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2002年度ホスピス教育研究所の活動
 ピースハウスの2階に位置するホスピス教育研究所は、神奈川県をはじめ全国に向けてのホスピス緩和ケアに関する教育啓蒙活動、院内スタッフ・ボランティアの教育、さらに、国内外の他施設・団体とのネットワーク作りなどを主な業務としています。
 2002年度より「全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会」事務局を引き受け、年次大会・理事会・総会・専門委員会などの開催、全国の現状調査、ニュースレターの発行など、協議会事務局の業務も平行して行っています。
 
1. ターミナルケア人材育成講座の開催
講座名 期日 日数 講師 参加人数
ホスピス緩和ケア講座 2003年2月 3 西立野研二、他9名 延132
ホスピスセミナー
がん患者の看護
−痛みのマネジメントの基本と臨床への応用−
2002年6月 1 岡田美賀子 79
ホスピスセミナー
がん患者の精神症状への対応
−抑うつ、不安、せん妄を中心に−
2002年10月 1 内富庸介 92
ホスピスセミナー
インフォームドコンセントの意味を問い直す
〜終末期ケアの現場から〜
2002年11月 1 石垣靖子 75
ホスピスワークショップ
終末期患者とリハビリテーション
2002年12月 1 仲 正宏 82
ボランティア講座 2002年5月〜6月 6 北川輝子、他5名 10
ボランティアアドバンスト講座 2002年4月〜2003年3月 4 安惠美、佐々木邦江、二見典子、深沢里子、他5名 延131
ピースハウスホスピス
公開セミナー
2002年5月〜2003年2月 7 松島たつ子 延228
 
2. 第10回ホスピス国際ワークショップの開催
期日 2003年1月25日(土)・26日(日)
場所 ピースハウスホスピス教育研究所
テーマ ホスピス緩和ケア〜過去・現在・未来〜
講師 William M. Lamers、Jr. M. D.
Medical Adviser for the American Hospice Association
Inge B. Corless、R.N.、Ph. D.、FAAN.
Professor. Graduate Program in nursing、MGH Institute of Health Profession、Massachusetts General Hospital
参加 104名
 
3. 研修生の受け入れ
(1)医療職のためのホスピス研修(計7名)
平塚共済病院看護師(1)、衣笠病院医師(1)、広島県シムラ病院医師(1)、広島県河石記念病院医師(1)、多摩南部地域病院医師(1)、栃木県がんセンター医師(1)、九州大学医学部(1)
 
(2)ホスピスナース養成研修(計16名)
日本看護協会「緩和ケアナース養成研修」
筑波メディカルセンター病院(1)、群馬大学医学部付属病院(1)、昭和大学横浜市北部病院(1)、長岡西病院(1)、豊科赤十字病院(1)、千葉市立病院(1)、国立病院四国がんセンター(1)、岡部病院(1)、石川県済生会金沢病院(1)、いずみの病院(1)、近藤内科病院(1)、イエズスの聖心病院(1)、福島労災病院(1)、愛知国際病院(1)
日本看護協会「認定看護師研修」
山口赤十字病院(1)、ベルランド総合病院(1)
 
(3)ホスピス体験実習(計40名)
神奈川県立曽屋高校(15)、二宮高校(3)、ルーテル学院大学(3)、女子栄養大学(2)、聖路加看護大学(3)、宮城大学看護学科(3)、国立病院東京医療センター附属東ヶ丘看護助産学校(1)、南足柄市立岡本中学校教諭(1)、日本財団職員(1)、日本ルーテル神学校(8)
 
4. ピースハウス見学者への対応 84件 469名
主な見学団体
愛和病院緩和ケア病棟、湘南中央病院、東海大学医学部、県立広島病院、聖テレジア病院、西横浜国際総合病院、多摩南部地域病院、近江八幡市医師会、聖路加国際病院、都立駒込病院、聖ヨハネホスピスボランティア、レキシントンバプテスト病院チャプレン、洗足学園大学音楽療法研究室、国際医療福祉大学、聖カタリナ女子大学、国際基督教大学、神奈川県ナースセンター訪問看護師養成講習会、神奈川県医療社会事業協会、日本財団、日本化薬株式会社、近藤植木、文芸春秋社、NHK番組制作局、神奈川県衛生部、杉並区議会議員、淡路島町議会、小田原ルーテル教会、浄土真宗東京ビハーラ、横浜グリークラブ、厚木痴呆家族の会 他
 
