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平成15年度STEP/船用AP専門分科会
活動報告書
 
財団法人 日本船舶標準協会
 
 STEP(STandard for the Exchange of Product model data)とは、ISO/TC 184/SC 4*において審議されている国際標準の通称であり、多数の分冊(Part)からなるISO規格**を指している。これらの規格の中では、STEPという用語は使われていないが、慣習的にSTEPという用語が広く用いられている。
 STEPは生産システムにおいて、製品のライフサイクルを通じて、製品に関する情報を主体として技術情報をコンピュータ処理が可能な形式に体系的に表現し、異なるシステム間でも情報の交換と共有を可能とし、さらにシステムに独立的な形式で情報の蓄積を実現しようとするものである。STEPは、e-Commerceの構成要素(STEP、XML、EDI等)の1つであって、基盤技術として重要な意義をもつものである。
 我が国におけるISO文書の審議は、「ISO/TC 184/SC 4国内対策委員会(委員長:大高晢彦氏)」において行われているが、船舶に関するAP(Application Protocol)は、ISO/TC 184/SC 4国内対策委員会のリエゾンボディーという立場で財団法人日本船舶標準協会(JMSA)内に設置した「STEP/船用AP専門分科会」において審議を行っている。このSTEP/船用AP専門分科会の委員構成を次ページに示す。
 STEPは、先に述べたようにe-Commerceの構成要素の1つとして、重要な役割を担っているが、その認識度は低く、また船舶関係業界の方々すべてに周知させることは容易でない。
 そこで、STEP船用APに関わるISOでの開発動向、本分科会での活動状況、海外の活動状況などについてまとめ、報告書として作成することとした。また、本報告書には、4つの船用APに関する最新版に基づいた文書解析の結果、並びに実装調査として行ったShip STEPファイルの解析結果をCD-ROMに収録し、別添資料として含めている。STEP/船用APの理解の一助となれば幸いである。
 
 なお、ここ数年欧米を中心とした積極的な活動が行われ、今年度中に船用APが国際規格として発行されたり、ISOの最終審議段階を迎えるなど、船用APの国際標準化という本会の目標に達することができたため、国内の活動に区切りをつけ、今年度をもってSTEP/船用AP専門分科会を解散することになった。
 
(STEPMember_2004-02.17.xls)
 
<STEP/船用AP専門分科会 委員名簿> (2004.02.17現在)
氏名 所属 住所 TEL/FAX/e-mail
分科会長 覚野博幸 ベニックソリューション(株)
取締役 兼)品質保証部長
673-8666 明石市川崎町1-1
川崎重工 明石工場内
TEL.078-921-2056
FAX.078-921-1659
kakuno_h@khi.co.jp
委員 川村恭己 横浜国立大学
大学院工学研究院 助教授
海洋空間のシステムデザイン教室
240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5 TEL.045-339-4085
FAX.045-339-4099
yas@structlab.shp.ynu.ac.jp
増田 宏 東京大学
大学院工学系研究科
環境海洋工学専攻 助教授
113-8656 文京区本郷7-3-1 TEL.03-5841-6511
FAX. 同上
masuda@nakl.t.u-tokyo.ac.jp
小林敬幸 (財)日本海事協会
情報技術部
主管
267-0056 千葉市緑区大野台1-8-3 TEL.043-294-4977
FAX.043-294-6924
hiro.kobayashi@classnk.or.jp
浜田信郎 (株)アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
横浜工場 艦船技術部
システム企画グループ 課長
235-8501 横浜市磯子区新杉田町12番地 TEL.045-759-2974
FAX.045-759-2977
shinro_hamada@ihimu.ihi.co.jp
宇治川浩一 (株)アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
呉工場
情報化推進部 スタッフ
737-0027 呉市昭和町2-1 TEL.0823-26-2205
FAX.0823-26-2833
koichi_ujigawa@ihimu.ihi.co.jp
松村卓哉 (株)川崎造船
坂出工場 造船設計部
IT戦略グループ
762-8507 坂出市川崎町1番地 TEL.0877-46-2801
FAX.0877-46-0144
matsumura_takuya@khi.co.jp
谷川文章 住友重機械マリンエンジニアリング(株)
企画管理部プロジェクト統括グループ課長
237-8555 横須賀市夏島町19 TEL.046-869-1823
FAX.046-869-1821
Fmk_Tanigawa@shi.co.jp
伊藤圭司 住友重機械マリンエンジニアリング(株)
製造本部 計画・技術グループ主任技師
237-8555 横須賀市夏島町19 TEL.046-869-1652
FAX.046-869-1793
Kji_Ito@shi.co.jp
鶴 晴樹 ユニバーサル造船(株)
商船・海洋事業本部 基本設計部
CAD開発室 総括スタッフ
869-0113 熊本県玉名郡長洲町大字有明1 TEL.0968-65-7282
FAX.0968-65-7160
tsuru-haruki@u-zosen.co.jp
上野栄一 ユニバーサル造船(株)
商船・海洋事業本部 基本設計部
CAD開発室 総括スタッフ
869-0113 熊本県玉名郡長洲町大字有明1 TEL.0968-65-7282
FAX.0968-65-7160
ueno-eiichi@u-zosen.co.jp
荒瀬 進 三井造船(株)玉野事業所
船舶・艦艇事業本部
玉野艦船工場艦艇部
システムグループ主管
706-8651 岡山県玉野市玉3-1-1 TEL.0863-23-2245
FAX.0863-23-2198
arase@mes.co.jp
神永 肇 三井造船(株)千葉事業所
船舶・艦艇事業本部
基本設計部課長補佐
290-8601 市原市八幡海岸通1 TEL.0436-42-6419
FAX.0436-42-6442
kaminaga@mes.co.jp
尊田雅弘 三菱重工業(株)
長崎造船所
造船設計部管理課
システム開発チーム主席チーム統括
850-8610 長崎市飽の浦町1-1 TEL.095-828-5223
FAX.095-828-5234
masahiro_sonda@mhi.co.jp
平木常正 三菱重工業(株)
長崎造船所
造船設計部管理課
システム開発チーム
850-8610 長崎市飽の浦町1-1 TEL.095-828-5825
FAX.095-828-5234
tokimasa_hiraki@mhi.co.jp
井上 和 (株)富士通九州システムエンジニアリング
PDM/BOMソリューション統括部
常務取締役 統括部長
814-8589 福岡市早良区百道浜2-2-1
富士通九州R&Dセンター
TEL.092-852-3134
FAX.092-852-3142
inouye@fqs.fujitsu.com
事務局 嘉納和之 (財)日本船舶標準協会
国際部長代理
110-0005 台東区上野7-12-14
住友不動産上野ビル4号館7階
TEL.03-5806-2860
FAX.03-5806-2848
kanou@jmsa.or.jp
井下 聡 国際部係長 inoshita@jmsa.or.jp
 
