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8.4 海上輸送促進方策の検討
 これまでの課題の整理、分析を踏まえた北九州港への循環資源の海上輸送を促進するための方策は以下の通りである。
 
図−8.1 課題・促進方策の全体像
 
I. 北九州市における必要機能の確保
 
(1)公共埠頭における必要機能の確保
(1)現況
・北九州港の公共埠頭では、コンテナに密閉された安定型産業廃棄物以外の廃棄物の取り扱いが認められていないため、広域間の廃棄物の海上輸送が進展していない。
・クレーンや積替え・保管施設が無く、効率的な荷役が難しい。
・ばら貨物である廃棄物の荷役における適切なこぼれ・飛散防止が確立していない。
 
(2)関係者の意見
・公共埠頭を円滑に利用できることが、循環資源の海上輸送の進展のポイントである(北九州市収集運搬業者)。
・クレーン、積替え保管施設は、効率的な荷役、海上輸送を可能とするために、是非、必要である。
・住民や漁業者の理解を得るためにも、こぼれ・飛散・流出防止対策が不可欠である(北九州市リサイクル業者、収集運搬業者、行政)。
 
(3)提案の目的
 エコタウンに隣接した公共埠頭であるリサイクルポート(平成18年度供用開始予定)の循環資源取扱に係わる必要機能を確保することにより、リサイクルポートを利用した低コスト、円滑な海上輸送を推進していくことを目的とする。
 
(4)提案事項
a 「リサイクルポート荷役取扱基準」の策定
b クレーンの設置
c 岸壁背後用地における上屋・野積み場の確保
d こぼれ、飛散、流出防止対策の確立
 
(5)提案の内容
a 「リサイクルポート荷役取扱基準」の策定
[内容]
・取扱い可能な対象貨物(木くず、建設混合廃棄物等)を拡大する。
・荷役作業時の原則の変更し、ばら貨物の取扱い、エプロン・背後用地における蔵置等を可能とする。
[実施時期]
・平成18年度のリサイクルポートの供用開始に合わせ、北九州市港湾局により検討の予定である。
b クレーンの設置
[内容]
・効率的な荷役のために、クレーンの設置を検討する。
[実施時期]
・設置クレーンの費用回収、低廉な料金設定のためには、一定水準以上の取扱量が必要なことから、平成18年度のリサイクルポート供用開始以降の循環資源の取扱状況をみて、北九州市港湾局による検討が考えられる。
c 岸壁背後用地における上屋・野積み場の確保
[内容]
・現状では、廃棄物処理法、港湾管理条例により積替え・保管施設の設置は難しいが、規制緩和を前提にリサイクルポート背後に廃棄物の積替え・保管施設の機能を備えた上屋・野積み場の整備を検討する。
[実施]
・平成18年度のリサイクルポートの供用以降の循環資源の取扱状況をみて、北九州市港湾局による検討が考えられる。
[備考]
・民間の協同組合等による確保も考えられる。
・エコタウン立地工場の保管施設としての機能も考えられる。
d こぼれ、飛散、流出防止対策の確立
[概要]
・海面への循環資源のこぼれ、飛散の防止技術(こぼれ防止ガイド、マット、鉄板等)の開発を行う。
・排水溝、汚水処理施設を整備する。
・荷役後の掃除、届出等のルールを確立する。
[実施時期]
・平成16年度に北九州市港湾局、関係企業により検討の予定である。
 
図−8.2 公共埠頭における必要機能の確保(イメージ)
 
(6)効果
・効率的な循環資源の海上輸送の実現において大きな課題である公共埠頭の利用が具体的に進捗する。
 
(7)留意事項
・北九州エコタウンに隣接した公共埠頭以外の公共埠頭のうち、背後に循環資源取扱のニーズがあり、他の貨物と競合しない(利用度が低い埠頭を含む)、住宅等と近接していない等の条件を有するものについて、産業廃棄物を取り扱いたいとの要望がある。
 
(2)パイオニアプロジェクトの推進
(1)現況
・全国的にみて、公共埠頭での循環資源の取り扱いは一部であり、公共埠頭を利用した循環資源の海上輸送の本格的な展開はこれからである。
・北九州港では、公共埠頭での循環資源の取り扱いは、今後の課題であり、公共埠頭における荷役方法、こぼれ・飛散・流出の対策等は確立していない。
 
(2)関係者の意見
・循環資源の海上輸送の具体的な推進や関係者の合意形成のためには、循環資源の海上輸送の実証実験が有効である(北九州市収集運搬業者)。
・実証実験は、北九州港の取り組みの先進性のアピールや関係者の気運の醸成というメリットもある(北九州市収集運搬業者)。
・規制緩和項目(岸壁への一時仮置き、積替え・保管)を実証実験し、その効果、問題点の把握が、規制緩和の実現に寄与する(北九州市リサイクル業者、収集運搬業者)。
 
(3)提案の目的
 環境産業都市形成の先駆者である北九州市を輸送面で支えていくためには、絶えず先駆的・パイオニア的なプロジェクトを実施し、他地域にはない輸送サービス・技術のレベルを高めていく必要がある。また、パイオニア的なプロジェクトの実施を通じて、北九州港循環資源輸送の先進性を対外的にアピールすることも重要である。
 
(4)提案事項
a 北九州港内における循環資源の海上輸送実証実験
b 北九州港と東京湾、九州離島、沖縄間における公共埠頭での循環資源の海上輸送実証実験
c 岸壁への一時仮置き、積替え・保管による荷役の実証実験
 
(5)提案の内容
a 北九州港内における循環資源の海上輸送実証実験
[概要]
・北九州港内で建設廃材の海上輸送の実証実験を行うことにより、こぼれ、飛散等の循環資源取扱上の問題点、課題の把握、対策の検討を行う。
[実施時期]
・平成16年度に、北九州港の官民の関係者による実施が考えられる。
b 北九州港と東京湾、九州離島、沖縄間における公共埠頭での循環資源の海上輸送実証実験
[概要]
・北九州港と東京湾、九州離島、沖縄の公共埠頭との循環資源の海上輸送の実証実験を行い、技術、管理運営上の問題点、課題の把握を行う。
・北九州港と相手側港の港湾管理者の検討会を設置することが考えられる。
・次の段階では連携港湾のネットワーク形成を目指すものとする。
[実施時期]
・平成16年度に、北九州港の官民の関係者による実施が考えられる。
[備考]
・民間事業者によりプライベートバースを使った千葉港との循環資源輸送は、実施済み。
c 岸壁への一時仮置き、積替え・保管による荷役の実証実験
[概要]
・岸壁への一時仮置き、積替え・保管は、現行の法制度下では難しいが、規制緩和、「リサイクル特区」の要望の前提として、実証実験を行い、効果、問題点等を検討する。
[実施時期]
・平成16年度に、北九州港の官民の関係者による検討が考えられる。
 
図−8.3 パイオニアプロジェクトの推進(イメージ)
 
(6)効果
・ 実証実験による問題点、課題の把握、対策の検討が関係者間において進むことにより、公共岸壁における循環資源の取り扱いの実現が促進される。
・北九州港における循環資源輸送の取り組みの先進性を対外的にアピールすることができる。







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