5. 事例検討会
期間 2002年4月〜2003年3月(11回)
主なテーマ
・患者・家族の意思を尊重するケアとは
・食欲不振を訴える患者への対応
・家族の悲嘆の援助 −チームによるアプローチ−
・ホスピスにおける長期入院
・終末期の輸液について考える
・「食」に固執した夫への関わりを振り返って
・ホスピスにおけるリハビリテーション
・ホスピスにおける音楽療法
延参加人数:306名
 
6. ホスピスケア研究会
期間  2002年4月〜2003年3月(7回)
主なテーマ
・個人の略歴 −私の死と生を考える−
・多職種が参加するチームケアについて
・チャレンジングホスピス
・喪失と悲嘆
・死生観
・スピリチュアルケア −価値観について考える−
・文学にみる生と死
延参加人数:80名
 
7. Study Day 症状マネジメントを学ぶ
期間 2002年5月〜2003年3月(6回)
主なテーマ
・緩和ケアと薬剤 ・呼吸困難
・痛み ・せん妄
・嘔気、嘔吐 ・褥創ケア
延参加人数:76名
 
8. 地域ホスピスケア研究会
期間 2002年4月〜2003年2月(5回)
主なテーマ
・ホスピスからの退院計画と継続ケア
・病院から在宅へ継続されたターミナルのケース
・ターミナル期の家族看護
延参加人数:98名
 
9.緩和医療研究会
(進行癌患者の症状マネジメント)
期日 2002年6月〜2003年1月(5回)
主なテーマ
・骨転移のある患者の疼痛マネジメント
・がん性疼痛コントロールに苦慮した食道がん局所再発の一例
・転移性肝臓がん患者の倦怠感、疼痛マネジメント
・終末期と輸液の問題
・デュロテップパッチ使用経験と課題
・モルヒネの副作用対策
・ペインコンロトールに苦慮し、死の恐怖のためにセデーションにいたった一例
・終末期患者とのコミュニケーション
延参加人数:151名
 
10. 図書・文献整備
購入図書 31冊
定期購読雑誌 17冊(和雑誌9冊、洋雑誌8冊)
 
11. 研究所会員制度
  (図書貨出、文献検索サービスなど)
会員数 48名(医師12名、看護師18名、大学又は大学院生5名、看護学講師3名、大学講師1名、臨床心理士1名、歯科医師1名、研究員1名、ライター1名、ソーシャルワーカー1名、パストラルケアカウンセラー1名、ボランティア1名、一般2名)
 
12. 機関誌発行
ピースハウス活動報告(ふれんずIssue No.8)
3,500部
サポートチーム活動
 時はたしかな歩みを刻んでいることを気づかせてくれます。
 多くのかたのサポートをいただきながらこのピースハウスは10年を迎えてしっかりと地に根付いてきていることを感じます。
 さて、1年間を振り返りますと今年もいろいろな方からご支援をいただきました。新しいグループを先ずご紹介します。
1. 稲村ヶ崎キルトの会グループ
 手芸の好きな友人が集まってボランティア活動が個人のお宅で1月に1回集まり作品を作ってくださっています。ベッドカバーやひざ掛けが出来上がり、到着しました。ピースハウスのカラーにぴったりの素敵な色合いのキルトです。
2. 第6回夢コンサート 5月
 ピースハウスで亡くなられたチェリストの徳永健一郎さんを偲んで開かれました。ホールには患者さんはじめ多くの方々が集まられ、ご一緒に夢コンサートの音楽の時を楽しみました。
3. 第13回姫由美子と素敵な仲間たちコンサート 5月、鶴見会舘で開催されました。
4. 第3回姫由美子クリスマスコンサート 12月平塚で恒例の催しとなりました。
5. 最後になりましたが、わたくしどもの仲間たち三つのサポートグループが多大の働きをなさいました。
 BeBe サンタクロースは12月にチャリティ活動を、またLPC ホスピスサポートチームは毎月のミニバザーとチャリティコンサートなどでシャトルバス運転の費用を寄付して下さり、府中花みずきの皆さんには、ピースハウスの介護用品そのほかを援助して頂き、永年にわたる継続のサポートには感謝の外ありません。ティタイムコンサートにボランティア出演をしてくださる音楽家の方々にもお礼を申し上げます。
ライフプランニングセンター
ボランティアコーディネーター 北川 輝子
ピースハウス 家族の会
 ピースハウス家族の会は、ピースハウスで亡くなられた方の家族の人達が、同じ思いで集い、愛する人を偲び、語り合い行動することにより、これからの人生をより豊かに、健やかに生きていくことを目的に作られたものです。
 会の主な行事は、春の懇親会、秋の総会、月一回の「ぶらっとスポット」そして会報「悠友」の年四回の発行があります。
 昨年秋の総会後の懇親会で初の試みとして会員さん参加による作品展を行いました。当日は、絵画、陶器、皮染、写真などの作品が集まり、ご夫婦で篠笛の演奏をされた方もありました。それらの作品を見ながら語らい、共通の趣味を通して、お茶を飲みながらの話もはずみ、亡き人を偲ぶ・・・ピースハウスのそこはとても素敵な空間になったように思われました。
 「ぶらっとスポット」は「気軽にお茶を飲みお話にいらっしゃいませんか」というお誘いでピースハウスにお越し頂いております。
 昨年は「野外ぶらっと」として秋に鎌倉散策をし、この初春には松田で早咲きの桜を愛でました。ピースハウスには、つらくてまだ訪れることの出来ないという方も、外での開放的な雰囲気の中で自然に触れながら、同じ思いの方々と同じ時を過ごすことで、多くを語らなくても解りあえ、気持ちが安らぐのではないでしょうか。
 そして「悠友」は会員さん同士をつなぐ大切な会報です。色々な事情で外へ出られない方も毎回送られる「悠友」を楽しみにされているようです。
 現在約180名の方が会員となられておりますが、皆さんが一日も早く癒され、明日に向かって生きて行かれることを願っております。そして「家族の会」は、同じ体験をされた方々と共に泣き、共に笑い合える、そんな会でありたいと思っております。
 
