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水はどうしているの?
 
 昔は、出港するときにタンクに大量の水をため、シャワーには雨を利用していました。最近は、「造水機(ぞうすいき)」というもので、海水を蒸発(じょうはつ)させたり、水分だけを通すシートに海水を通して真水をつくっています。しかし、それでも船上では水に限りがあるので、みなさんで協力して節約をすることが大切です。
 ちなみに「ふじ丸」では、一日に50トンの真水がつくられます。
 
船は前にしか進めないの?
 
 船は前にしか進むことができないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。現在は、ふじ丸をはじめ、ほとんどの客船に「サイド・スラスター」と呼ばれる装置(そうち)がついています。船の底の部分に横向きのトンネルがあって、その中に電動プロペラが付いています。プロペラを回すと横向きの水流が起こって推力(すいりょく)がはたらくので、船は横に進むことができます。
 ちなみに「ふじ丸」は「サイド・スラスター」を船の前の方に装備しているので、「バウ・スラスター」と呼びます。
※船の前方部分を「バウ」、後方部分を「スターン」と呼ぶ。
 
トイレはどんなシステムになっているの?
 
 船内のトイレから出る汚物(おぶつ)は、ろ過して水だけを海に排出する方法と、帰港した時に陸に揚げて(あげて)、陸上で処理をする方法があります。
 ちなみに「ふじ丸」では、塩素(えんそ)で殺菌処理(さっきんしょり)をして海に排出しています。
 
客船のプールが小さい理由
 
 客船のプールがあまり大きくない理由は、船が揺れる(ゆれる)ことと関係しています。航海中の船はどうしても揺れるものです。そのとき、船の揺れとプールの水の揺れが一致(いっち)をすると、「同調(共振)現象(どうちょうきょうしんげんしょう)」というものが起こって、プールの水が大暴れ(あばれ)してしまいます。ちなみにお風呂も同じですから入浴(にゅうよく)するときは注意をしてくださいね。
 このような理由から、船のプールは危険を避けて(さけて)小さくつくられています。でも、船の上にプールがあるだけでも十分ですね。
 
 
 
船酔い(ふなよい)ってやだな
 
 船旅で心配なのは船酔いですね。船酔いは、波によって船が揺れ、とくにその上下動が大きいときにかかりやすいといわれます。ではなぜ気持ちが悪くなったり、吐いたり(はいたり)してしまうのでしょう。
 これは、「脳(のう)の中で情報が混乱(こんらん)するからだ」と考えられています。耳の奥では、「耳石(じせき)」というものが体の上下動を感知(かんち)して、その情報を脳に送っています。また、目からは運動しているかどうかという情報が脳に送られています。揺れている船内で、テレビや本などをじっと見ていると、耳からは「体が動いています」という情報が脳に送られるのに対して、目からは「今は動いていません」という情報が送られます。この時、脳は二つの違った情報に混乱して、気持ちが悪くなるようです。
 では、ここで船酔いを防ぐ(ふせぐ)方法を紹介(しょうかい)します。まず、一番大切なことは体調の管理です。できるだけ睡眠(すいみん)時間を多くとって、食事もきちんと食べましょう。もし、気分が悪くなってきたら、お茶などを飲んで、ベルトをゆるめてお腹をらくにしてあげましょう。
 次に、酔い止め薬を飲んでおきましょう。乗船する2、3時間前には薬を飲んで万全(ばんぜん)にそなえるのがいいでしょう。
 そして最後に、船酔いをしそうになったら、体をちょっと動かしたり、友達とお話しをして気をまぎらわせることが大きなコツです。船乗りさんでも船酔いをするそうです。船が揺れている状態に体が慣れる(なれる)まで、ちょっとだけ我慢(がまん)することも大切なことです。
 







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