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第二十七回
全日本川柳二〇〇三年香川大会入選句
第1部 事前投句
第1部
「橋」
大阪 田中新一 選
トンチでは渡れず金を払う橋 茨城 小松弘二
 
正直に生きたいけれど揺れる橋 鳥取 下田幸子
 
渡るたび成長させてくれる橋 栃木 塚本勘平
 
合掌をして人情の橋渡る 兵庫 古川奮水
 
滅びゆくひとを見ている長い橋 愛知 柳 圭
 
壷ひとつ満たして渡る終の橋 京都 藤田芳郎
 
憶病な橋でいつでも揺れ過ぎる 宮城 あきたじゅん
 
バカヤロー橋の上から解き放つ 千葉 阿部巻彌
 
正解が欲しくて橋を折り返す 徳島 河野花枝
 
十字架を背負う勇気の橋渡る 香川 高橋四シ子
 
正論は曲げず吊り橋渡り切る 佐賀 小松多聞
 
橋渡り女は過去を消したがる 徳島 増田淳子
 
咳一つ落として通る夜の橋 北海道 荒川 信
 
錯覚の橋を渡って蝶になる 富山 酒井清二
 
迷いから覚めたら橋の高いこと 広島 大森昭恵
 
朽ちかけた橋の向こうにあるチャンス 青森 田鎖晴天
 
旧姓にかえる覚悟の橋渡る 青森 菊池ふみを
 
過疎地から位牌を抱いて橋渡る 香川 本条真子
 
橋渡る時計の針は戻らない 岐阜 阪本幸子
 
この橋を渡り切ったらもう泣かぬ 大阪 西森絹子
 
義理の手もつなげば心通う橋 愛媛 川添アイ子
 
橋を描くきっと友達欲しいんだ 埼玉 深町金鳥
 
しがらみがこの橋だけを渡らせる 山梨 浅川和多留
 
気配りの橋架けてから風光る 広島 大河遊歩
 
浮き橋が渡してくれた飢餓の海 埼玉 鈴木達夫
 
原点に戻る勇気を試す橋 和歌山 那須ひさし
 
橋一つ渡って風を変えてみる 佐賀 西崎久美子
 
老人を笑うな何時か渡る橋 神奈川 橋場 基
 
煩悩の橋を行ったり来たりする 埼玉 木崎栄昇
 
子がかけた橋で素直に背を伸ばす 静岡 松下春江
 
橋の向こうに別のわたしを置いてくる 愛媛 合田繭子
 
ときこころ流れるものを惜しむ橋 山口 白坂としお
 
喝采がほしくて渡る橋がある 兵庫 仲平昌美
 
口数で勝ったが戻る橋がない 岐阜 加藤友三郎
 
白線を流した橋にある決意 茨城 山本満喜代
 
この橋を渡れば僕の正念場 愛知 山本隆子
 
弥陀の橋写経の筆が無と歩く 長野 佐藤秀治
 
土の橋無口のままで朽ちるのか 三重 本多和子
 
恩をみな返して渡る土の橋 大阪 辻 香豊
 
安楽死考えながら橋渡る 長野 石井天童
 
髪型を変えて再起の橋に立つ 福井 小堀小次郎
 
旅人は別れ上手に橋渡る 東京 秋野康夫
 
海跨ぐ橋花嫁はもう泣かぬ 滋賀 遠山あきら
 
花嫁を励ましている村の橋 茨城 佐瀬貴子
 
子の渡る橋の軋みを受け止める 広島 河崎和美
 
子が渡り終えて確かな夫婦橋 秋田 加藤星花
 
落書きを消すのが惜しい橋の下 大阪 濱田良知
 
後悔はしたくないので橋渡る 香川 山口孝子
 
橋いくつ渡れば越える父の背な 和歌山 小山太一
 
橋の袂で旧いわたしを脱ぎ捨てる 広島 中山美喜
 
平凡な橋で夫婦が手をつなぐ 大阪 米澤俊夫
 
濁流の橋で耐えてる父の杭 宮城 十二佳句
 
朽ちるとも妥協はしない父の橋 神奈川 清水潮華
 
おしどりもいつか別れる橋がある 大阪 田中美弥子
 
年金につなぎつなぎの橋かける 沖縄 渡嘉敷唯正
 
日めくりをつなぐ夫婦の丸木橋 新潟 木村直司
 
岸恵子もばあさん役か数寄屋橋 兵庫 永松凱子
 
橋の腹船の煙にくすぐられ 山口 小西仙楽
 
サバイバルゲームに架ける丸木橋 香川 安田翔光
 
丸木橋父の背を見て子も渡る 山梨 佐野越子
 
どんな橋渡るか重い千歳飴 岩手 畠山軍子
 
ナンパ橋おばちゃんだって用がある 和歌山 山西佳子
 
決断が出来ると長い橋でない 石川 酒井路也
 
合格の嬉しい橋を子と渡る 宮城 早坂敦子
 
修理費は惜しんでならぬ夫婦橋 富山 結城健治
 
揉めながら妻と渡った橋の数 大阪 海老池 洋
 
愛憎を越えて夫婦の渡る橋 東京 中川英巳
 
人形になって渡った橋の数 大阪 大橋鐘造
 
ほほえんで心に橋を架けてゆく 兵庫 木村貴代子
 
こころから心へ架ける手話の橋 石川 吉本君枝
 
橋桁に浮き世の義理が流れつく 千葉 太田ヒロ子
 
農を継ぐ覚悟で村の橋渡る 茨城 長山茂寿
 
思春期の微熱は橋を駆け抜ける 福島 安藤きよ美
 
目をつむり情念の橋かけぬける 広島 橋川卓郎
 
星に住む妻との橋は壊せない 茨城 市毛英太郎
 
父と娘の溝ヘメールが橋渡す 鳥取 有沢せつ子
 
赤ちゃんが生まれ嬉しい橋渡る 島根 山藤照恵
 
車椅子に板一枚の橋を置く 大阪 山本半銭
 
語り部が囲炉裏にかける温い橋 千葉 福島久子
 
行く橋も帰る橋にも遍路笠 東京 鈴木きよし
 
鉄橋の音が聞こえて雨になり 静岡 鈴木田鶴子
 
やすらぎの風を抱いてる母の橋 大分 姫野正夫
 
母さんが家族全部をつなぐ橋 埼玉 山本秀樹
 
この橋を渡って街は子を奪う 広島 河内郷輔
 
木の橋は消えて人情うすくなる 香川 河口節子







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