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8. 途上国計画部門機能整備支援・連携事業
【平成9年度】
 「ベトナム総合交通計画(マスタープラン)の策定調査支援」に係る招へい事業及び「インドネシア鉄道近代化計画策定」に係る専門家派遣事業を実施した。
 
【平成10年度】
鉄道近代化整備水準に関する調査
 鉄道は、路線や駅などの地上設備と車両などが複雑に関連するシステムであるので、新しい鉄道路線を建設する場合に、何か基準がないとバラバラになる危険がある。そこで、鉄道路線を主として輸送状況と重要度によって分別し、線路等級を決めて、その等級に応じた技術水準を決めておくという方法が取られてきた。この基準書が対象とする開発途上国の鉄道も路線等級の考え方による技術基準の考え方を導入すると複雑な鉄道システムを体系化することができる。この調査では、簡単なモデル線を例にして、技術的な基準の考え方をフォローチャートで示した。
 
途上国マストランジェットの効果的運営に関する調査
 この調査は、アルゼンチン・ブエノスアイレス、ブラジル・サンパウロ及びメキシコ・メキシコシティの各都市を対象に行った。
・ブエノスアイレス都市圏の交通機関は、鉄道6路線、地下鉄5路線、バス、自家用車などに区分されていた。アルゼンチン首都圏の総合的な交通行政は、すべて中央政府にあり、鉄道輸送は国営会社によって運営されてきたが、1995年に民間会社に移転された。
・サンパウロ市においては、近郊鉄道4路線、地下鉄3路線、都市間バス394の都市間ルートなどが運営されていた。都市運輸行政は、州政府メトロポロリタン交通省が管轄していた。また同交通省は、近郊鉄道、地下鉄、都市間バス及び都市計画立案開発の4つの直営会社を運営していた。
・メキシコ市の交通機関には、地下鉄10路線、トロリーバス、ライトトレイン、連結バスなどがあった。メキシコ連邦政府特別区交通と交通網省は首都圏の総合的な都市計画並びに交通計画の立案、すべてのモードの交通と道路開発をコントロールしていた。
 
開発途上国の都市内バス輸送事業に対する世界銀行の支援事例調査
 開発途上国の都市交通環境において、公共輸送システムの果たす役割が重要となっていた。中小都市では特にバス輸送を主体とした公共輸送システムの重要度が増大すると考えられた。また、大都市圏においては、都市鉄道を補完する端末交通手段としてバス輸送の需要が高まってくるものと考えられた。しかし、多くのバス運営主体は、その経営形態が効率的でなく、事業が採算に合っていない状況であった。これに対して世界銀行では、バス輸送を途上国の都市公共交通機関の一つとして位置づけており、バス事業経営の効率化・組織・法制度などを含めた「バス輸送事業システム」としての改善事業を実施していた。そこでこの調査では、途上国におけるバス輸送事業システムの援助方策に関する基礎調査として、「世界銀行のバス輸送事業システムに対する支援」についての概要調査を行った。この調査をもとに、わが国のODAにおけるバス輸送事業支援に関する総合的なあり方を検討するための基礎資料とするものであった。
 世界銀行では、バスを基軸とした公共輸送システムの形成、既存バス事業支援に取り組んでいる。そこでこの調査は、(1)プロジェクトの概要、(2)バス事業の周辺制度に関する政策の実施状況、(3)バス事業の効率化政策及び(4)バス交通優先方策・バス専用インフラの整備を視点に実施した。
 
【平成11年度】
 平成10年度に実施した「開発途上国の都市内バス輸送事業に対する世界銀行の支援事例調査」で得られた知見をもとに、東南アジアにおける都市を例にとり、都市内バス事業の状況を調査した。この調査では、スラバヤ(インドネシア・ジャワ島)及びチェンマイ(タイ)を対象とした。両都市のバス輸送事業を改善するためには、(1)車両援助、(2)インフラ整備、(3)バス運航管理、(4)行政組織改善などについての検討が必要と考えられたが、両都市に共通する課題として、利用しやすい小型バス車両・システムの開発が急がれた。
 このほか平成11年度は、10年度に調査作成した「鉄道近代化水準」の英語版の作成及びJICA主催ベトナム運輸開発戦略調査セミナーへの参加を行った。
 
【平成12年度】
・ベトナム国ホーチミン市において、「ホーチミン市における大量輸送システム整備戦略」をテーマにセミナーを開催した。
 セミナーにおいては、「都市鉄道整備戦略(日本における民間のパートナーシップ)」と題する基調講演に続いて、「ホーチミン市における大量輸送システム整備戦略手法」「ベトナム国鉄からの提言」「ホーチミン市におけるバスと地下鉄整備計画について」等について報告が行われた。このセミナーを通じて、ホーチミン市における急激な都市化と交通量の増加に伴う都市交通環境の改善には、既存のバス交通の改善とともに、大量輸送システム(都市鉄道)の整備が重要であること等多くの共通認識が得られた。
・ベトナム国ハロン湾における航行安全・海洋環境保全システム整備支援準備調査を実施した。
 ハロン湾における船舶の航行安全を確保し、海洋環境を保全するシステムを整備する必要性について確認するため、ベトナム交通運輸省海運総局との協議及び関係者等から情報収集を行うとともに現地調査を行った。
 
