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第4章 アンマーに学ぶ魚の知識
1. アンマーは魚の専門家
 
 海人のとった魚を売るのはアンマーたちの仕事でした。アンマーと言えば「お母さん」という意味の沖縄方言です。現在も市場や鮮魚店に行くと、アンマーたちがにぎやかに魚を売っています。
 長年魚を売り続けてきたアンマーたちは魚の専門家。ここではアンマーたちが魚について持っている知識を紹介しましょう。
 
(写真提供:坂井和夫氏)
 
(Q)この写真は、港川のセリでアンマーたちが魚を見立てているところです。アンマーは、魚のどんなところに着目して、よい魚を選んでいるのでしょうか。
 
●このアカマチ(ハマダイ)は、上等ですか?
 
 
アンマーの着眼点
1 目の小さいのがよい
2 尾の付け根の太いのがよい
3 尾の長いのがよい
 
 アカマチは沖縄で最も人気のある魚の一つ。刺身で好んで食べられます。
 魚の太さを調べるのに、「腹」は魚が食べたものでふくらんでいるかもしれないので、手がかりになりません。そのかわり、アンマーが調べるのは「目の大きさ」と「尾の付け根の太さ」です。アカマチの眼球はほぼ同じ大きさだから、目の小さく見えるアカマチが太っているのだといいます。
 また、「尾の長さ」の長いアカマチのほうが、肉がしまって上等と、アンマーはいいます。同じ体長でも、尾の長いものは若いアカマチである可能性があります。
 
●このシロイカ(アオリイカ)は、上等ですか?
 
 
アンマーの着眼点
1 指でさわったとき色が変わるか
2 すみがたくさん入っているか
 
 新鮮なシロイカは、手でさわると、褐色に変色し、やがてもとの白い色に戻ります。死んで時間のたったシロイカはさわっても白いままです。また、シロイカはすみ汁にして食べられることが多いので、すみが重要です。薬効があるとされるのもすみで、すみをよく煮ると「トメグスイ」といって、何でも止める効能があり(例:下痢止になる)、すみを煮詰めなければ「サギグスイ」といってなんでも下げる効能がある(例:便通をよくする)、と言われています。また、すみは「チーシマシグスー」と言われ、血の循環をよくすると言われています。







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