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4・9 航海用レーダーの効力試験(機能及び動作試験)
4・9・1 電源部
(1)主電源及び代替電源から受電可能であり、電源の切替えが素早く、かつ、円滑にできること及び電源電圧が規定値以内であることを確認すること。
(a)レーダーを動作状態として電源の切替えを数回行ってみる。この切替えが簡単に、かつ、素早く行えることを確認する。
(b) (a)の切替えの際動作中のレーダーの作動に異常が生じないことを確認する。
(2)電源スイッチをオフからオンとしたとき4分以内で完全に作動することを確認すること。
(3)電源スイッチをオンからSTAND-BY(準備)の位置に戻し、再びオンとしたとき15秒以内で完全に作動することを確認すること。
4・9・2 空中線部
(1)空中線が、毎分20回以上【12回以上】(乙種は12回以上)の速度で連続的かつスムーズに回転することを確認すること。
(2)回転音に異常がないことを確認すること。
(3)周波数が適正であることを確認すること。
(a)9GHz帯*(以下「X帯」という。)については、指定周波数を確認の上、空中船の輻射ビームを周波数測定器で計測し、指定周波数±55MHz以内であることを確認する。
*:測定できない場合は指定周波数を確認する。
(b)X帯以外の周波数*のうち3GHz帯(以下「S帯」という。)については指定周波数の±50MHz以内であることを確認する。
*:測定できない場合は指定周波数を確認する。
・周波数の測定について:
 9GHz帯の周波数測定には、空胴周波数計等が用いられる。その一例を図4・5に示す。
 9GHz波帯レーダーの空中線から放射されるマイクロ波をホーンアンテナにより受信して空胴共振器に導入する。空胴共振器は駆動ハンドルを回転することによって空胴内部のプランジャーが動いて空胴の軸長が変化する。共振器の出力は検波器により検波され指示計を振らせる。指示計が最大に振れる点が共振点であり、この時のプランジャーの軸長を示す精密目盛とこれと連動して周波数が直読できる直読周波数目盛円筒が装備されている。
 
図4・5 空胴周波数計
 
 測定に当たってのホーンアンテナの配置の一例を図4・6に、測定方法の一例を次に示す。
(a)レーダー空中線は静止状態にしておく。
(b)送信パルス幅は0.5μs以上のロングパルスにする。
(c)本体の入力端(INT)とホーンアンテナとを高周波ケーブルで接続する。
(d)ホーンアンテナを空中線から1m程度に近付ける。
(e)本体の駆動ハンドルを回して指示計の針が最大に振れる点を求める。
(f)直読周波数目盛を温度補正用カーソルで補正して読み取る。
 
 
図4・6 ホーンアンテナの配置
(注1)送信出力の大小により指示計の針が振り切れたり、振れが少なくて測定が困難な場合は、図に示すようにホーンアンテナとレーダー空中線の偏波面の角度を変える。角度の目安として尖頭送信出力が50kWの場合θは約90度に、5kWの場合は45度位が適当である。
(注2)測定者はレーダーの空中線から放射されるマイクロ波の照射を受けないよう注意する。また、他の作業者等にもマイクロ波が直接当たらないように気をつけること。なお、送信出力が10kW以上の場合には空中線から7〜10m以内で長時間直接照射を受けたとき人に対して電波障害があるといわれている。
 
4・9・3 送受信部
(1)主要チェックポイントにおける電圧に異常がないことを確認すること。
(a)各チェックポイントにおける電圧は、当該機器の取扱説明書の指示値による。
(b)各計測値は、レーダー日誌に記録してもらう。
(2)作動音に異常がないことを確認すること。
(a)ファンモーターの回転音や風量、あるいは取付けの状態を確認する。
(b)通風口やフィルターは、綿ごみなどが詰まりやすいので特に念入りに点検し、電気掃除機で吸い取って清掃する。







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