日本財団 図書館


AWESサブスタンダード船作業グループ(WGSS)
WGSS会合
同グループはこの期間に3回の会合を開いた。
2002年11月21日 Versaills
2003年1月14日 ブラッセル
2003年6月12日 Cannes(別途報告する)
 
以下の項目がグループの活動や審議等又は「構造改革提案」である、
 
WGSSの見直し
 2002年のNyborgで開催されたAWES SCで承認後、本グループは「きれいな海のための安全な船舶」作業グループと名称変更した。また作業範囲も船舶安全と海洋環境保護に関連する全てのトピックスをカバーするように拡張された。作業計画は承認され以下のように作業が進んでいる。
 
作業計画の策定
A. 環境:TBTの禁止。新規に承認された欧州規則は完全に実施できる可能性が低いと多くの造船所が表明したことから、本グループは欧州造船所におけるTBT禁止の適用のための指針ノートを全ての参加協会に回章した。
 
B. 環境:シップリサイクル。本グループは、IMOに対し、設計建造段階から船舶のリサイクルを容易にする指針のいくつかの側面について反対のコメントを行った。欧州造船所は自分たちの指針を作成準備するタスクを負っており、この事項は作業計画に入れられた。
 
C. 環境:排気。本グループはこの課題が即時緊急性はないことに合意した。EMECは本件についてリーダーシップを取るように要請されることとなり、本グループはそれをフォローする。
 
D. 安全:良質な船/頑丈な船。IMOにおいてギリシャやバハマは、船舶のIMO構造基準の策定を提案している。現在それは船級の範囲である。またこれは新造船の強度と、商業的価値のある最後の段階での船の状態との間の相対関係を問題としている。本グループは、この後半の考え方について、これは船の生涯を通じた保守の役割を最小化することから、懸念を表明した。一方、IMOを通じた構造基準の策定は本グループの早期の提案に沿ったものである。
 
 本グループは、「頑丈な船」は疑問の余地なくメリットがあるが、それとは関係なく、適切な保守なしに生涯を終わる船はないということに合意した。したがって圧力はむしろ規則の強制と船舶保守要件の主要責任を分担する船級と帰国に与えられるべきである。
 
 本グループは2002年12月のIMO/MSC76で口頭発表を準備した。そしてその後2003年6月のMSC77へ文書提出により貢献した。
 
E. 安全:拡大保証。船主による5年間の拡大保証要求は、顧客及び下請けサプライヤーとの基本的な関係を変更するものである。SCはこの事項に優先度を与えることに合意し本グループに技術的、経済的、競争的観点で欧州造船所への影響を探り、報告書を準備するよう要請した。またAssereto氏により調整される本件に関する情報を集める連絡グループの設置も合意された。
 
F. 安全:既存規則の強制:本グループは便宜置籍と船級の組み合わせが低い海上安全規律の根本原因の一つであることに合意した。本グループは便宜置籍の減少と排除を歓迎し、同時にさらなる圧力を船級に掛けるべきと考える。本グループは、船級に関するEU指令を見直し検討することに合意した。これは、その有効性を改めて確認するためと、場合によっては本グループで検討した改善案を提案することが目的である。
 
G. 安全:EU内の全フェリーへのストックホルム合意の拡大。本グループはこの拡大を極めて前向きに検討している。規則は未だに欧州議会と欧州委員会の間で和解過程にある。EU15カ国には1991年前に建造された長さ100m以上の140隻のフェリーが存在している。これらはほとんどリプレースが必要な船である。また、他の地中海国を旗国とする70隻、70万GT、90万CGTのフェリーも存在している。
 
2002年9月5日のソウルのCESS会議
 議長とAssereto氏はソウルで開催されたサブスタンダード船排除委員会(CESS)に出席した。会議はSAJ(日)、KSA(韓)、ASA(米)、CSIC&CSSC(中)の代表が参加した。以下の観点が議論された。
 
 欧州、アジア、米のPSC検査報告:各地域がそのエリアの報告を発表した。本委員会はこれまでの進展は満足なものと合意した。最悪の船はチェックの厳しいエリア、特に米国を避けている証拠が示された。
 
バルクキャリヤーの喪失:欧州代表は、バルクキャリヤーの喪失が他の船やタンカーのそれを遥かに越えていることを示す報告を紹介した。それ故に、いくつかの基本的な設計欠陥が存在するはずであり、同委員会は1966年の満載喫水線条約の改正に合意した。その内容は、基本乾舷と最小船首高さの増加、大型バルクキャリヤーに与えられる乾舷余裕の廃止もしくは縮小である。追加的にダブルハルの採用や一般船体強度の強化は賢明と考えられた。
 
シップリサイクル:極東の造船協会は、欧州とIMOでの最新の進展状況と欧州造船所の立場を知らされた。これはこの後MIFで発表されることになっていた。特に彼らはIMOとEUが要請した設計と建造段階からの円滑なリサイクルのための指針への対応についての協力を求められた。極東造船協会はこれを緊急優先課題と考えること、もしくは合同作業計画の事項に取り上げることに合意しなかった。
 
新造船の質:欧州造船所は、有力な船主協会と目本と韓国の造船協会との間で会合が持たれたことを知って、そのような会議で検討された事項を公開し、今後同種会合には参加を招請するように要求した。
 
