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(金属製管を使用する配線工事)
第246条 前条第2項第2号の第1種配線工事は、次の各号に適合しなければならない。
(1)ケーブルは、より線を使用すること。
(2)管の接続部分は、電気的に連続したものであって、かつ、振動により損傷しないものであること。
(3)管の内部にケーブルの接続点を設けないこと。
(4)垂直管内のケーブルは、自重による引張応力を防止するため適当な方法を講ずること。
(5)鋳鉄管又は鋼管は、腐しょくを防止するためメッキ又は塗装すること。
(6)管は、末端処理を施すこと。
(関連規則)
NK規則
2.9.16 ケーブルの機械的保護
-1. 金属がい装のないケーブルが機械的損傷を受けるおそれのある場合には、ケーブルは、金属覆を用いて保護しなければならない。
-2. 貨物倉等で特に機械的損傷を受けやすい場所に敷設するケーブルは、金属がい装があっても、金属覆を用いて保護しなければならない。
-3. ケーブルの機械的保護に用いる金属覆は、適当な防食処理を施したものでなければならない。
-4. 非金属製のダクト、コンジット等は難燃性のものでなければならない。冷蔵倉又は暴露甲板にはビニルコンジットを使用してはならない。
2.9.17 ケーブルの管内敷設
-1. ケーブル用金属管は、接合部を機械的及び電気的に連続させ、かつ、有効に接地しなければならない。
-2. 管を曲げる場合の曲げ内半径は、ケーブル用に決められた値(2.9.18-6.参照)より小としてはならない。ただし、外径が64mmを超える管の曲げ内半径は管の外径の2倍より小であってはならない。
-3. 管の内部断面積は、管内に敷設するケーブルの総断面積の2.5倍以上としなければならない。
-4. 水平に配置する管には、適当な排水装置を設けなければならない。
-5. 管系の全長が長い場合には、必要に応じて管に伸縮継手を設けなければならない。
(第一種配線工事によらなければならない電路)
第247条 次に掲げる電路は、第1種配線工事によらなければならない。
(1)機関室、ボイラ室、暴露甲板等における他動的損傷を受け易い場所に布設する電路
(2)爆発し、又は引火し易い物質が発生し、蓄積し、又は貯ぞうされる場所に布設する電路
(3)水密戸開閉装置、自動スプリンクラ装置、水中型ビルジポンプ、第297条の警報装置又は非常照明設備へ給電する電路
2. 前項第1号に掲げる電路のうち、特に強度の他動的損傷を受け易いものは前項の規定によるほか、適当な保護をしなければならない。
(第二種配線工事によらなければならない電路)
第248条 酸性蓄電池室に布設する電路は、第2種配線工事によらなければならない。
第249条 削除
(交流に使用する電路)
第250条 交流に使用される電路には、小容量のものを除き、誘導による発熱を防ぐため多心線を用いなければならない。
(関連規則)
1. 船舶検査心得 250.1(交流に使用する電路)
(1)「小容量」とは15A以下をいう。
2. NK規則
2.9.19 交流回路用ケーブル
 負荷電流が20Aを超える交流回路に単心ケーブルを使用する場合には、ケーブルは次の(1)から(8)の規定によらなければならない。
(1)ケーブルは、がい装のないものとするか、又はがい装を有する場合には非磁性材料のがい装のものであること。
(2)ケーブルを金属管内に敷設する場合には、金属管が非磁性材料でない限り、同一回路のケーブルは1本の管内に納めること。
(3)ケーブル帯金が非磁性材料でない場合には、1回路のすべての相のケーブルを1個の帯金内に納めること。
(4)単相又は三相回路に2条又は3条の単心ケーブルを敷設する場合には、ケーブルは、できる限り互いに近接させること。いかなる場合にも、ケーブル相互間の距離はケーブルの外径を超えないこと。
(5)負荷電流が250Aを超える回路に使用する単心ケーブルを鋼製隔壁等にそって敷設する場合には、ケーブルは、隔壁等からできる限り離されること。
(6)185mm2以上の断面積のケーブルで、かつ、長さが30mを超える場合には、三葉状に山積みして敷設される場合を除き、各相のケーブルは、約15mごとに位置をかえインピーダンスの平衡を保つようにすること。
(7)各相に2条以上のケーブルを並列にして使用する場合には、すべてのケーブルは、同一の断面積とし、かつ、同一の長さであること。
(8)一群の単心ケーブル間には、磁性材料を置かないこと。ケーブルが鋼板を貫通する場合には、同一回路のケーブルは、1個の非磁性材料のグランド又は当板等を用いて敷設し、かつ、三葉状に山積みして敷設される場合を除き、ケーブルと磁性材料間の隔壁はできる限り75mm以上とすること。
