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(5)鉄道について
 
(1)概況
 県内における鉄道網は、小倉から鹿児島まで東九州沿海部を南北に縦断する日豊本線、宮崎市から日南海岸沿いに南下し、鹿児島県志布志町に至る日南線、都城市から県西部を経由し鹿児島県吉松町に至る吉都線、それに延岡〜高千穂を結ぶ第三セクターの高千穂鉄道の4路線で形成されている。
 日豊本線については、昭和54年の南宮崎〜鹿児島間の電化をもって全線電化が終了し、昭和54年に都城〜西都城間、平成5年に宮崎〜神宮間が高架となっているほか、現在、日向駅において高架事業が実施中である。更に平成3年から、JRに対する地方自治体の補助としては全国で最初のケースとして、県及び旭化成が一部経費を負担することにより宮崎〜延岡間の高速化工事が実施され、最高速度が110km/hとなった。また、平成8年には、旧運輸省、県の一部経費負担により、地方空港への連絡鉄道としては初めての宮崎空港連絡鉄道が開業している。これらの整備を契機として、特急列車「にちりん」の高速化や増発、航空機との接続改善等、利便性の向上が図られている。
 日南線、吉都線については、非電化で最高速度も85km/hのままであるが、通勤・通学をはじめとする生活路線として重要な役割を果たしている。
 高千穂鉄道(TR)は、国鉄改革の流れの中で、昭和59年に第二次特定地方交通線として選定された高千穂線を第三セクターとして存続することが決定され、平成元年に開業したものである。沿線住民の生活の足として利用されるとともに、平成15年3月には新たにトロッコ車両を導入し、観光客の誘致を図っている。
 
高千穂鉄道のトロッコ列車とその内部
 
 
(2)今後の鉄道整備
 JR線においては、日豊本線の延岡〜佐伯間、宮崎〜鹿児島間のいわゆる県際間の高速化が重要な課題であり、関係県やJR九州との間で研究・協議を行うとともに、県・市町村等で組織する宮崎県鉄道整備促進期成同盟会などと連携しながら実現へ向けた要望活動等を行っている。平成16年春の九州新幹線鹿児島ルートの一部開業を控え、今後は、鹿児島方面からの旅客誘致を図ることを視野にいれた整備方策の検討を行うとともに、日南線・吉都線も含めた更なる利用促進により、県内鉄道の活性化を図っていくこととしている。
 また、高千穂鉄道については、沿線の足として利便性を確保するとともに、トロッコ列車を活用し、沿線市町やJR線とも連携しながら息の長い観光客誘致を図っていく必要がある。
 新幹線鉄道においては、福岡市を起点として北九州市、大分市、宮崎市を通り鹿児島市に至る東九州新幹線が基本計画線として位置づけられており、関係各県・市等で組織する東九州新幹線鉄道建設促進期成会を通して、整備計画線への格上げを陳情している。また、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)については、導入実現に向け国が実施した「新幹線直通運転化事業調査」の対象路線に日豊本線が選定されるとともに、平成13年度から14年度にかけて走行試験が実施されたところであり、実用化について国等へ要望しているところである。
 
 
[3]宮崎県の観光について
 
(1)概況
 
 宮崎県では、新生シーガイアが順調なスタートを見せているほか、人工海浜を備えた「みやざき臨海公園」やプロ野球キャンプが行われる「サンマリンスタジアム宮崎」、国内最大級の古墳群を擁する「西都原古墳群」の整備など、自然や温泉等の地域資源を生かした多種多様な施設の整備が県内各地で進んでいる。
 これに加え、東九州自動車道西都〜宮崎西間の開通、宮崎・ソウル線への国際定期航空路線の開設、宮崎〜東京間への新規航空会社就航などにより、本県の観光・リゾートを取り巻く基盤は着実に充実強化されてきている。
 また、昨年のワールドカップ・サッカーにおけるドイツ、スウェーデン2カ国のキャンプ成功に代表されるように、スポーツ大会やキャンプの誘致、平成12年の「九州・沖縄サミット宮崎外相会合」や「太平洋・島サミット」開催の実績を活かした国内外からのコンベンションの積極的な誘致等、観光・リゾート宮崎へ観光客誘致を図る様々な施策を積極的に展開してきた。
 この結果、全国的に国内観光が厳しい状況にあるなか、県内観光客の堅調な伸びもあり、平成13年の観光客数は1253万2千人で、前年と比べて1・3%、16万2千人増加した。しかしながら、長期化する景気低迷や観光地間競争の激化などもあり、県外観光客や観光消費額は5年連続で減少するなど厳しい状況もある。
 
観光客数及び消費額の推移
 
(2)今後の展開
 
 観光客のニーズや旅行形態が多様化してきている中で、宮崎県の特色である豊富な自然や文化、史跡などをいかした個性的な観光地づくりや総合交通網の整備にあわせた広域観光ルートの形成、体験型観光メニューやもてなしの心などのソフトサービス体制づくり、県外観光客はもとより、県民自らが憩い、くつろげるような県民リゾートづくりが求められている。
 これらを実現する新たな広域観光ルートとして、北の高千穂(高千穂町)と南の高千穂(高原町)を結ぶ延長約300kmの「ひむか神話街道」が今年6月初めに開通する予定である。これに合わせて、霧立越(五ヶ瀬町)に代表されるトレッキングや、炭焼き体験など、ふるさとの匂いのする本県の自然や文化を、地域住民とともに楽しんでいただくことを目的とした「ふるさとツーリズムの国みやざき」づくり事業なども行うこととしている。
 また、サミット外相会合やワールドカップサッカーキャンプの成功を契機とした、より一層の国際会議やスポーツキャンプの誘致強化、東アジアを中心とする誘客の促進など、総合的な誘客体制の構築・強化を推進していきたい。
 







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