MIF2002
 AWESの代理としてシップリサイクルの報告がMIFへ発表された。MIF総会ではこの発表について議論はなく、質問もなかった。MIFは当面本件は棚上げすることを検討した。
 
 新しいトピックとしてENVIRONMENTが製造分野で出現している。本グループは本件を責任をもって取り進めることと、MlF2003の共同発表に向けて準備すること、そして作業計画に追加することについて合意した。共同発表の内容は原則作業計画にある事項を基本としなくてはならないが、これは船主、舶用事業者、欧州委員会から合意される必要がある。
 
海上安全のためのEUの措置 エリカパッケージI & II
 2002年早期のエリカ1パッケージ発効に引き続き、2002年の後半期に、エリカ2パッケージ措置が発効した。このパッケージは以下の措置を含んでいる。
 
 海上交通の域内モニタリングと管制及び情報システムの創設の指令
 
 欧州海上安全庁を創立するEU規則
 
 EUは欧州水域内の油汚染の賠償基金と関連措置の設立を承認しなかった。これはIMOに取り込まれ、最終的に2003年5月にIOPC条約の補足的第3層保証として承認された。
 
 これらの新規則は造船に大きなインパクトがあるものは見受けられない。交通指令は最初にトランスポンダーの設置を要求し、その後、航海データ記録装置が要求されることになった。しかしこれは修繕と新造ヤードにとっては小さな仕事である。EMSAは以下のように検討された。
 
欧州海上安全庁(EMSA)
EMSAの主要な役割は、
 
・域内PSC制度の総合的機能を監視する
・パリMOUの技術的側面の作業に参加し、欧州委員会に所要の技術的支援を提供する
・船級の作業の監視と監査で欧州委員会を支援する
・海上安全の信頼性のある比較可能な情報とデータを欧州委員会とメンバー国に提供する
・指令に規定された航海と海上交通の監視に関するタスクの実施
・海難調査の一般手法の開発と既存の事故調査報告書の解析の実施
・寄港国と旗国政府に関連する領域の適切な訓練活動の組織作り
・海上安全分野で共同体法令の実施に関する将来のEUメンバーへの技術支援と訓練の提供
 
 本グループはEMSAの理事会に、欧州委員会から指名された造船代表者が誰も参加していない問題をノートした。我々の産業が海事産業の基礎的部分であり、業務において高度な技術ノウハウを代表していることが合意された。船級はどちらも代表できないことから、理事会は必要な技術レベルを持てないこととなる。
 
 結論的に欧州委員会は、理事会は総じて政治的となるため、より低いレベルで技術的参加が可能との提案を行った。それ故、欧州委員会はCESAに対し、EMSAの技術的事項を支援する造船助言委員会の設置を要請した。これはリーダーシップ2015WG4の作業の方向で確認された。
 
プレステージ事故
 プレステージ事故の重大性が本グループで認識された。本グループは現状の古いタンカーを廃棄する明確な政策を採択することに合意した。本グループは以下に合意した。
 
a. 現行規則は強化されなくてはならない。しかしひどい欠陥があるため、主要な短期的重点課題は強制取り締まりに置かれねばならない。造船所は強制システムで厳しくチェックしなくてはならない。
 
b. EUと隣接海域の貿易に従事する船舶は、今後いかなる場所でも設計、建造、修繕、証書発給を受け続けられるわけではない。この全体的な不良管理状態に対し、ある種の制限が掛けられるべきある。今後の作業として、特にこれらの制限がどこにセットされるかが決定されねばならない。
 
c. 規則の開発のための最適な会議はIMOである。しかしこの組織は規則の取り締まり能力はない。したがってEUとメンバー国は大きな取締り活動を付託されるべきである。造船協会は、EMSAの強化とEU沿岸警備隊の創設を図ろうとするEUの活動に尽力すべきである。
 
d. 法の強制は行政の仕事である。経済的関係で妥協する立場では適切な仕事はできない。EUの単一市場はEUを通した単一取締り政策を要求する。検査員や船級や港湾は経済的圧力にさらされており、取り締まり任務に重点を置くことは期待できない。
 
 本グループは、プレステージ事故のプレスリリース案を検討し合意した。これは承認と公開のためにSCへ提出すべきものであり、結果的に、Gronger氏がロイドリストに、案件の投書として送付した。
 
 残存シングルハルタンカーの排除の加速とEU水域へのシングルハルタンカーによる重油輸送の即時禁止といったEUによって結果的に取られた措置については、600DWTへの適用拡大措置も含め、本グループによって完全にサポートされている。実施された建造能力の調査によれば、結果は満足いくものであった。(即ち、全ての船舶サイズのファーズアウトに十二分な建造能力が存在する。)
 
バルクキャリヤーの安全
 大型バルクキャリヤーの喪失は気掛かりな比率で続いている。IACSはほとんどの船主から合意が取れている2つの措置パッケージで対応している。最も過激な提案の中には貨物倉の2重側壁も含まれている。
 
 AWESは、過去に船舶の安全措置を改善する方法に合意しているが、それは、現存船舶も出来るだけ早い合理的な期間内に規則に従うべきとの条件付である。現存船の適用除外措置はできる限り制限されなくてはならない。
 
金属労働組合との協力
 本グループはEU金属労働組合により用意された海上安全に関する文書を検討し、いくつかの改善箇所を提示した。一般的に組合の見解とその提案のほとんどは、中には実行不可能なアイデアもあるが、造船協会も共有できるものである。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION