日本古来からの短文芸としては、川柳は短歌や俳句と比べて比較的新しい文芸であり、ジュニアの方達には馴染みの薄い存在と思われてきました。

　しかし、川柳は十七音調の定型式の外は季語などの制約はありません。表現も話し言葉であり、着想も人情や風俗など、身近な生活の様子や思っていることを自由に綴ればいいのです。

　私たちの生活では、汚いものより美しいもの、苦しいことより楽しいこと、悲しいことより嬉しいこと、悪より善、そんな生活の向上を願うこころを持っております。川柳はそんなこころの詩ですから、最適の文芸としてジュニア川柳の種を蒔こうと思いました。又、川柳はジュニアのみなさん達に、書くこと、考えることに馴れてもらって情緒を安定させてもらう効果も大きいと思います。

　平成十四年、全日本川柳沖縄大会でジュニア川柳の募集をしました。初めて作り方を教えられて集まった作品は、愛郷心が強くて、未来志向の平和願望のよい作品が沢山ありました。

　平成十五年の全日本川柳香川大会では、ジュニア川柳に対して八二三名の参加があり、ジュニアらしい明るい楽しい作品がそろいました。

　こころを豊かにして、国際的なユーモアの感覚を養う文芸として川柳の更なる発展をさせたいと願っております。

　日川協では、ジュニアのみなさんに川柳を良く理解してもらい、好きになってもらうためにこれからもなお一層力を尽くしたいと思っております。

　

　

　

　

　むしろ遅きに失した感があるが、当協会としては初めてのジュニア川柳作品集を刊行することとした。五七五のリズムさえ守ればほかに季語や切れ字などの約束事もなく、自由に思ったこと、感じたことを表現できる川柳という文芸は、他の短詩形に比べても優れて青少年向きであるということが言える。

　これまで当協会の全国川柳大会でも部分的にはジュニア作品を募集してきたことはあるが、組織的な募集としては国民文化祭のほうがむしろ先行してきた。しかし、二〇〇二年の沖縄大会以降は当協会としても毎年作品募集し、二〇〇三年にはインターネットにジュニア向けのホームページを設け、定期的に作品募集を行ってきている。

　これまでに寄せられているジュニア作品は小中学生らしい感性をもった新鮮な作品が少なくなく、そのような詩的表現力を養うことは、小中学校の国語教育あるいは生涯学習の視点からもきわめて意義あるものと思われるのである。既にジュニア川柳の体験学習をしているいくつかの地域からは、少年少女たちのものを見る眼が深くなった、言葉の選択が適切になった、表現のリズム感覚が向上した、などという効果が報告されているほかに、親子の対話や高齢者との会話がふえ、地域のコミュニケーションが盛んになった、などという思わぬ効果も生まれている。

　今後は、こうしたジュニア川柳の活動を点から面に広げていくとともに、近い将来にはジュニアを対象とする全国川柳大会の開催をも企画していくことが望ましいと思われる。この作品集がそのワンステップになれば幸いである。

　なお、この作品集の刊行については、日本財団の助成を頂いており、ここに改めて感謝の意を表したい。

　

　

　

　

　

◎おべんとうなかみはないしょピクニック　愛媛　小野小3　尾花　英里香

◎おべんとうおうちのごはんよりうまい　愛媛　小野小2　加山　恭佑

◎おべんとうのぞいてみたいいいにおい　愛媛　小野小4　成谷　美咲