【平成13年度】
 「ハロン湾における航行安全・海洋環境保全システム整備支援準備調査」を実施した。この調査では、ベトナム・ハロン湾の環境保全と海上安全対策の状況について調査を行い、必要かつ適切な改善対策について提言を行うことにより、日越両国の関係者が共通の認識を得るとともに、これらの改善対策が促進されるように当協会とベトナム海運総局が共同でセミナーを開催した。
 セミナー開催に先立ち、ハノイ、ハイフォン及びハロンヘ調査団を派遣し、関係者との打ち合わせ及び情報収集を行った。
 
 セミナーは、「ハロン湾における海上安全管理に関するセミナー」をテーマに開催された。このセミナーでは、「港湾開発上の課題・環境保全と航行安全対策」と題する基調講演に続いて、「ハロン地域における航行安全及び海洋環境保全について」の調査報告が行われた。また、調査報告の後、活発な質疑応答及び意見交換が行われた。
 
 当協会は、JICAからの委託を受けて「都市公共交通コロキウム」等を開催している。その際には、分かりやすく有意義なプレゼンテーションを行うためのソフトが必要であり、平成11年度、12年度及び13年度にわたり、わが国の都市公共交通システム整備事例、事業制度の概要紹介を中心に、途上国における計画、プロジェクト形成支援を目的とするプレゼンテーションソフトの開発を進めてきた。
 
【平成11年度】
 わが国における都市公共交通システムの特徴や技術的ポイントの紹介を中心としたプレゼンテーション用ソフトの開発を行った。
・わが国の都市公共交通の始まりと発展過程、利用状況等の推移を海外との比較を交えて紹介し、わが国の都市公共交通整備水準が高く、うまく機能していることをマクロ的に紹介した。
・わが国で現存する都市公共交通について、発展過程や技術面での特徴、導入事例・新しい動き等の基本事項をシステムごとに整理、紹介した。
 
【平成12年度】
 都市公共交通システム整備を実現するため、財源手当や事業化のための法制度、運営ノウハウ等効率的な事業を推進するための流れを、わが国の事例等を参考に整理した。
・鉄道、都市モノレール、新交通システム等の大規模工事を伴う都市公共交通の計画から事業化までの流れと検討ステップごとの目的、検討内容等を紹介した。
・公営、民営、第3セクター等、わが国における都市公共交通の運営方式の種類と特徴を整理し、新しい運営方式としてPFI、上下分離方式等を紹介した。
・海外では珍しい事業者ごとの独立採算性といった経営理念について、概念、メリット・デメリット等を紹介した。
 
【平成13年度】
 都市交通分野でも著しい発展を遂げた東南アジアの諸都市、中でも、路線ごとに事業スキーム、システム等が異なるマニラ首都園の軌道系交通システムを紹介することが最も参考になると考えられた。従って、主な調査対象は、フィリピン国マニラ首都圏の軌道系交通システム(LRT1号線、2号線及び3号線)とした。内容は、「新しい都市公共交通(LRT)の概要」「都市公共交通の整備上の問題点と教訓」「軌道系交通システムの変遷」等とした。因みに、平成9年度は、「港湾の現状」10年度は「日本の都市公共交通の整備」について制作した。
 
 この事業は、わが国の学識経験者、帰国アタッシェ、JICA派遣専門家、招へいした開発途上国政府要人等によるセミナーを開催したものである。
 
【平成11年度】
 5回開催した。テーマは以下のとおりであった。
 「ベトナムの都市交通改善の方策」「南部アフリカ地域経済の交通インフラ整備」「最近のベトナム事情」「インドネシアの運輸」「メキシコの運輸事情等」「最近の円借款の特徴について」「円借款制度を巡る最近の話題と今後の動向」「平成12年度の開発調査予算の内容と動向」。
 
【平成12年度】
 5回開催した。テーマは以下のとおりであった。
 「ベトナムに対する運輸分野国際協力について」「中国事情について」「カンボジアの国土と交通」「タイ王国の海事産業復興について」。
 
【平成13年度】
 5回開催した。テーマは以下のとおりであった。
 「ベトナムに対する運輸分野国際協力について」「ミャンマーの交通政策の現状と課題について」「フィリピンの海運事情及び船舶整備公団設立構想」「フィリピン内航海運近代化計画−ツーステップローンの実施状況−」「ベトナム運輸開発戦略調査の概要」「運輸分野の開発調査の傾向、方針とコンサルタントのあり方」「インドネシア海運・造船の課題」「インドネシア造船業の現状」「タイに対する運輸分野の援助について」。
 
【平成14年度】
 3回開催した。テーマは以下のとおりであった。
 「フィリピンの運輸事情と国際協力の方向について」「ベトナムに対する運輸分野国際協力の方向について」「ミャンマーの運輸事情と国際協力の動向」







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