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REPORT
「海守クリーンアップキャプテン研修」報告
 
熊本日日新聞社 牛深支局長
伴 哲司
 
 
 海岸に漂着したごみを世界中の市民が同時期に回収して種類や量を分析し、地域や国を超えたごみ問題を考える「国際海岸クリーンアップキャンペーン」。その運動を地域で実践するための「海守クリーンアップキャプテン養成研修」が9月26日、鹿児島県桜島町の国民宿舎レインボー桜島で開かれた。
 日本財団海洋船舶部の主催で、同財団が全国で呼び掛ける海のボランティア「海守(うみもり)」活動の一環。九州、広島県などから海守会員や海の環境保護に関心を持つ人ら約50人が参加した。
 
【世界で75万人が参加】
 「国際海岸クリーンアップキャンペーン」は1986(昭和61)年、米国の環境NGO「オーシャン・コンサーバシー」が、海洋環境の保全に向け社会的な提言を行うことを目的に始めた運動。毎年9月に世界共通のデータカードを使用して調査を行い、2001(平成13)年は世界で75万人が参加した。
 日本では1990(平成2)年に「クリーンアップ全国事務局」を中心に全国に呼び掛け、毎年春・秋の2回実施。2002(平成14)年は全国364会場、3万5756人が参加している。
 調査の方法は海岸に落ちているごみを回収し、素材や商品別に約60種類に分け、世界共通のデータカードに数を記入する。データは国ごとに集められ、秋の調査では世界中のデータが集計される。
 この運動は単なる海岸清掃ではなく、市民自らがごみの調査・分析に参加することでグローバルな環境保護の意識を高めることが目標。「対立」より「対話」を重視し、環境負荷の少ないアイデアや政策を提言することを目指しており、わが国でも日本財団のほか、国土交通省、海上保安庁、水産庁などが協力している。
 
【痛感したごみの多さ】
 研修会はまず、会場そばのレインボービーチで実際にごみを回収、分析することからスタート。参加者が2人1組でごみの回収とデータの記入を分担する方法と、4、5人のグループで回収し、その後全員で調べる2種類の方法を体験した。
 
桜島町のレインボービーチで、2人1組になって海岸のごみを調べる「海守クリーンアップキャプテン研修」の参加者
 
4、5人のグループでごみを回収した後、素材や商品別に約60種類に分ける参加者。「見た目よりごみが多い」との声も。
 
 同海岸は数日前に清掃されており、一見するときれいな砂浜だったが、腰をかがめて見ると砂の中にプラスチックの破片やビニール、たばこの吸い殻などが目立つ。真新しい弁当のからや、花火の燃えかすなどは、遊びに来た観光客が私たちの研修を知っていて、置いていってくれたのだろうか?石垣に手を突っ込み、奥に挟まった空き缶や弁当がらを拾う参加者からは「拾っても拾ってもきりがない」の声も出て、海岸のごみが見た目よりずっと多いことを痛感させた。
 
レインボービーチでのごみ回収後、種類別に分けたごみの数を集計する研修参加者。







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