(電路のわん曲)
第251条 がい装鉛被ケーブルは、その外径の8倍以下、その他のケーブルは、その外径の6倍以下の半径でわん曲してはならない。
(甲板等を貫通する電路)
第252条 水密甲板、水密隔壁又は気密を要する隔壁を貫通する電路は、その部分を電線貫通金物を使用し、又はその他の方法で水密又は気密を保つことができるようにしなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得
252.1(甲板等を貫通する電路)
(a)蓄電池室又は塗料庫と居住区との間の隔壁は気密を要するものとして取扱うこと。
(解説)
 設備規程第252条の規定により水密甲板又は水密隔壁を貫通する電路には、電線貫通金物を使用し水密又は気密を保持する必要がある。電線貫通金物としては、JIS F8801〔船用電線貫通金物(箱用)〕、JIS F8802(船用隔壁・甲板用電線貫通金物)がある。
 当該電線貫通金物は水密を目的としているので、これを気密の甲板又は隔壁を貫通する電路に使用する場合には、気密を保持するため貫通金物の両端をパテ等の充填物で密封し、エアテストにより気密を確認する必要がある。
第253条 前条の甲板及び隔壁以外の甲板又は隔壁を貫通する電路は、その部分を必要に応じてカラー、鉛その他の適当な軟質物質を用いてこれを保護しなければならない。
(電路の接続)
第254条 電路は、接続箱、分岐箱又は端子箱を用いて接続しなければならない。
(線端処理)
第255条 ケーブルは、適当な線端処理を施さなければならない。
(電路の固定)
第256条 電路は、帯金を使用して直接船体に、又は導板、ハンガー等に固定しなければならない。
2. 前項の帯金は、耐蝕性材質で作られたもの又は耐蝕処理を施したもので、その幅が13ミリメートル以上であり、かつ、ケーブルを傷つけない構造のものでなければならない。
3. 第1項の帯金は、なるべく次表に定める間隔により取り付けなければならない。
 
ケーブルの外径
(ミリメートル)
帯金の間隔(センチメートル)
がい装のない場合 がい装のある場合
13以下のもの 25 30
13をこえ20以下のもの 30 35
20をこえ30以下のもの 35 40
30をこえるもの 40 45
 
(関連規則)
NK規則
2.9.10 ケーブルの敷設
-1. ケーブルは、できる限り、近寄りやすい場所に直線状に敷設しなければならない。
-2. ケーブルは、できる限り、船体構造物の伸縮する部分を横切って敷設することを避けなければならない。やむを得ず敷設する場合には、ケーブルは、伸縮する部分の長さに応じた半径の湾曲部を設けて敷設しなければならない。この半径は、ケーブル外径の12倍以上としなければならない。
-3. 二重の給電が要求される場合には、各ケーブルはできる限り離れた電路に敷設しなければならない。
-4. 導体最高許容温度が異なる絶縁ケーブルは、できる限り同一帯金で束ねて敷設することを避けなければならない。やむを得ず束ねて敷設する場合には、いかなるケーブルも導体の最高許容温度の最も低いケーブルに許容された温度より高い導体温度にならないように使用しなければならない。
-5. 他のケーブルの保護被覆に損傷を生じやすい保護被覆を持つケーブルは、同一の帯金に束ねて敷設してはならない。
-6. ケーブルを曲げて敷設する場合には、ケーブルの曲げ半径は、次の値より小であってはならない。
(1)がい装のあるゴム及びビニル絶縁のもの:ケーブルの外径の6倍
(2)がい装のないゴム及びビニル絶縁のもの:
ケーブル外径≦25mm: ケーブル外径の4倍
ケーブル外径>25mm: ケーブル外径の6倍
(3)無機絶縁のもの:ケーブル外径の6倍
-7. 本質安全回路の敷設は、次によらなければならない。
(1)本質安全防爆形電気機器の本質安全回路のケーブルは専用のものとし、一般回路用ケーブルとは分離して敷設すること。
(2)種類の異なる本質安全防爆形電気機器の本質安全回路は、原則として、それぞれ別個のケーブルで配線すること。やむを得ず多心ケーブルで共用する場合は、各心又は対ごとに遮蔽を施したケーブルを用い、遮蔽は有効に接地すること。
2.9.11 火災に対する考慮
-1. ケーブルは、ケーブル本来が有する耐炎性を損なわないように敷設しなければならない。
