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九州圏における海運振興関連施設整備
 
1.生鮮食料品輸送・保管のための冷凍コンテナ・保冷コンテナ及び荷役の効率化を図るための特殊コンテナの整備
 離島に不足している生鮮食料品や、島内で生産される生鮮物等を輸送するための冷凍コンテナ・保冷コンテナ及び特殊コンテナを製作し、旅客定期航路事業者に管理委託することにより、離島住民の民生の安定に寄与する。
 
(1)冷凍コンテナの整備 (4個)
(1)離島住民の食生活の安定、向上
 九州本土までの航海数が少なく、かつ長時間の航海を要する離島においては、島内で生産される生鮮物の輸送や本土からの冷凍食品等の冷凍輸送ニーズは高いが、冷凍コンテナが高価なため、数量が不足しているのが現状である。
 本事業は生鮮物や冷凍食品等を長時間にわたり良好な状態で輸送できるようにするため冷凍コンテナを整備することにより、離島住民の食生活の安定、向上に寄与している。
 
(2)保冷コンテナの整備 (10個)
(1)離島住民の消費する生鮮食料品の安定供給及び物価安定
 離島で消費される野菜・果物・乳製品等の生鮮食料品は、その大部分を本土から海上輸送で行っており、食料品の鮮度維持、品質低下防止のために保冷コンテナは不可欠である。しかしその数量は不足しており、通常のコンテナでは悪天候による遅延等の場合などには品質低下はもとより腐敗してしまうこともある。
 本事業は、保冷コンテナを整備することにより、食料品の鮮度等を長時間維持するとともに荷役時間の短縮並びに輸送の安定を図ることとなり、離島住民が消費する生鮮食料品の安定供給、物価の安定等に寄与している。
 
(3)特殊コンテナの整備 (12個)
(1)離島住民の経済水準の向上
 鹿児島県十島村の特産物である虎の尾、ビワは、近年、本土の市場でも需要が高まってきているが、通常のコンテナ輸送では通気性が悪いために腐敗やカビが発生し、また、輸送時の積荷加重による押しつぶれ等により、商品価値が下がるという問題が生じていた。
 本事業は、これらの問題を解消するために、換気機能(換気扇と通気用の羽板を取り付け)や押しつぶれ防止のためにラッシングレールを取り付けて台車を内蔵した特殊コンテナを整備することにより、離島から特産物を良好な状態で市場に出荷することが可能となり、産業の少ない離島住民にとって貴重な収入源の増大に寄与している。
 
 通路シェルターを離島岸壁に整備して、旅客定期航路事業者に管理委託することにより、本土に比べて不利な条件のもとに生活を営んでいる離島住民の福祉の向上に寄与する。
 
(1)普通シェルターの整備 (6基)
(1)離島における旅客船利用客の風雨防止用、日除け対策
 長崎県対馬市上対馬町比田勝港では、岸壁と乗船待合所との距離が隔たっているため利用客は悪天候の場合は風雨の中で、夏場は炎天下で乗船待ちをしている。
 特に多客時においては、船室を確保するために、より早い時間から長時間岸壁で待たされることを余儀なくされていた。
 このような状況の中、本事業により普通シェルターを岸壁に整備したことにより、利用客の風雨防止、日除けに役立つとともに多客時における割込み等の乗船時における混乱を解消でき、安全管理にも役立っている。
 
(2)特殊シェルターの整備 (1基)
(1)離島における旅客船利用客の安全性の確保
 大分県姫島村には、平成8年7月に貴財団の助成をうけて姫島港、伊美港に特殊シェルター(昇降用タラップ)2基を管理委託し、耐用年数を経過した現在でも大切に使用されている。
 しかしながら、平成12年4月に第一姫島丸が就航、同船は従来の船舶に比べて舷門が高くなったことから、特に姫島港では岸壁が低いため、満潮時には現シェルターでは長さが短く、次のとおり利用者に不便を強いており、安全面にも問題が生じていた。
○ 満潮時(年220回程度)にはシェルターの傾斜角度が約23度になり、気象・海象条件の悪い時などは高齢者にとって危険な状況にあった。
○ 大潮の満潮時(年50回程度)には、現シェルターは舷門まで届かないことから使用できないため、利用者は車輌甲板からの急勾配の階段(約45度)を利用しており、高齢者、身障者には危険な状況であった。
 こうしたことから、本事業における特殊シェルターでは特に高齢者向きに「スロープ・ステップ切り換え方式」を取り入れ、傾斜角度が低い場合はスロープ式(車椅子での利用も可)、傾斜角度が急な場合はステップ式に切り換えることにより、比較的に安心して利用できるようになり、離島住民及び一般利用客(特に高齢者)の安全性の確保に大きく寄与することとなった。







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