ピースハウス家族の会 会長 中村 由美子
入退院状況 (2002年4月〜2003年3月)
 2002年度の入院患者総数は、前年度とほぼ同じであったが、入退院を繰り返す患者が少なく、入院延べ数は124名であった。性別では、前年度とは異なり、以前のやや女性の多い状態に戻った。平均年齢は、高齢化の傾向がうかがわれる。独居者(約25%)の増加も目立つ。平均在院日数は前年より長くなった。時間単位や日日単位の入院もいまだにあるが、最長約8ヵ月と長期化の傾向も認められる。
 
(1)入院患者数 122名 延べ124名
(2)男女別 男53名 女69名
(3)平均年齢 68.5歳
(4)平均在院日数 40.8日
(5)原発疾患
肺癌 19 胃癌 16 頭頚部癌 11
大腸癌 10 直腸癌 10 乳癌 9
膵癌 8 肝癌 7 子宮癌 5
食道癌 4 胆道癌 4 腎癌 4
甲状腺癌 3 卵巣癌 3 前立腺癌 3
膀胱癌 2 尿管癌 1 悪性リンパ腫 1
脳腫瘍 1 原発不明 1  
 
(6)患者住所分布
神奈川県 104 東京都 9 静岡県 4
千葉県 2 茨城県 1 埼玉県 1
鹿児島県 1    
 
(7)神奈川県の内訳
秦野市 19 藤沢市 12 中郡 11
横浜市 11 厚木市 10 小田原市 9
平塚市 8 茅ヶ崎市 5 鎌倉市 4
伊勢原市 3 綾瀬市 3 足柄上郡 2
海老名市 2 相模原市 2 足柄下郡 1
南足柄市 1 座間市 1  
 
(8)紹介病院一覧
 
東海大学医学部付属病院 26
藤沢市民病院 8
国立がんセンター中央病院 7
秦野赤十字病院 6
小田原市立病院 3
山近記念総合病院 3
東海大学大磯病院 3
平塚共済病院 3
平塚市民病院 3
茅ヶ崎徳洲会病院 3
県立厚木病院 3
東京女子医科大学病院 3
国立療養所神奈川病院 2
くず葉台病院 2
杏雲堂平塚病院 2
県立がんセンター 2
けいゆう病院 2
済生会横浜市南部病院 2
 
<紹介病院 各1件>
愛鷹病院・旭病院(横浜市)・伊勢原協同病院・海老名総合病院・及川内科医院・小澤病院・河上病院・北里大学東病院・国際親善病院・コンフォート病院・相模更正病院・湘南鎌倉総合病院・湘南第一病院・昭和大学藤が丘病院・白鴎病院・新東京病院・聖マリアンナ医科大学病院・聖マリアンナ医科大学横浜西部病院・立山クリニック・多摩南部地域病院・茅ヶ崎市立病院・東京共済病院・東京都済生会中央病院・東邦大学大橋病院・東名厚木病院・取手協同病院・長生病院・二宮医院・前田病院・間中病院・右田病院・三田村医院・森の里病院・横浜旭中央病院・横浜市立港湾病院・横浜市立市民病院・横浜新緑総合病院・横浜労災病院・老健施設のぞみ (順不同)
ホスピス相談とピースハウスへの入院申込
相談の窓口
 
