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第2節 発電機
(原動機)
第185条 発電機を駆動する原動機には、管海官庁が指示する負荷を急激に除去し、又は加えた場合、瞬間において10パーセント以内及び整定後5パーセント以内に速度変化を制御できる調速機を備え付けなければならない。
2. 前項の調速機が並列運転を行う交流発電機用原動機に備え付けられているときは、配電盤上に速度調整を行う装置を付けなければならない。
(関連規則)
1. 船舶検査心得
 185.1(原動機)
(a)「管海官庁が指示する負荷」は、除去の場合にあっては発電機の連続最大出力、投入の場合にあっては最初に発電機の連続最大出力の50%、その後60秒以内に残りの出力とする。ただし、これにより難い場合又はこれによることが不合理な場合には、資料を添えて首席船舶検査官まで伺い出ること。
(b)主機により駆動される発電機については、第196条ただし書き及び第199条の規定との関連において支障のないようにすること。
 185.2
(a)この装置はいわゆるガバナーモーターを制御するもので微小な速度変化(すなわち、周波数及び位相のずれ)を調整するため使用すること。
2. NK規則
2.4.2 調速特性
-1. 主電源装置用原動機の調速機の調速特性は、次によらなければならない。
(1)発電機の定格負荷を急激に遮断したとき、瞬時速度変動が定格速度の10%以下であること。
(2)発電機の定格負荷の50%を急激に加え、速度が整定した後、残りの50%をさらに急激に加えたとき、瞬時速度変動が定格速度の10%以下であること。また、最終整定速度の1%以内に回復するまでの時間は、5秒を超えないこと。なお、これにより難い場合及び発電機の負荷条件が著しく異なる場合は、本会の適当と認めるところによる。
(3)無負荷から定格負荷までのすべての負荷において、整定速度変動は、定格速度の5%以下であること。
-2. 非常発電機を駆動する原動機の調速特性は、次によらなければならない。
(1)非常時に給電される負荷の合計に相当する負荷を急激に遮断した場合、-1.(1)に規定する速度変動を超えないこと。
(2)非常時に給電される負荷の合計に相当する負荷を急激に加えた場合、-1.(2)に規定する速度変動を超えないこと。
(3)無負荷から非常時に給電される負荷の合計に相当する負荷までの負荷において、-1.(3)に規定する整定速度変動を超えないこと。
-3. 並行運転される交流発電機を駆動する原動機の調速機は、2.4.14-3.及び-4.に規定する負荷分担が確実に行えるものであって、かつ、常用の周波数のもとで発電機定格負荷の5%以内の負荷移動の調整が容易に行えるものでなければならない。
-4. 並行運転されるタービン駆動の直流発電機は、過速度調速機が動作したときに発電機の遮断器を開く装置を備えたものでなければならない。
第186条 蒸気タービンで駆動される直流発電機が2台以上並列運転される場合には、蒸気タービンの過速度調速器が作動したとき発電機の自動しゃ断器が同時に開くように装置しなければならない。
(回転軸)
第187条 発電機の回転軸は、十分な強度を有するものであり、かつ、その材料は、日本工業規格「炭素鋼鍛鋼品」SF440Aの規格に適合するもの又はこれと同等以上の材質のものでなければならない。
(潤滑油)
第188条 発電機潤滑油装置は、もれた潤滑油が巻線その他の充電部に侵入しない構造のものでなければならない。
2. スリーブ式軸受は、油面及び潤滑状況を監視できるように装置しなければならない。
(軸電流の防止)
第189条 発電機の軸と軸受との間に軸電流を生ずるおそれのある場合には、これを防止する適当な方法を講じなければならない。
(温度上昇限度)
第190条 発電機の温度上昇限度は、第10号表に定めるところによる。
 
第10号表 回転機の温度上昇限度表(第190条関係)
機器の部分 型式 温度上昇限度(摂氏・度)
A種絶縁のもの B種絶縁のもの
温度計法による 抵抗法による 温度計法による 抵抗法による
交流機回転子巻線 全閉形以外
のもの
50 60 70 80
全閉形 55 65 75 85
整流子をもつ電機子の巻線 全閉形以外
のもの
50 - 70 -
全閉形 55 - 75 -
絶縁を施した回転子巻線 全閉形以外
のもの
50 60 70 80
全閉形 55 65 75 85
直流を通じる界磁巻線 一般の
もの
全閉形以外
のもの
50 60 70 80
全閉形 55 65 75 85
露出した
平打巻
全閉形以外
のもの
60 60 80 80
全閉形 65 65 85 85
円筒回転子形交流
タービン発電機
- - - 90
鉄心その他の部分で
絶縁巻線に近接した部分
全閉形以外
のもの
50 - 70 -
全閉形 55 - 75 -
絶縁されない短絡巻線、鉄心その他の機械的部分で絶縁巻線に近接しない部分、ブラシ及びブラシ保持器 機械的に支障なく、かつ、附近の絶縁物に損傷を起こさない温度
整流子及び集電環 65 - 85 -
備考
1. 周囲温度が摂氏40度をこえる場所で使用するものには、その超過する温度をこの表の温度上昇限度から減ずるものとする。
2. 整流子又は集電環にB種絶縁を施した場合であって、A種絶縁を施したものがこれに極めて近接しているときは、その温度上昇限度は摂氏65度とする。
 
