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4. 研修事業
15年度「メルコスール観光振興」セミナーの実施
 国際協力事業団東京国際センターの委嘱を受け、15年度「メルコスール観光振興」セミナーを次の通り実施した。下記の通り、JICAとして従来の座学と視察を主とする研修方式を越え、実際に日本で開催されたトレードフェアに研修員を実際に参加させるという方式を採用したため、従来の研修にはないトレードフェア参加への準備全般という業務も加わり、ロードは増えたが、所期の目的を達成し無事終了した。
 
アルゼンチンブース
 
 
1. 実施の背景
 メルコスール(MERCOSUR=Mercado Comun Del Sur)は南米南部共同市場と訳されるが、アルゼンチン、ブラジル、パラグァイ、ウルグァイの南部南米諸国4カ国をメンバーとして域内の関税及び非関税障壁の撤廃などによる財、サービス、生産要素の自由な流通を目標として1995年1月に設立されたものである。
 この共同体はこの目標達成のため、(1)対外共通関税の創設、共通貿易政策の採択及び地域的、国際的経済・貿易面での協調、(2)マクロ経済政策の協調及び種々セクター別経済政策の協調(3)統合過程強化のための関連部門における法制度の調和などを実施する。
 メルコスールが発足した翌年の1996年に中南米を訪歴した橋本総理(当時)の提案に基づきメルコスール側の関心のある分野に対し、日本側としてどのような技術協力が可能かを検討するため毎年日本・メルコスール高級事務レベル協議が開催されてきた。この協議の結果のひとつとして、14年度を初年度とし5年間、研修が実施されることになったものである。
 
2. 目的
 本研修は観光資源が豊富で、観光開発も相当進んでいるアルゼンチン、ブラジル、この2カ国とは相当開きのウルグァイ、パラグァイと観光開発レベルに差のある4カ国の要望をメルコスール技術支援委員会を通してとりまとめ、ネットワーク作りを行い、プロジェクトの実施に対する共通認識を形成・実施していくことを支援することにある。
 
3. 実施方針
A. 4カ国にとり日本人観光客を誘致することが共通の大きな関心事であり、このための観光プロモーションが日本人マーケットを対象に適切に実施されることが重要である。14年度においては日本の観光事情を理解させ、具体的なマーケティング及びプロモーション活動の方法、留意点などを系統的に把握出来るよう座学及び視察を計画し実施した。その成果として具体的プロモーション計画案を策定した。
B. この計画案の一環として提案された日本でのトレードフェアへの参加に対し、JICAとして従来の座学及び視察という研修方式を越えて実際のトレードフェアに参加させることにした。研修員に対し実際に行ったプロモーション活動を通じ日本マーケットに直に接触し、その経験を基に14年度に策定したプロモーション計画案を見直し、必要があれば改定させることにした。その改定案を旅行業界を初めとする識者の意見をいれ、実現可能、かつ効果的なものとする。
 
4. 研修内容
A. 実施時期:平成15年10月26日〜平成15年11月13日
B. 研修員数:16名
アルゼンチン 4名、ブラジル 4名、ウルグァイ 4名、パラグァイ 4名
C. 実施場所:JICA東京国際センター、JATA世界旅行博(10月3日〜10月5日、横浜コンベンション国際展示センター)
D. プログラム
(A)講義
a. 日本の観光全般理解
 日本人海外旅行者の特性
b. 日本における観光マーケティングとプロモーション
 日本のインバウンド活動(ヴィジットジャパンキャンペーン)
(B)トレードフェア参加
 JATA世界旅行博(10月3日〜10月5日、横浜コンベンション国際展示センター)での各ブースでのプロモーション
(C)グループワーク
a. プロモーションワークショップ
b. プロジェクトワークショップ
(D)研修視察旅行
 箱根
E. 成果
 トレードフェアへの参加により目本の旅行業界、一般旅行者の各国の観光に対する関心を具体的に把握できた。これにより今後のプロモーション活動の実施方策についてより確信を持たせることができた。
 日本側としてメルコスールのプロモーション活動に対する今後の支援策を検討し、実現していく上で確たる基礎を固めることが出来た。
 
5. 開発途上国における安全性向上支援事業の現地調査を実施
 平成15年度開発途上国における安全性向上支援事業に係る現地調査は、今年度はタイとラオスで実施しました。タイについては、11月9日から11月16日まで4名で行いました。事故調査では、タイ民間航空局(DOA)、民間航空訓練センター、タイ国際航空、バンコク航空、日本航空等で実施しました。空港調査は、メイホンソン空港及びコサムイ空港で調査しました。山に囲まれているとかやしの木が障害になっているなどの問題がみられました。一方ラオスでの現地調査は11月23日から11月29日まで団員5名で行われた。
 事故調査は民間航空局(DCA)、ラオス空港公団(LAA)、ラオ航空を中心にビエンチャンで行われ、空港調査はパクセ空港、ルアンプラバン空港の2空港で行われました。ラオスは内陸国で山岳地帯が国土の大部分を占めているため、航空輸送は近隣諸国との人流・物流、国内都市間輸送及び山間地への輸送手段として重要な役割を果たしています。
 しかし、国内線は機材の安全性、また、山岳地の空港が多く航空保安施設が整備されていない等の問題を抱えています。
 
タイ民間航空訓練センターにおける意見交換会で:
中央は空軍中佐、その左は轟調査団長







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