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3.5 Flow-through Methodの検証
 
 Flow-through Methodを適用してバラスト水交換を実施する時にバラストタンクに作用する付加水頭を評価するために, 一連の数値解析を実施した。本計算は, 図3.4に示すモデルに対して実施された。管系統各種データ, ポンプの特性などを入力することにより, タンク壁に作用する付加水頭が計算できる。
 まず初めに, 実船(パナマックス・バルクキャリア)試験を実施して付加水頭を計測し, 解析に用いる計算プログラムで得られた計算結果と比較して, 本プログラムで十分な精度の解が得られることを確認した。
 続いて, 前節での計算に供した船の中から
−アフラマックスタンカー(ID.No.C-TA1)
−アフラマックスタンカー(ID.No.C-TA2)
−パナマックス・バルクキャリア(ID.No.D-BCP1)
−ハンディサイズ・バルクキャリア(ID.No.F-BCH2)
の4隻を選び, 付加水頭を計算した。各船のタンク形状の違い等を考慮して, 船首部に近いNo.1 WBT(Water Ballast Tank)と船体中央部に位置するNo.3 WBTについて, それぞれ上甲板と内底板のパネルに作用する付加水頭を求めた。計算結果を纏めて, 表3.5に示す。また, 付加水頭の値を日本海事協会鋼船規則で規定されている設計水頭と比較して, 表3.6に示す。
 
図3.4 タンクの付加水頭を計算するためのモデル
 
表3.5
 
Flow-through Methodを適用した場合に
タンク壁に作用する付加水頭
(拡大画面:87KB)
 
(拡大画面:78KB)
・喫水は満載喫水を使用
 
表3.6 Flow-through Method適用時の計算水頭と設計水頭の比較
UD: Upper Deck Plate
IB: Inner Bottom Plate
 
 表3.6より, 上甲板では設計水頭以下の付加水頭が, 一方, 内底板では設計水頭以上の付加水頭が概ね作用していることが分かる。なお, 上甲板のマンホールを開けると, 付加水頭が下がることが, 実船計測に際して確認されている。







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