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1.5 対象文書の概要
 ISO10303-216の構成は次のとおりである。また、本書にて解説する箇所をカッコ内に示す。
 
Foreword(ISO TC184/SC4 STEPの全体構成を示しているのでここでは解説省略)
Introduction -概要 (この後で説明)
1 Scope -適用範囲 (本書2で説明)
2 Normative references -参照している他のPart
3 Terms, definitions and abbreviations -用語の定義と略語
4 Information Requirements -要求事項
4.1 Units of Functionarity -UoF (本書4で説明)
4.2 Application objects -AP216の対象物 (本書5で説明)
4.3 Application Assertions -Application object間の関係や評価基準等(本書5で説明)
5 Application interpreted model -AIM
5.1 Mapping specification -UoFに対するマッピングの仕様
5.2 AIM EXPRESS short listing
6 Conformance requirements -適合条件 (本書6で解説)
Annexes
A. AIM EXPRESS expanded listing
B. AIM short names
C. Implementation method specfic requirements
D. Protocol Implementation Conformance Statement(PICS) proforma
E. Information object registration
F. Application activity model - AAM (本書3で解説)
G. Application reference model - ARM (本書5で解説)
H. AIM EXPRESS-G - AIM
J. Computer interpretable listings
K. Application protocol usage guide
L. Technical Discussion -技術的審議事項 (本書7で解説)
 
ISO10303-216ドキュメントのIntroduction(概要)
 ISO10303はコンピュータが解釈できる表現及び製品モデルデータの交換に対する国際規格である。その目的は製品のライフサイクルを通して、各システムとは独立して、製品データを記述できる中立的なメカニズムを用意することである。この記述の特徴は中立的なファイルの交換ができるだけでなく、プロダクトデータベースへのインプリメントやその共用及び記録管理ができることである。
 
 ISO10303のこのパートは、アプリケーション・プロトコル・シリーズの一つである。ISO10303のAP216は、船体モールド形状および流体静力学的な特性に対するアプリケーションプロトコルを詳述する。船体モールド形状の定義は、船体外形・プロペラ・ラダー・船体付加物・船体内部構造の幾何学的な表現についてサポートしている。
 ISO10303のAP216は船舶用アプリケーションプロトコルシリーズの1つであり、コンピュータが解釈可能な船用に拡張された製品モデルを提供することを狙いとする。
 
 船舶用アプリケーションプロトコルのシリーズは「船舶製品モデルは船の全ライフサイクルに対するkey element(キー要素)を含むそれぞれの船舶システムに分けて扱うことが出来る」と仮定している。これらのキー要素は、
 
- ship moulded forms
- ship arrangements
- ship distribution systems
- ship structures
- ship mechanical systems
- ship outfit and furnishings
- ship mission systems
 
である。区分された各システムは1つ以上の異なるアプリケーションプロトコルで記述される。船用アプリケーションプロトコルの全シリーズを図1-1に示す。各船用アプリケーションプロトコルに共通な船舶製品モデルの上記のような見方は各アプリケーションプロトコルの中で一貫して同じように記述されている。 Annex Lでは、船舶用アプリケーションプロトコルとそれらの要素に関する追加の情報を表している。また、船舶用アプリケーションプロトコルに共通のデータに関する情報も含む。
 
図1-1 船用アプリケーションプロトコル
 
 船舶用アプリケーションプロトコルのシリーズのうち、ISO10303のAP216は船体モールド形状の幾何を詳述している。
 
 モールド形状は、船を構成する材料の板厚情報を含まない、形状及び設計パラメーターである。モールド形状は、船体外形、プロペラ、ラダー、船体付加物、甲板、隔壁のような構造要素を記述していてもよい。特徴的なmoulded formは hull moulded formとして参照される船体外形形状である。hull moulded formは、初期設計時に各社間で交換されるもので、hydrostatic calculations(排水量等計算)の基本となるものである。
 
 全てのmoulded formsは、ISO10303のAP216でカバーされる。そして、全体として船を記述しているmoulded formsの集まりはship moulded formと呼ばれる。
 
