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 一方、ロンドンの規制緩和をどうするかというと、都市全体のこういう交通を維持してほしい。それに手を挙げる人、いませんかということで、一定期間の独占運営権を与えるということです(図14)。ですから、こういう交通体系、これだけのフリークェンシー、これだけのダイヤを運行する、それを全部引き受ける、それをやる人いませんかと競争入札でやる。当然安い人がとりますから、その分補助金というのも引き下げる効果がある。
 逆にこれは一定期間の独占権を与えていますから、事業者さんも一定以上の利用者が乗って、キャッシュが戻ってきたらその分は自分の利益になるわけですね。これ、欠損補助ですと、その分の補助金が減るだけであまり経営インセンティブにならないんですが、これは利用者が増えたら増えた分だけ自分の利益になりますのでこれはいい、こういう話でございます。
 
図14 規制緩和先進国である英国の教訓(2)
 もう一つの仕組みは、
 
 
 この2通りのやり方をしましたところ、ロンドン以外の利用者というのは、減り方はあまり止まっていないんですが、ロンドンは減り方が止まったということで、先ほど経営インセンティブというふうに申し上げましたが、それを織り込むことで事業者さんも必死になってお客さんを集める。その結果として、公共交通の利用者が増える。
 一方、都市側としても自動車の乗り込みが減ったということですから、非常にメリットがありましたねと、こういうお話でございます。
 で、先ほど申し上げましたように地方都市の活性化というのは経済政策ではあまり解決しないでしょう。都市の活性化なくしては、交通の活性化なしというのは先ほど申し上げたとおりです。
 
《自由討議》
 島講師による基調報告の後、参加者を交えて討議が行われました。
 ここでは、その一部を紹介します。
 
・交通事業者側の経営努力は今後とも必要である。第一に経営努力がないと周囲の理解が得られない。
 
・(交通事業者は)沿線の付加価値を上げて、ある一定の層の人に住んでもらい、そこで交通を使ってもらったり、商業など別の事業でお金を落としてもらう、そういう地盤を作っていく努力は必要である。
 
・駅のコストカットだけでなく、沿線データや利用者の状況(例えば駅からどのように通っているかなど)を含めてしっかり分析し、どのような経営戦略を提案できるかを考えなければ、沿線のブランド価値はそう簡単には上がらない。
 
・高齢者社会だからこそ、町なかの運転を億劫に思われる高齢者もおり、パークアンドライドや運行間隔短縮とあわせて、佐世保中央駅から傘なしで病院や商店街に歩いていけるような工夫をしている松浦鉄道のように、地域づくりと関連して乗客を増やすことができるし、自動車と共存することもありうる。
 
・何も考えずに自動車に乗っている人に対して、公共交通機関の方が便利で合理的だとアピールすることで、潜在的に眠っている需要を掘り起こすことは十分可能であり、そのために、どれだけ色々な企画やプロジェクトを起こせるかが、今後の民鉄の課題になるのではないかと思われる。
 
豊の国みなとづくり
 
別府港、大分港、佐伯港、中津港、別府港海岸、大分空港の紹介
国土交通省 九州地方整備局 別府港湾・空港整備事務所
 
◆大分の港湾・空港
 
 大分県は、九州の北東部にあって瀬戸内海西部に位置し、北部は周防灘に、東部は伊予灘に、南部は豊後水道に面し、南部の海岸線は風光明媚なリアス式海岸が広がっています。海岸線の総延長は759kmに達し、変化に富んだ海岸線を有していることから豊かな水産資源に恵まれており、これらの地形を生かし、古くから瀬戸内海の交通の要衝として発達し、港を中心に人口や産業が集積しています。
 大分県には、国際観光温泉文化都市別府の海の玄関口として別府港、大分臨海工業地帯を中心とした大分港、セメントや石灰石の積出港の津久見港、県南地域の物流の拠点としての佐伯港、県北地域における流通拠点港湾としての中津港の5つの重要港湾があります。
 また、国東半島の中心的役割を担う国東港、古く南蛮貿易時代から栄えてきた臼杵港などの地方港湾があり、地域の発展に重要な役割を果たしています。
 一方、空港は全国初の海上空港として国東半島の東端に建設された大分空港があります。昭和46年10月から第二種空港として供用開始され、大分県の空の玄関口として重要な役割を果たしています。
 
別府港湾・空港整備事務所のはじまり
 戦後まもない昭和22年10月、別府市は別府国際観光港の修築を第一目標に掲げ、「観光を国策とすべし」という請願書を第1回国会に提出し、満場一致で可決されたと市史に記載されています。請願書の要旨は、対外貿易の再開により世界各国との「物」の交流が盛んになるとともに「人」の往来も盛んになるはずだから、遠大な観光政策を樹立する必要が生じ国際観光港の修築、観光道路の設置、観光客の接遇施設の充実等をはかることこそが平和、博愛、文化の象徴になると記されています。こうして昭和26年9月重要港湾の指定を受け、別府国際観光港の整備は国の直轄事業として実施することとなり、同年10月1日「別府港工事事務所」が発足しました。
 
そして現在は
 昭和45年から大分空港、昭和46年から大分港、平成5年から佐伯港、平成10年からは中津港を直轄事業として着手するようになりました。
 平成13年からは新しく防災機能を中心とした海岸整備も行っています。
 中津港、佐伯港、大分空港に分室を設置し、地元経済の発展と観光浮揚の期待に沿うよう大分県の北から南まで幅広く事業を展開中です。
 事務所の名称は運輸省第四港湾建設局別府港工事事務所から平成9年4月に別府港湾空港工事事務所へ、平成13年1月からは国土交通省九州地方整備局別府港湾空港工事事務所に、さらに平成15年4月から別府港湾・空港整備事務所へと変更しました。
 
◆国際観光温泉文化都市の海の玄関口 別府港
 
 別府港は別府湾の湾奥に位置し、背後に我が国有数の温泉と風光を持つ国際観光温泉文化都市・別府の海の玄関口として繁栄してきました。戦後の観光ブームに伴って、観光港としての新たな整備計画が策定され昭和26年に重要港湾に指定され、九州横断道路や九州横断自動車道開通によって観光客はますます増加。現在5航路、一日14便の定期フェリーや観光船が入港し、年間約72万人が利用しています。平成12年度より第四埠頭で新たに3万トン級の旅客船が着岸できる−10m岸壁の整備がはじまっておりアジア・太平洋地域と結ぶ国際交流拠点港として期待されています。
 
大型起重機船によるケーソン吊り上げ作業
 
国際観光港として発展してきた別府港
 
整備概要 別府港
岸壁 -10m 1バース 280m
泊地 -10m 3.8ha
防波堤   500m







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