 
2.1 活動の目的
 STEPのSHIP AP規格は、ヨーロッパではEMSA(Marine E-business Standards Association)が、アメリカではNIDDESC(Navy/Industry Digital Data Exchange Standards Committee)が中心となって、各種のプロジェクトを発足させ、かつ、欧米間の密接な連携により開発が行われている。そして、現在は下記4種類のAPのうち、AP216は2003年8月にISO 10303-216として発行され、AP215、AP218、及びAP227 2nd EditionもDISフェーズからIS発行フェーズへと規格開発が進められて来ている。
 
(1)AP215: Ship Arrangements(船体区画配置情報)
(2)AP216: Ship Moulded Forms(船型情報)
(3)AP218: Ship Structures(船殻構造情報)
(4)AP227 2nd Edition: Plant Spatial Configuration(Plant/Ship配管情報)
 
注)これまで検討されていたAP226(Ship Mechanical Systems)、AP234(Ship Operational Logs, Records and Messages)は何れも平成14年(2002年)11月のISO/TC184/SC4ソウル会議にてCancelとなった。AP226はAP227 2nd Editionに組み込む方針が決定、AP234はAP227 2nd Edition及びAP239(PLCS)への組み込みが検討されることになった。
 
 日本では、STEP/SHIP APの規格開発を分担するには至っていないが、本STEP/船用AP専門分科会が窓口となり、ISOの国際会議やWorkshopへの参加を通して、規格開発状況の把握並びにその内容の詳細な解析調査、実装調査などを実施し、国内審議を行って、日本の意見を国際規格に反映させることに務めてきた。
 
 STEP/SHIP APに関する活動の経緯は次の通りである。
 
(1)平成5年度(1993)
 造船分野のSTEP/SHIP AP規格4件が平成5年(1993年)頭初のトリノ会議において新規標準化項目として採択され、国際規格原案の開発作業及び審議が開始された。
 そこで、社団法人日本造船工業会の御理解のもとに、大手造船7社の自己負担で次の国際会議に出席した。
アトランタ会議(2名出席<IHI、MHI>)
ベルリン会議(2名出席<HZ、SHI>)
フェニックス会議(2名出席<KHI、NKK>)
 また、専門家を招いた勉強会を3回開催した。
 なお、これらへの対応は、財団法人日本船舶標準協会内のコンピュータ・アプリケーション委員会で行った。
 
