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9. KS-STEP AP215テストケースの分析[MES、NK]
 H15.5月のシュトゥットガルト国際会議にて韓国KS-STEPチームよりテストケースの報告(2ケース)を受け、その資料を入手した。入手した資料は以下である。
・報告書(KRISO_AP215TestCase_Definition_final.doc)
・テストケース1のSTEP交換ファイル(Korea_AP215_Compartment.stp)
・テストケース2のSTEP交換ファイル(Korea_AP215_LoadingCondition.stp)
 本章では、まず報告資料に記述されているテストケースの作業モデルから、我々独自に要件AOの抽出を行いその関連を調査し、KS-STEPチームの結果と比較した。なおKS-STEPチームのSTEP交換ファイルの分析には、FQSより拝借したステップアナライザーを用いた。
 
(1)作業モデル
 1隻のタンカーについて全区画を定義し、その区画ごとの幾何形状データをSTEP交換ファイル形式で表現する。幾何データは既存のCADデータからSTEP交換ファイルに変換する。
 
(2)要件AOの抽出
 5.3節に示した一覧表5.3.15.3.2を参照し、上記作業に必要なAOを属性をチェックしながら抽出した。なお必要なデータ表現項目は以下とした。
・船の説明
・船の種類
・船の主要目
・区画の定義
・区画内にある品目等の定義
・区画と区画の関係
・区画の幾何形状表現
 抽出結果を図.9.1-1に示す。
 
(3)KS-STEPチーム結果との比較
 テストケースのタンカーは40個の区画からなり、STEP交換ファイルには区画名といつかの属性、および区画の幾何形状データが表現されていた。
 KS-STEPチームは図.9.1-1に示した“2つの区画の関係”(Space_positional_relationshipエンティティ)と“区画に含まれる品物定義”(Space_product_structureエンティティ)を使っていなかった。さらにCompartmentエンティティも使っていなかった。このため同一区画でありながら機能定義(Compartment_functional_definitionエンティティ)と設計情報定義(Compartment_design_definitionエンティティ)が無関連となっている。本来タンク名はCompartmentエンティティの属性に記述すべきと思われるが、Compartment_functional_definitionのGlobal_id属性に区画名をつけている。つまり、テストケースの交換ファイルの内容は同一区画のデータ間に相互関連性がなく製品データモデル表現とはいいにくい。製品データモデル表現にするにはCompartmentエンティティを入れる必要がある。STEPデータ構造を採用するからにはデータに技術的意味をもたせる製品データモデル構造とするのが正論と考える。
 
(1)作業モデル
 1隻のタンカーについて全区画の積付条件とその状態における復原性能を定義し、それらのデータをSTEP交換ファイル形式で表現する。復原性能データは既存の復原性能テーブルを読み込む。
 
(2)要件AOの抽出
 5.3節に示した一覧表5.3.15.3.2を参照し、上記作業に必要なAOを属性をチェックしながら抽出した。なお必要なデータ表現項目は以下とした。
・船の説明
・船の種類
・船の主要目
・全区画の積付定義
・復原性能の定義
 抽出結果を図.9.1-2に示す。
 
(3)KS-STEPチーム結果との比較
 テストケースのタンカーは23個の積付区画(TANK)からなり、STEP交換ファイルには全TANKの積付定義のデータとその積付状態における復原性能データが表現されていた。積付状態は1ケースのみであった。
 KS-STEPチームは図.9.1-2に示すLoading_condition_design_definitionエンティティのcargo_loads属性にLiquid_cargo_assignmentを指定していなかった。複数の積付状態を定義する場合は複数のLoading_condition_design_definitionのインスタンスが発生するのでcargo_loads属性の値(Liquid_cargo_assignmentのセット)は入れておくべきと思われる。さらにCompartmentエンティティを使っていなかった。積荷条件はLiquid_cargo_assignmentのcargo_identifier属性で名付けられるがそれがどの区画のものかを示すためCompartmentエンティティを入れておくのが良いと思われる。これによって区画の位置情報の関連づけが可能となる。図.9.1-3にその関係を示す。これはテストケース1と2を結合したものである。Compartmentエンティティを介して1と2が関連づけられている。
 
(4)結論
・5.3節に示した一覧表5.3-1、5.3-2を用いてKS-STEPチームが行った2つのテストケースの作業モデルに必要なAOを抽出できることがわかった。またKS-STEPチームが用いなかったAOがあることもわかった。
・テストケース1のSTEP交換ファイルの表現はデータ間の相互関連性が不足していることがわかった。
・テストケース1と2の作業モデルを統合したデータ構造構築が可能であることがわかった。
 
図.9.1-1 Test case 1
図9-1-1.xlsを参照ください
 
図.9.2-1 Test case 2
図9-2-1.xlsを参照ください
 
図.9.2-2 Test case 1+2
図9-2-2.xlsを参照ください
 
 本文で引用したAppendixとして以下のものを添付する。
・APPENDIX 4-1: AP215 DIS Annex F AAM Diagram 抜粋
・APPENDIX 4-2: AP215 DIS AnnexF AAM Definitions 抜粋
 
 
 







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