国・ASEAN首脳会議で、朱鎔基首相は中国とASEANとの自由貿易地域設立を提案した。それを受けて、専門化グループが設立され、自由貿易地域設立について検討がなされた。その報告書(Forging Closer ASEAN-China Economic Relation in the Twenty-first Century)は、2001年11月の中国・ASEAN首脳会議に提出され、これに基づいて10年以内に中国・ASEAN自由貿易地域を設立することが合意された。
 2002年5月に北京で中国・ASEAN自由貿易地域(FTA)に関する高級事務レベル会議が開催された。同会議では、2002年11月にカンボジアで開催される中国・ASEANサミットで枠組み協定を締結することで合意した。枠組み協定とは協定の原則、目的、内容、スケジュールなどに関し、あらかじめ合意事項を協定化することで、今後の交渉の中で一つの鍵となる。
 その他の国・地域との経済統合も動き始めている。中国と香港は2001年12月19日の江沢民、董建華の会談で、香港側から提案していた中国との自由貿易区の設立について合意した。その後、2002年1月25日に開催された高級事務レベル会談では、5項目の原則が合意され、締結する関連協定を「中国と香港との経済・貿易関係を一層緊密化させる協定」(CEPA: Closer Economic Partnership Agreement)とした。その性格に関しては、5項目の原則の第1項で、「WTOルールと一国二制度に合致し、国家主体と独立関税地域間の経済・貿易関係の協定とする」ことをうたっている。具体的には商品貿易およびサービス貿易の障壁を除去し、貿易・投資を円滑化することを目指す協定で、FTAを包含するものとみられる。なお、中国政府は香港とのCEPAをマカオを含めた自由貿易圏構想の一環として進める方針であることを明らかにしている。
 日本との関係では、日中韓経済協力構想があげられる。これは、99年11月の日中韓3国首脳会合で提起され、韓国の金大中大統領の提案で3カ国間の経済協力強化につき共同研究していくことで合意した。最初の2年間は貿易・投資を研究課題とすることで合意し、その報告書は2001年にブルネイでの日中韓首脳会合に提出されている。共同政策提言は貿易の円滑化に直接関連する政策措置と、より幅広い政策措置の2本立てとなっているが、日中韓FTAに言及するまでには至っていない。
 中国は、GATT加盟交渉開始から15年経った2001年12月11日に、WTOへの正式加盟を果たした。WTOは、WTO設立に関する協定(いわゆるマラケシュ協定)のほか、いくつもの協定によって構成される。WTOの加盟国は、加盟と同時に、これらの協定を原則として一括して受諾することが要求される。中国も、WTO加盟に伴い、これら協定の規律を受けることになった。その主なものとして、GATT(関税および貿易に関する一般協定)、GATS(サービス貿易に関する一般協定)、TRIM(貿易に関連する投資措置に関する協定)、TRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)などがあげられる。対外貿易経済合作部によれば、2001年末までに中央政府、各部門が見直しを行った法令は合計で2,300本、うち廃止が830本、改正が325本に上ったといわれる。
 このうち、投資関連では、外国企業が対中投資を行う際の基本法である「中外合資経営企業法」(合弁法)、「中外合作経営企業法」(合作法)、「外資企業法」(独資法)の3法とその実施細則が2000年から2001年にかけて改正された。主な改正点は、(1)外貨バランスの維持義務の廃止、(2)ローカルコンテンツ(現地調達率)要求の廃止、(3)輸出義務要求の撤廃、(4)各企業の生産経営計画の政府への届け出規定の削除などである。
 2001年9月に外国企業のさまざまな投資に対応するため、新たに「外商投資ベンチャーキャピタル設立に関する暫定規定」が施行された。これによって外資が単独あるいは中国企業と共同で、中国国内でベンチャーキャピタルの設立が許可されることとなった。
 また、WTO加盟後の2002年4月には新しい「外商投資の方向を指導する規定」、「外商投資産業指導目録」が施行された。これにより、95年公布の旧規定および98年施行の旧目録が廃止・改正された。