(2)平成6年度(1994)
 平成6年度から船舶振興会の補助事業として「STEPの国際標準化」が認められ、次の国際会議に出席した。
ダボス会議(2名出席<MES、MHI>)(内1名<MES>は自己負担)
グリーンビル会議(2名出席<MHI、IHI>)
シドニー会議(2名出席<IHI、HZ>)
 なお、平成6年度には、STEPの審議を円滑に行うためにSTEP/船用AP委員会を設立した。
 
(3)平成7年度(1995)
 次の国際会議に出席した。
ワシントン会議(2名出席<HZ、SHI>)
グルノーブル会議(2名出席<SHI、KHI>)
ダラス会議(2名出席<KHI、NKK>)
 
(4)平成8年度(1996)
 次の国際会議に出席した。
神戸会議(9名出席<分科会長及び8社委員>)
トロント会議(2名出席<NKK、MES>)
チェスタ会議(2名出席<MES、NK>)
 また、本年度からISO文書解析を行うこととし、主要文書の詳細な解析を各社で分担して行った。
 
(5)平成9年度(1997)
 本年度から、1会議に3名の出席が認められ、また要望されていた出席者の固定が可能となり、各会議とも2名を固定して出席した。さらに、ワークショップにも出席した。
サンディエゴ会議(3名出席<KHI、NK、MHI>)
サンディエゴ AP217ワークショップ(1名出席<NK>)
フローレンス会議(3名出席<KHI、NK、IHI>)
オーランド会議(3名出席<KHI、NK、HZ>)
 なお、前年度に引き続いて、ISO文書解析を各社で分担して行った。
 
(6)平成10年度(1998)
 次の国際会議及びワークショップに出席した。
AP218 インタープリテーション ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
バートアイブリング会議(3名出席<KHI、NK、SHI>)
北京会議(3名出席<KHI2名、NK>)
AP215/216/218 ハーモニゼーション ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
サンフランシスコ会議(3名出席<KHI、NK、NK-EXA>)
 なお、前年度に引き続いて、ISO文書解析を各社で分担して行った。
 
(7)平成11年度(1999)
 次の国際会議及びワークショップに出席した。
リレハンメル会議(3名出席<KHI、NK、MES>)
AP218 インタープリテーション ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
ニューオリンズ会議(3名出席<KHI、NK、MHI>)
メルボルン会議(3名出席<KHI、NK、IHI>)
 また、ISO文書解析及びISO文書のARMからAIMへの展開作業等を行った。
 
(8)平成12年度(2000)
 次の国際会議及びワークショップに出席した。
ボルドー会議(3名出席<KHI、NK、HZ>)
AP215 インタープリテーション ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
AP226 ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
チャールストン会議(3名出席<KHI 2名、SHI>)
フンチャル会議(3名出席<KHI、NK-EXA、MES>)
 また、ISO文書解析及びISO文書のARMからAIMへの展開作業等(AP226パイロットシステムの試作・評価等)を行った。
 
(9)平成13年度(2001)
 本年度から1会議に2名の出席となり、各会議とも1名を固定して出席した。さらに、ワークショップにも出席した。
サンフランシスコ会議(2名出席<Benic、MHI>)
AP218 ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
福岡会議(11名出席<Benic 2名、横浜国大、NK、IHI、SHI、NK-EXA、HZ、MES、MHI、JMSA>)
Myrtle Beach会議(2名出席<Benic、IHI>)
 また、ISO文書解析及びISO文書のARMからAIMへの展開作業等(AP226 STEP/PLiBによる舶用機器データ交換検証テスト)を行った。
 
(10)平成14年度(2002)
 次の国際会議及びワークショップに出席した。
ストックホルム会議(2名出席<Benic、HZ>)
AP226/227 ワークショップ(2名出席<Benic、富士通九州>)
ソウル会議(2名出席<Benic、NK>)
サンディエゴ会議(2名出席<Benic、SHI>)
 また、ISO文書解析及びISO文書のARMからAIMへの展開作業等(AP227によるShip Mechanical Systemsの実装調査)を行った。
 
(11)平成15年度(2003)
 本年度から毎回1名の固定出席者は置かず、各社交代で2名が次の国際会議に出席した。さらに、ワークショップにも出席した。
シュトゥットガルト会議(2名出席<Kawasaki、MES>)
AP227 ワークショップ(1名出席<富士通九州>)
ポアティエ会議(2名出席<IHIMU、MHI>)
フォートローダーデール会議(2名出席<NK、USC>)
 また、ISO文書解析及びISO文書の実装調査等(Ship STEPファイルの解析)を行った。

* TC 184: Technical Committee on Industrial Automation Systems and Integration
 SC4: Sub-Committee on Industrial Data and Global Manufacturing Programming Languages
** ISO規格10303: Product Data Representation and Exchange







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