 ピースハウスでは、下記の相談についての窓口を設けています。
1. 当院への入院に関する相談
2. 当院での外来や訪問診療に関する相談
3. ホスピスに関する一般的な相談
4. これからの生活に関する相談 など
 これらの相談は、ソーシャルワーカーが窓口になっています。来院による相談は予約が必要ですので、お電話でご連絡ください。
 
入院や外来診療、訪問診療に関する手続き
 
 ピースハウスは、治癒が困難ながんの患者さんとご家族に、ホスピスケアを提供する病院です。患者さんの苦痛を緩和するとともに、ご家族への支援も行うため、多職種の職員とボランティアが協力してケアにあたります。
 ホスピスの主旨をご理解いただくことと、現在の患者さんのご様子について事前に把握させていただくため、患者さんやご家族と入院前に面談の機会を設けております。面談時にご用意いただく医療情報がございますので、入院・外来診療・訪問診療をご希望の方は、まず、お電話ください。
 訪問看護ステーション中井や各地域の訪問看護ステーションと協力して、在宅ホスピスケアも行っています。
 
入院の費用
 
 医療費には健康保険が適用され、患者さんの負担額によっては、その一部が高額療養費制度申請により還付されます。
 
○ ○ ○
 
 当院に関する情報はインターネットでもご覧いただけます。
 http://www.lpc.or.jpをご覧下さい。
 
2002年度の相談状況
 
(1)相談件数:536件
(2)相談者:
家族:324名
ソーシャルワーカー:73名
本人:24名
知人:22名
看護師:14名
医師:5名
その他:22名
不明:52名
(3)県別居住地:神奈川:450人
東京:32人
その他:54人
 
(2)相談者
 
(3)県別居住地
 
施設内容とスタッフ
 
病床数・形態
承認緩和ケア病床22床(個室12室、2床室1室、4床室2室)、院外独立型(2階建、1階病棟、2階ホスピス教育研究所)
スタッフ
専任医師3名、非常勤医師2名、看護師24名、看護助手4名、薬剤師2名、MSW 1名、チャプレン1名、栄養士2名、キッチンスタッフ7名、事務員3名、ハウスキーパー6名、ボランティアコーディネーター1名、ボランティア75名、施設管理1名、運転スタッフ7名、教育研究所4名
看護体制
プライマリーナーシング(受持ち制)
総面積
敷地面積:5,790m2 建築面積:1,820m2 延床面積:3,099m2 個室面積:20〜23m2
差額ベッド代 個室以外は無料、個室一日 18,000円、23,000円
交通
小田急線秦野駅・JR東海道線二宮駅よりいずれも車で15分
2駅とホスピス連絡のための定時のシャトルバス有り
寄付報告 (2002年度収支報告)
○収支の状況
 
 2002年度の延入院患者数は、6,065人日、1日当り平均在院患者数は、16.6人、平均ベッド稼働率は75%で、前年の74%とほぼ同じでした。予てより懸案であった駐車場拡張工事を今年度実施したことにより経常収支は、赤字となりました。
 
 
 
千円
 
経常収入
経常支出
327,966
352,251
 
 
当期経常収支差額
寄付金・会費収入
▲24,285
22,305
 
 
 
 
千円
 
当期収支差額
▲1,980
 
 
○寄付金・フレンドの会会費
 
 
 
 
千円
 
運営のためのご寄付
フレンドの会会費
133件
338件
16,925
5,380
 
 
 
 
 
千円
 
合計
471件
22,305
 
 
 2003年9月には、開設後丸10年を迎えます。
 これまで多くの方々のご理解とご支援により支えられてきたことに対し心より感謝申し上げ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 
◎ピースハウスをご支援いただくには次のような方法があります。
 
●運営のための寄付
 ご寄付は随時受け付けています。
 お振り込みは下記にお願いいたします。
 
郵便振替口座 00130−6−407939
加入者名 (財)ライフ プランニング センター ピース・ハウス募金口
 
●フレンドの会(事務局にお問い合せの上、お申し込み下さい。事務局電話 03−3265−1907)
 特定の金額を年会費として継続的にご寄付くださる方の会です(年によってどの会員でも選べます)。
 かとれあ会員 10万円以上 はなみずき会員 5万円
 ばら会員 3万円 さくら会員 1万円







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