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II. 造船技術の発展
1. 設計能力の向上
 生産性と生産の質を向上させるためには設計作業にソフトウェアを適用することを考慮する必要があり、また研究開発や標準化の検討にも特に考慮を払わなければならない。
 現在ベトナムには約10社の設計企業があり、うち1社は日本との合弁企業、また国の造船科学技術研究所も設計を行っている。
2. ITの応用
 船体の線図作成にCAD/CAMソフトウェアを適用すれば作業を迅速化することができる。2002年にヴィナシンのITセンターの他、Bach Dang Shipyardなど一部の造船所でも線図作成に自動プログラムを適用し、成功を収めた。
 ヴィナシンはさらにLAN設置の準備作業を全面的に進めている。ヴィナシン傘下の企業間における科学、技術、市場、製品に関する情報の交流を促進するために、現在ウェブサイトの立ち上げに取り組んでいて、これはベトナム造船業の能力を世界市場にあまねく認識させるのに役立つものと期待されている。
3. 曳航水槽
 ヴィナシンでは曳航水槽を研究し、これを設計、建造した。15,000T型の船舶用にCADソフトウェアを開発し、大小さまざまな船舶、また単純な船種から高度な船種に至るまで、いずれにも高度技術を採用するためにこのプログラムをインストールした。6,500T型、11,500T型、高速鋼船、アルミ合金船、3,500T型タンカー、吸上式浚渫船、定期客船、タグ、バージ等、いずれも国際基準にしたがって、輸出向けに建造している。
 
III. 今後のヴィナシンの発展方向
2003-2005年期の発展方向
 今後2年間にベトナム造船業では、あらゆる船種を国内船主向け、輸出向けに建造可能とするために、投資、開発が実施される。
a)新造船
- 6,500DWT型貨物船
- 2,500m3型LPG運搬船
- 120人乗り高速客船
- 13,500T型タンカー
- 能力1,500m3/h級の浚渫船
- 出力3,200HP級のタグ
- 3,800T級のパイプ敷設クレーン
- 高速巡視艇
- 15,000T型のガソリン補給用バージ
- 出力600HP級の複合漁船
b)修繕船
- 50,000DWT〜400,000DWT型の全船種
- オフショア掘削プラットホーム
- ジブ式掘削プラットホーム
 
 ベトナム国内がベトナム海運公社向けに建造予定の32隻の船舶の要目は下表の通り。
 
番号 船種・船型 主要寸法
1 3,600T〜4,000T型貨物船 全長=89.37m 垂線間長=83.50m
幅=14.5m 深=7.10m 吃水=5.57m
2 6,300T型貨物船 全長=102.79m 垂線間長=94.50m
幅=17.0m 深=8.80m 吃水=6.90m
3 12,500T型貨物船 全長=136.7m 垂線間長=126.0m
幅=22.0m 深=10.5m 吃水=7.6〜7.7m
4 20,000T型貨物船 全長=154.75m 垂線間長=143.50m
幅=23.70m 深=13.0m 吃水=9m
 
IV. むすび
 ベトナム政府は船隊整備のための新造船計画を承認した。2005年には以下の32隻の船舶が竣工する予定である。
- 3,600T型1隻および4,000T型3隻の貨物船をBen Kien造船所が建造
- 6,500T型10隻および20,000T型4隻の貨物船をBach Dang造船所が建造
- 12,500T型貨物船8隻をHa Long造船所が建造
- 20,000T型貨物船4隻をNam Trieu造船所が建造
- 1,700TEU型コンテナ船2隻をHa Long造船所が建造
 全般的に見て、ベトナム造船業は国内外の市場における地位を段階的に固めつつある。
 
 わが国は開放政策を取っていて、今後のチャンスをつかみ、課題に取り組む上で手を携えようという新たなビジネス・パートナーを歓迎するものである。







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