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(2)KGPS測位システム及び解析結果
 GPS測位は、電離層や対流圏の影響による電波の遅延誤差を除去する必要がある。今回のK-GPS測位は、移動点と、その近傍の国土地理院電子基準点でのGPSの搬送波位相観測データを使用し、誤差補正を実施した。
 
(1)データ取得
 K-GPS測位のデータ取得方法を図66に示す。
 
図66. データ取得方法
※T5700は、トリンブル社製GPS受信機      
 
 測量船上では、Trimble T5700受信機にGPSデータを収録した。さらに同時間帯の電子基準点データを、国土地理院殿より取得した。
 移動点解析は、国土地理院電子基準点を基準とし、Trimble GPSurvey2.35ソフトウェアのキネマティック解析モードにより実施した。解析に使用した国土地理院電子基準点の概要を表13に、測量船上のK-GPSデータ諸元を表14に示す。
 
表13. 解析に使用した国土地理院電子基準点
電子基準点名 機種
アンテナタイプ
緯度・経度 高度 データ
間隔
0406
広島2
Trimble 5700
TRM41249.00
34°22′10.2442"
132°20′41.81″
46.42m 1秒
0679
北条
Trimble 5700
TRM23903.00
33°57′34.1032"
132°46′54.257″
45.929m 1秒
0672
東和
Trimble 5700
TRM23903.00
33°54′35.7634"
132°21′30.002″
39.695m 1秒
 
表14. 測量船上のK-GPSデータ諸元
観測時間 平成15年6月13日8時30分〜12時20分(連続)
受信機 Trimble 5700受信機
アンテナ Trimbleグランドプレーン付きコンパクトL1/L2
収録データ GPS Kinematics1秒データ
 
(2)衛星状況からみた測位精度
 伊予灘実験におけるGPS衛星の捕捉状況を図67に示す。図は測位計算に使用したGPS衛星を時系列で表したもので、縦軸は衛星番号を示す。
 また、捕捉衛星数と精度指数を図68に示す。捕捉衛星数は、計算に使用した衛星の数である。精度指数は、GPS受信機から見たGPS衛星の相対的な位置をもとに計算された単位のない指数で、目安として3以下になる時間帯のGPS測位精度が良好であり、7以上は良くないとされている。図68から衛星数が少なくなると精度指数が大きくなり、よって精度が劣化することを読み取ることができる。
 
図67. 衛星ごとの捕捉状況の時系列変化
 
図68. 捕捉衛星数と精度指数の時系列変化
 
(3)平成14年度名古屋港実験との比較
 比較のため、平成14年11月15日に実施した名古屋実験における捕捉衛星の時系列変化を図69に示す。図の縦軸は、衛星番号である。また、捕捉衛星数の時系列変化を図70に、精度指数の時系列変化を図71に示す。
 
図69. 平成14年度名古屋実験における衛星ごと捕捉状況の時系列変化
 
図70. 平成14年度名古屋実験における捕捉衛星数の時系列変化
 
図71. 平成14年度名古屋実験における精度指数の時系列変化
 
 図69及び図70より、名古屋港実験では衛星数が4個、精度指数が8以上となる時間帯があり、精度が著しく劣化した。伊予灘実験では、常に5個以上の衛星が捕捉でき、精度指数もおおむね3以下であることから、名古屋港実験と比較して、極めて良好な測位結果が得られている。







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