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1・3・6 電波法によるレーダーの検査
(1)概要
 船舶に装備される航海用レーダーは、電波を利用した航法装置であるので、電波法の規定に基づき設置、運用される。
 したがって、無線局として総務大臣の免許を受けなければ、無線局の運用はできない。また、レーダーの操作及び保守を含め無線局を運用する者は、無線従事者の資格を有する者でなければならない。ただし、空中線電力が5kW未満のレーダーで技術基準適合証明又は型式検定に合格したレーダーは、無線従事者の資格を必要としない。
 船舶におけるレーダーの無線局は、無線航行移動局又は船舶局となる。船舶局の場合レーダーは無線設備の一部となるので申請業務は、他の無線設備と一括して行われるのが一般的である。これらの申請業務は、無線機器メーカー等が船舶の所有者又は運航者の代行をしているのが通例である。
 レーダー及びその他の無線設備の装備が完了した後に、地方総合通信局による無線局の検査を受検しなければならない。
(2)関連法規
a)電波法 第二章 無線局の免許(第4条から第24条)
   第五章 運用 (第52条から第55条及び第60条)
b)電波法施行規則(以下「施則」と称する)
c)無線局免許手続規則(以下「免則」と称する)
d)無線局認定点検事業者規則
(参考)
1 無線設備とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。
2 無線局とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。
3 無線従事者とは、無線設備の操作を行う者であって、総務大臣の免許を受けたものをいう。
4 船舶局とは、船舶の無線局のうち、無線設備が遭難自動通報設備又はレーダーのみのもの以外のものをいう。(注参照)
5 義務船舶局とは、船舶安全法第4条(同法第29条の7の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)によって無線電信などを義務づけられている船舶局をいう。
6 特定船舶局とは、空中線電力が5W以下の無線電話を使用する船舶局であって、総務大臣が別に告示するものをいう。
(注)無線設備が遭難自動通報設備のみの場合、無線局の種別は遭難自動通報局となり、レーダーのみの場合又はレーダー及び遭難自動通報設備のみの場合、無線局の種別は無線航行移動局となる。
(3)無線局の申請から免許までの概要
 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。(電波法第4条)
 免許を受けないで無線局を開設し、又は運用した者は、電波法違反として罰則規定の対象となる。(電波法第110条)
 船舶局又は無線航行移動局の申請は、その船舶を運航する者とされている。また、無線局の免許に関する事項は、総務大臣から地方総合通信局長に権限が委任されているため、申請書類等は当該船舶の主たる停泊港の所在地を管轄する地方総合通信局長あてに提出する。
 免許の申請から開設までの概要は、以下に示すとおりである。
a)免許申請
 無線局免許手続規則の規定に従って、免許申請書に無線局事項書、工事設計書、図面、資料等を添付して申請する。(免則第3条、第4条)
 船舶局又は無線航行移動局の場合で、申請者と船舶の所有者が異なるときは、申請者が当該船舶を運用する者である事実を証する書面を添付しなければならない。(免則第5条)
 申請書類の様式は、無線局の区分によって相違する。(免則第3条、第4条)
b)予備免許の付与
 無線局免許申請書が受理されると、申請の内容について審査され、電波法第7条に適合していると認められれば、工事落成の期限、電波の形式及び周波数、呼出符号又は呼出名称、空中線電力、運用許容時間を指定して、予備免許が与えられる。(電波法第8条)
c)工事落成の届け及び落成後の検査
 予備免許を受けた者は、工事落成の期限内に無線設備の装備工事を完了させ、その旨を総務大臣に届け出て、検査を受けなければならない。(電波法第10条)
 この落成後の検査は新設検査といわれており、その無線設備、無線従事者の資格及び員数、並びに時計及び業務書類について、地方総合通信局により検査が行われる。
d)レーダーの検査
 船舶に装備された航海用レーダーの新設検査は、申請内容の事実の確認、当該レーダーの型式、構成、製造番号等の確認及び総合試験を行う。総合試験は、起動時間を計測した後に、距離レンジ、同調、利得調整、STC、FTCについて、指示器により動作状況を確認する。また、自動レーダープロッティング機能が付加されている場合は、目標の捕捉及び追尾、警報、表示の消去についてその動作を確認する。
e)無線局の開設
 地方総合通信局の検査に合格したとき、無線検査簿にその旨記載され、無線局免許状が交付される。すなわち、無線局の開設となる。
 
◎無線局申請から免許までの手順







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