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6. 海上旅客輸送のバリアフリー化に向けた改善点
(1)港・旅客船ターミナルにおいて改善の必要な点
 港や旅客船ターミナルにおいて改善の必要な点は、「(15)タラップの階段や傾斜をゆるやかにする」が38.6%で最も多い。同じく船への乗降において改善の必要な点として、「(16)通路に屋根やひさしをつける」も約2割の人が改善を要望している。一方、港までの交通手段に関するものでは、「(2)駐車場を整備する」が23.2%となっており、自宅から港までの交通手段として、自家用車の利用を希望する人が多いことがわかる。また、ターミナルビルにおいて改善の必要な点としては、「(8)通路の段差をなくす」や、「(11)切符を簡単に買えるようにする」が上位となっている。このほか、「係員による介助を充実させる」ことについては、ターミナルビル((14))と船への乗降((18))のどちらにおいても、全体の2割以上の人が改善を要望している。
 
図5-6-1 港・旅客船ターミナルにおいて改善の必要な点(複数回答 n=928)
 
 年齢別にみると、64歳以下では「(2)駐車場を整備する」の割合が高い。これは、65歳以上に比べ、自宅から港への主な交通手段として自家用車を利用する人の割合が高いためと考えられる。このほか、船の乗降において「(16)通路に屋根やひさしをつける」の割合も高い。一方、75歳以上では、ターミナルビルの「(8)通路の段差をなくす」や「(9)階段やスロープに手すりを付ける」への回答が多く、移動経路に対する改善要望が強いといえる。
 
図5-6-2
港・旅客船ターミナルにおいて改善の必要な点(年齢別)
(拡大画面:13KB)
 
 障害別にみると、歩行や階段の昇り降りに何らかの障害を有する人では、「(15)タラップの階段や傾斜をゆるやかにする」ことや、ターミナルビルに「(10)エレベーターやエスカレーターをつくる」ことなど、段差解消への要望が特に高くなっている。また視覚に何らかの障害を有する人では、「(14)係員の案内や介助を充実させる(ターミナルビル)」や、「(18)係員の介助を充実させる(船への乗降)」をあげた人の割合が高い。
 次に、障害の程度の異なる人を種類別にみると、歩行や階段の昇降については、「車いすを使用している」人で、全般的に高い割合となっている。特に、ターミナルビルにおいて「(6)車いすなどでも使えるトイレにする」や、「(7)出入口を出入りしやすくする」、「(10)エレベーターやエスカレーターをつくる」など移動の円滑化に関する項目で割合が高い。また、船の乗降に際して、「(18)係員の介助を充実させる」といったソフト面でのバリアフリー化も多くあげられた。
 聴覚については、「ほとんど聞こえない」人では、「(12)文字により運行状況をお知らせする」ことへの要望が特に強く、そのほか「(11)切符を簡単に買えるようにする」の割合も高い。
 視覚については、「ほとんどみえない(外出できる・介助者が必要)」人では、「(13)音声により運行状況をお知らせする」やターミナルビルにおいて「(14)係員による案内や介助を充実させる」こと、「(8)通路の段差をなくす」などが多い。また、「ほとんどみえない(介助者が必要)」人では「(18)係員による介助を充実させる」や「(11)切符を簡単に買えるようにする」、「ほとんどみえない(外出はできる)」人では、船の乗降に際し「(17)転落防止のための手すりや柵をつける」が高くなっている。
 
図5-6-3
港・旅客船ターミナルにおいて改善の必要な点
(障害別)
 
【障害の種類別】
(拡大画面:14KB)
 
【歩行や階段の昇降】
(拡大画面:17KB)
 
【聴覚】
(拡大画面:14KB)
 
【視覚】
(拡大画面:18KB)







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