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3・9・5 空胴共振器
 比較的低い周波数の信号を発振させたり、受信したりするときによく使用される共振回路(同調回路)は図3・36に示すようなインダクタンスLのコイルとキャパシタンスCのコンデンサーを並列に接続した回路である。
 このような回路の共振(同調)周波数fは
 
 
であり、これは集中定数回路である。マイクロ波の領域になると、このような共振回路にも分布定数回路が使用され、例えば、平行線路を使ったものであれば、共振周波数の波長の1/2の長さに平行線を短絡したものがある。しかし、このような平行線共振器はマイクロ波の領域では、そこから電波が空中に放射されるため放射損失などによって、必ずしも効率のよい(Qの高い)共振器とはならない。
 
図3・36 共振回路
 
 平行線の代わりに、同軸線路の断面部を長さλ/2で短絡(導体で閉じた)したものは共振器となり、これはその同軸共振器と呼ばれる。導波管の場合も同様で、その長さを1/2波長又はその整数倍で短絡をすると共振回路となる。このような同軸線路や導波管の一部分を使った回路は、全体的に閉じられているので、電波が外に放射されることもなく、また、内壁等に導電率の高い金メッキ等を施して抵抗損失を防ぐことができるので効率のよい(Qの高い)共振回路を構成することができる。
 導波管の一部で構成されるような共振器は円形の導波管を使用することもできるし、またその内部の形をいろいろに変えたものとすることもでき、これらはすべて空胴共振器と呼ばれる。図3・37にはその例を示すが、(a)はドーナッツ形の内の輪をっないだもの、(b)は円形の導波管の上部を同軸形にしたものである。(b)図のように内部の突起を上下できる金属棒で構成しておくと、その上下によって底面との間にキャパシタンスが変化するので、一義的には、その内のり寸法できまる空胴の共振周波数を、ある程度変更することができるようになる。空胴共振器は、導波管と同様、その内部の電磁界の励振の仕方によって、いろいろなモードが考えられる場合もある。この場合も、その振動モードによって共振周波数は変化をする。
 
図3・37 空胴共振器の例
 







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