-2. 重要用途及び非常用の動力、照明、船内通信、信号及び航海装置用のすべてのケーブルは、A類機関区域及びその囲壁、調理室、洗濯機室並びにその他火災の危険の高い区域を可能な限り避けて敷設されなければならない。非常配電盤と消火ポンプを接続するケーブルが、火災の危険の高い区域を通過する場合には、このケーブルは耐燃性のものとしなければならない。これらのケーブルは、可能な限り、隣接区域の火災による隔壁を通じてもたらされる熱により、電力の供給が損われないように配置し敷設しなければならない。
-3. 火災の際に使用される装置には、本会が適当と認める場合を除き、国際電気標準会議規格60331の試験に合格した耐燃性ケーブルを使用しなければならない。
-4. 発電機と主配電盤を接続するケーブルは、次の(1)から(3)の場合を除き、他の発電機用原動機及び燃料油清浄機の上方並びに燃料油清浄機室を通過してはならない。
(1)複数の発電機と主配電盤を接続するケーブルを少なくとも2系統に分け、分離して敷設する場合
(2)国際電気標準会議規格60331の試験に合格した耐燃性ケーブルを使用する場合
(3)本会が適当と認める防火措置を施す場合
2.9.12 危険場所内のケーブル
 危険場所内に敷設されるケーブルが、その場所における電気的な事故の際に、火災又は爆発をもたらすおそれがある場所には、適切な防護を行わなければならない。
2.9.13 金属被覆の接地
-1. ケーブルの金属被覆は、両端で有効に接地しなければならない。なお、最終支回路は、給電側だけを接地すればよい。また、一点接地が望ましい計装用のケーブルは、片側接地とすることができる。
-2. ケーブルの金属被覆は、全長にわたり電気的に連続していなければならない。
-3. 鉛被ケーブルの鉛被は、機器の非導電金属部の接地に用いてはならない。
2.9.14 ケーブルの支持及び固定
-1. ケーブル及び配線は、擦損、その他の損傷を被らないように敷設し支持しなければならない。
-2. ケーブルの支持及び固定間隔は、ケーブルの種類及びケーブルが敷設される場所の振動により選定しなければならず、かつ、40cmを超えてはならない。ただし、暴露区域以外に敷設されるケーブルであって、ハンガ等の上に水平に敷設されるケーブルにあっては、40cmを超えない間隔で支持され、かつ、90cmを超えない間隔で固定されればよい。また、ケーブルがダクト又は管内に敷設される場合は本会の適当と認めるところによる。
-3. バンド、支持物及び付属品は、次の(1)から(4)に適合しなければならない。
(1)バンドは十分な強さを有し、ケーブルの被覆を損傷することなく固定できるものであること。
(2)金属製のバンド、支持物及び付属品は、耐食性材料又は適当な防食処置を施したものであること。
(3)非金属製のバンド及び支持物は、難燃性のものであること。
(4)非金属製のバンドで固定したケーブルは、支持物の上に水平に敷設した場合を除き、火災によるケーブルのゆるみに対し考慮されたものであること。
2.9.15 隔壁及び甲板の貫通
-1. ケーブルが隔壁又は甲板を貫通する部分は、電線貫通金物、箱等を設けて隔壁及び甲板の強度、水密性及び気密性を損うおそれのない構造としなければならない。
-2. ケーブルが水密でない隔壁又は鋼製構造物を貫通する場合には、ブッシングを用いてケーブルに損傷を与えないようにしなければならない。隔壁又は鋼製構造物が十分な厚み(≧6mm)を持っている場合には、孔の両端に丸みを持たせれば、ブッシングと同等とみなすことができる。
-3. 電線貫通金物、ブッシング等は、耐食性材料又は防食処理を施したものでなければならない。
-4. ケーブルが防火壁を貫通する部分の構造は、防火壁の防火性を損うおそれのないものでなければならない。
2.9.18 冷蔵倉内の配線
 冷蔵倉内に敷設されるケーブルは、次の(1)から(6)の規定によらなければならない。
(1)ビニル絶縁ケーブルを使用する場合には、倉内の低温に耐えるものであること。
(2)ケーブルは、鉛被又は防水性がよく倉内の低温に耐える材質のシースを有するものであること。
(3)ケーブルは、原則として防熱装置の内部に埋め込まないこと。
(4)ケーブルが防熱装置を貫通する場合には、これと直角に敷設し、両端を密封した管に納めること。
(5)ケーブルは、天井、側壁又は風路の表面から離して敷設するものとし、導板、ハンガ又はクリートで支持すること。ただし、がい装上に防食層を施したケーブルを使用する場合には、これらの表面に直接敷設することができる。
(6)ケーブル支持用の帯金、導板、ハンガ等は、亜鉛めっき又はほかの適当な防食処理を施したものであること。







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