 このアプリケーションプロトコルは、異なる会社間でhull moulded formの幾何形状およびハイドロスタティックスの電子的交換を容易にすることによって、船体形状設計、性能予測および船体構造設計に対する時間の削減という産業のニーズをみたすものである。また、個々の会社が船の設計と製造のために船体と内部構造の幾何に電子的にアクセスできる統一された手段を提供することによってコンピュータアプリケーションを統合することは、産業のニーズを満たすものである。
 
 ship moulded formsの基本的な仮定は次の通りである。
 
- ship moulded formと、各々のmoulded formは1つのdefinitionを持つ。
- definitionは承認され、バージョンが与えられる。
- 一つのship moulded formは、一つのshipと関連付けられ、複数のmoulded formsから構成される。
- 一つのmoulded formは、一つのshipに対して幾何表現を提供する。
 
 AP216で記述される表現は、造船プロセスの一般的な用法における、CAD/CAMやその他のソフトウェアシステム間で異なる入力・出力機能を反映する。サポートされる幾何表現としては次のものがある。
 
- offset table representation
- wireframe representation
- surface representation
 
 全ての幾何表現はship moulded formの板厚を考慮していない。全ての寸法は、船毎に決めたひとつの単位系をベースとする。全ての表現はship mouded form definitionに関係している。幾何表現は船体表面のmoulded formsあるいは、その他船のモールド面を記述するのに使用することが出来る。
 
 流体静力学的な特性は1つのmoulded formについてのライフサイクル定義の特別なタイプとして考えられる。流体静力学はdisplacement(排水量)、centre of buoyancy(浮心)およびcentre of flotation(浮面心)のような船の喫水に依存している非損傷時の船体の特性である。損傷時復原性は船の区画情報が記述されないので、AP216ではカバーされない。
 
注)ISO10303-215にて損傷時復原性データは表現されることとなる。
 
 AP216は、背景、適用範囲、および船のモールド形状の定義、幾何表現と関連する流体力学的な特性の交換のために必要な情報について定義し、これらの要求を満たすのに必要な統合リソースの仕様を決めている。
 
 アプリケーションプロトコルは、ISO10303のインプリメンテーションの開発に対する基盤を提供し、APインプリメンテーションの適合テストに対し、論理的なテスト方法を提供している。
 
 ISO10303-216の第1章ではAP216の適用範囲を定義し、AP216で使われる機能とデータを総括している。第3章ではAP216で定義される用語をリストアップし、他で定義されている用語との関係付けを行っている。適用範囲の定義の基礎となるAAM(application activity model: 応用活動モデル)は、AnnexFに示されている。アプリケーションのinformation requirements(必要情報)はアプリケーションの用語を使って、第4章で示される。Information requirementsの図式表現は、ARM(application reference model: 応用参照モデル)として参照され、AnnexGに記されている。
 
 リソースの構成は、information requirementsに合致するように翻訳される。この翻訳はAIM(application interpreted model)を作り出す。5.1章に記されるこの翻訳は、information requirementsとAIMとの合致を示している。AIMのshort listingは、統合リソースとのインタフェースを規定しており、5.2に記されている。AIMで使われる構成に対する統合リソース中に用意された定義やEXPRESSは、select list items(選択リスト項目)やAIMに取り込まれないsubtypeを含むことがある。AnnexAに示される拡張リストは、注釈なしでAIMに対する完全なEXPRESSを含んでいる。AIMの図式表現は、AnnexHに示される。特定のインプリメンテーション方法に対する追加要求はAnnexCに示される。
 
 図1-2に、AP216の為に必要な高水準記述を提供するデータプランニングモデルを示す。このプランニングモデルは、AAM(アプリケーション活動モデル)のスコープ内のデータによって作られ、そして論理的なUnit of functionalityに分類されている。
 このプランニングモデルが、ARM(アプリケーション参照モデル)を開発するためのガイドとして使われる。
 
図1-2 Data Planning Model







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