(関連規則)
1. NK規則
 1.1.7 周囲条件
-1. 電気設備の適切な動作を確保するために、その設計、選定及び配置に適用する周囲条件は、特に明記される場合を除き表H1.1及び表H1.2によらなくてはならない。
-2. 電気機器は、通常の状態における振動の下で支障なく動作するものでなければならない。
 
表H1.1 周囲温度
空気 設置場所 温度(℃)
閉囲区域内 0〜45
45℃を超える区域又は0℃を下回る区域内 計画条件による
暴露甲板上 -25〜45
海水   32
 
表H1.2 傾斜角度
電気設備の種類 左右方向(1) 前後方向(1)
静的傾斜
(横傾斜)
動的傾斜
(ローリング)
静的傾斜
(縦傾斜)
動的傾斜
(ピッチング)
次の欄に掲げるものを除く電気設備 15° 22.5° 7.5°
非常電気設備、各種開閉装置(遮断器等)並びに電気及び電子器具 22.5°(2) 22.5°(2) 10° 10°
(備考)(1)左右方向と前後方向の傾斜は同時に起こることを考慮すること。
(2)液化ガスばら積船及び危険化学品ばら積船にあっては、船舶が浸水した状態で左右方向30度の傾斜まで使用可能なように非常用電力を供給できるものであること。
 
2.4.3 温度上昇の限度
 回転機の温度上昇は、定格負荷で連続運転したとき又はそれぞれの時間定格に応じて運転したとき、表H2.2.に示す値を超えてはならない。また、静止形励磁装置の温度上昇は2.5.10-2の規定に適合しなければならない。
 
2.4.4 温度上昇限度の修正
-1. 空気冷却器を備えて強制冷却する回転機の温度上昇は、冷却器の入口における冷却水の温度が32℃以下のときは、表H2.2の値より13℃高くとることができる。
-2. 基準周囲温度が45℃を超える場合には、温度上昇限度は、表H2.2の値よりその差だけ低減する。
-3. 基準周囲温度が45℃以下の場合には、温度上昇限度は、表H2.2の値よりその差だけ高くとることができる。この場合、基準周囲温度は、40℃未満とすることはできない。
 
表H2.2 回転機の温度上昇限度(℃)
(基準周囲温度の限度45℃)
(備考)1. 全閉形回転機の項1、2及び3Aを温度計法で測定する場合は、表の数値より5℃高い温度とする。
2. 誘導機の項1及び項2は温度計法によらないこと。
3. 整流子又はスリップリングに高級な絶縁物が使ってあってもこれに極めて近接した巻線部分に低級な絶縁物のある場合には、低級な絶縁物に対する温度上昇限度による。
4. 回転機の同一部分に対して、数種の温度測定法が与えてあるが、これは同一部分の温度を2つ以上の方法(例えば、温度計法と抵抗法)で測定することを意味するものではない。
5. 交流機固定子巻線では、5000kW(又はkVA)以上のもの、又は固定子鉄心の長さ(通風ダクトを含む。)が1m以上のものに対しては、原則として埋込温度計法を適用する。
2. NK規則検査要領
H2.4.3 温度上昇の限度
-1. 軸受の温度上昇限度については次による。
(1)軸受(自冷式)の温度上昇限度は、表面で測定したとき35℃、メタルに温度素子を埋込んで測定したとき40℃とする。ただし、耐熱潤滑剤(例えば、リチウム石けんを主とする潤滑グリース)を用いる場合は、表面で測定し、50℃とする。
(2)F種以上の耐熱絶縁材料を使用する回転機で、前(1)により難い場合は、採用しようとする温度上昇限度について、軸受及び潤滑剤の耐熱性に関する資料を添え、本会の承認を得る。
-2. 空気冷却器を備えて強制冷却する回転機の巻線類の温度計測方法は、埋込温度計法又は抵抗法によるものとする。
H2.4.4 温度上昇限度の修正
 空気冷却器を備えて強制冷却する回転機の冷却水温が32℃を超える場合の温度上昇限度は、その都度定める。







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