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2. 概要
2.1 はじめに(Introduction)[NK]
 ISO 10303は製品データの交換及びコンピュータで解釈できる表現の為の国際規格である。その目的は、製品のライフサイクルを通して、製品データの記述を可能にする中立的なシステムを用意することである。このシステムは、中立的なファイル交換ができるだけではなく、製品データベースの作成と共有及び記録管理も可能である。
 ISO 10303のこのパート(AP215)では異なった組織間(例えば、船主、設計者及び建造会社の間)で船内区画情報を表現する製品データを交換する為のアプリケーションプロトコルを規定している。
 AP215は船舶産業用アプリケーションプロトコルシリーズの一つであり、コンピュータで解釈できる船舶用の統合化された製品モデルを提供することも狙いである。
 船舶産業用アプリケーションプロトコル・シリーズは船の全ライフサイクルを対象とし、船の設計、建造、就航に関する重要な情報をいくつかの船舶用データに分類して扱うことを考えている。その分類項目として、ship moulded forms, ship arrangements, ship distribution systems, ship structures, ship mechanical systems, ship outfit and furnishings, and ship mission systemsが上げられている。それぞれ独立したシステムでは、1つまたはそれ以上のアプリケーションプロトコルにより記述される。図2.1-1に船舶用アプリケーションプロトコルの全シリーズを示す。赤線で囲まれたものは、ISO 10303標準規格として開発中の船舶用製品モデルの部分である。各アプリケーションプロトコルにとって船舶製品モデルの共通の特徴は各アプリケーションプロトコルに於いて一貫して同一な記述方式を用いていることである。
 このAP(アプリケーションプロトコル)は商船及び艦艇のための建造及び機能性設計、詳細設計、生産技術、そして運用のライフサイクルに関連するコンピュータ・アプリケーション及び造船所での活動をサポートするために開発されたものである。サポートされる設計活動及びコンピュータ・アプリケーションのタイプには、次のものがある。
・船内区画配置
・区画及び区域の機能定義
・区画及び区域の詳細設計
・区画及び区域の幾何学的表現
・区画特性の要件
・設計時及び建造時における区画特性値
・区画内の用具の特定
・貨物定義
・区画への貨物の関連づけ
・設計上及び運航上の積み付け条件の定義
・損傷時復原性計算
 図2.1-2には、このAP(アプリケーションプロトコル)によりサポートされる主要なデータタイプを示す。
 このアプリケーションプロトコルは背景、適用範囲、そして船舶配置定義、区画及び区域の幾何学的表現、区画特性、貨物、貨物の割り当て、積み付け条件及び損傷時復原性情報の交換の為に必要な情報要件を定義するとともに、これら要件を満たすために必要な統合リソースを規定している。
 アプリケーションプロトコルはISO 10303の実装及びAP実装の適合性試験のための適要試験項目群を開発するための基礎を提供している。
 
図2.1-1 船舶製品モデルの構成図
 
 
図2.1-2 データプランニングモデル







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