 新たな規定の改正点は、(1)制限類の分類方法の変更、(2)奨励類・制限類に関する審査認可権限の緩和、(3)中西部への投資誘致のさらなる強化が特徴である。また、新たな指導目録で外資を積極的誘致するために奨励類が86項目から262項目に大幅に増える一方、制限類が112項目から75項目に減少した。具体的には、自動車・オートバイの完成車・エンジン・重要部品の製造、一般商品の卸し売り・小売りおよび物流配送、会計などが制限類から奨励類に変更され、従来禁止されていた大中都市一のガス、上下水道供給管網の建設・経営、電信業務、映画の上映などの業種が制限類になり、外資の参入が可能になった。このほか、同指導目録には電気通信、流通、金融などサービス産業に関する外資の市場アクセスについてもスケジュールが明記されている。
 財務省貿易統計(円べース、確定値)を基にジェトロがドル建て換算したところ、2001年の日中貿易総額は892億ドル(前年比4.0%増)であった。同伸び率は99年の16.3%、2000年の29.5%から大きく鈍化したものの、3年連続で過去最高額を更新した。
 2001年の日本の対世界貿易が、輸出で前年比15.7%減、輸入で7.9%減と低迷するなか、対中貿易は、伸び率は鈍化したものの、上位5カ国・地域の中では唯一輸出入ともに増加した。日本の貿易相手国・地域別順位では、中国は輸出で初めて2位(前年は4位)に躍進したほか、輸入でも前年同様2位となった。この結果、日本の貿易総額全体に占める割合は11.8%と、初めて10%を突破した。
 うち輸出は311億ドル(2.2%増)で、伸び率は、前年の30.4%から大きく落ち込んだものの、98年以降3年連続で増加した。一方、円べースでは15.0%増、数量べースでは9.1%増といずれも堅調な伸びをみせた。ドルベースで輸出が伸び悩んだ主な要因としては、(1)IT需要の落ち込み、(2)日本企業などによる中国への生産拠点シフトの加速化に伴い、半導体等電子部品、事務用機器部品などの輸出が2001年下半期に減少、音響・映像機器の部品については通年べースでも減少したこと、(3)日本が発動した農産物3品目に対する一般セーフガード暫定措置への中国側の特別関税措置により、2001年下半期に携帯電話、自動車の輸出が急減したこと、(4)円べースで15.0%の輸出増が、円安(IMF方式で、前年比11.0%円安)で相殺されたこと等があげられる。
 輸入は581億ドル(5.1%増)と、伸び率は、輸出同様前年(29.0%増)から鈍化したものの、98年以降3年連続で増加した。一方円べースでは18.3%増、数量べースでは8.3%増と依然堅調な伸びを示している。輸入の伸び率が鈍化した主な要因としては、(1)前年まで大きく伸長した繊維製品輸入が、日本市場の一服感を受け、横ばいとなったこと、(2)機械機器の輸入が、日本経済の低迷の影響を受け14.3%増と伸び率が減少したこと、(3)円べースで18.3%の輸入増が、円安で相殺されたこと等があげられる。
 日本の対中貿易赤字はさらに拡大し、2000年比約21億ドル多い270億1,402万ドルと過去最大となった。国・地域別で中国は94年以来、日本にとって最大の貿易赤字相手国となっている。
 機械機器の対中輸入額は165億ドル(前年比14.4%増)と堅調な伸びを示した。この結果、対中輸入総額に占める機械機器のシェア(28.5%)は、最大の輸入品目である繊維製品のシェア(29.1%)に肉薄した。機械機器の輸入が伸びた背景としては、日本や台湾などにある生産拠点の中国へのシフトが進み、その完成品などの輸入増加などがあげられる。一方、繊維製品は、近年日本で販売が急増した衣料品などを中心とした、低価格で良質の中国製品の需要が一服感を示し、輸入が伸び悩んだ。
 日本側が農産物3品目について発動した一般セーフガード暫定措置(2001年4月23日より発動)、それに対抗する中国側の特別関税措置発動(同年6月22日より発動)問題は、調査最終期限である同年12月21日、日中閣僚協議により、(1)日本側のセーフガードの本発動見送り、(2)中国側の特別関税措置の撤廃(同年12月27日に撤廃)、(3)農産物貿易問題を協議する「農産品貿易協議会」を設置することで最終決着した。







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