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5. 運輸協力フォーラム事業
 この事業は、開発途上国におけ運輸基盤施設の整備及びその管理・運営等について開発途上国相互及びわが国の関係者との情報、意見交換等を行うことにより、より一層の施設の効率化を図り、もってその後の運輸関係国際協力の推進に資することを目的とした。
 
【平成元年度】
 港湾分野を対象とし、途上国の港湾関係の要人5名をわが国に招へいし、(1)港湾シンポジウムの開催(2)港湾関係当事者間の意見交換会の開催(3)わが国の2大港湾の視察と当該港湾関係者との懇談会及び(4)わが国の伝統文化との接触、の4つの催しを実施した。
 港湾シンポジウムにおいては、わが国港湾関係者による基調講演のほかインド、インドネシア、マレーシア、フィリピン及びタイの各国からの出席者並びにわが国の運輸省及び港湾関係者によるパネルディスカッションが行われた。
 
【平成2年度】
 観光分野を対象とし、観光先進国であるフランス及びオーストラリアから各1名、メキシコ、フィリピン及びマレーシアから各1名、計5名をわが国に招へいし、フォーラム及びワークショップの開催、わが国の観光開発事例の視察、関係者との意見交換、観光地・観光施設の視察等を行った。
 
【平成3年度】
 海運分野を対象とし、インドネシア及びフィリピン政府において海運分野、特に海上輸送の安全確保にたずさわっている要人・管理者をわが国に招へいし、別途招へいされたバングラデシュ政府の海運分野の管理者並びに世界銀行の関係職員の参加も得て「海上輸送の安全確保と国際協力」をテーマとしたフォーラム、パネルディスカッションを開催したほか港湾関係施設の視察及び関係者との意見・情報交換等を行った。
 各分野におけるフォーラム、パネルディスカッション等にはわが国の運輸省関係者をはじめ在日の各国政府関係者、当協会関係会員等のほか広範な分野からの参加を得て盛大に行われ、各分野におけるわが国と関係国との間の国際協力の一層の円滑な推進に資するところ多とした。
 
この事業は、開発途上国からわが国に対して外貨獲得、雇用機会の創出等を目的とした観光分野への国際協力の期待が高まっていたため、このような国際的な期待に応えるために開発途上国に対する観光関係の民間投資の対策を検討することを目的とした。
 
【平成元年度】
 メキシコ、フィリピン及び中国(海南島)を対象に、各対象国のランドオペレーターの協力を得て日本人旅行者を対象に、旅行者数、旅行日数、滞在日数、同行者、旅行目的、旅行先での印象及びホリディ・ビレッジ構想への関心度についてアンケート調査を実施するとともに、調査員を当該国へ派遣し、現地調査及び関係資料、情報の収集を行った。
 
【平成2年度】
 インドネシア、タイ、ネパール及びフィジーを対象に同様に調査を実施した。
 また、インドネシア及びタイから観光分野の要人各1名をわが国に招へいし、両氏による講演会の開催、観光施設の視察、わが国観光専門家との意見交換等を行った。
 
【平成3年度】
 インド、トルコ、ポルトガル及びジャマイカを対象に、日本人旅行者数、旅行先の改善すべき事項等についてのアンケート調査、関係資料・情報等の収集等を行った。
 また、トルコを除く上記3ヶ国から政府関係要人をわが国に招へいし、講演会の開催、観光施設の視察等を行った。
 
【平成4年度】
 インドネシア、マレーシア、ミクロネシア及びモロッコを対象に前年度同様の調査を実施した。
 4年度も各国から1名ずつの要人を招へいし、講演会の開催、関係者との意見交換等を行った。
 
【平成5年度】
 スリランカ、フィリピン及びモンゴルを対象に、また平成6年度はマレーシア、ブルガリア及びチュニジアをそれぞれ対象として前年度同様アンケート調査、現地調査、要人招へい等を実施した。
 
 開発途上国からのわが国に対する技術協力の要請は一層高まっていたが、とりわけ開発途上国における人材の養成はその国の社会・経済の発展に不可欠でありわが国としてもより一層積極的に協力を推進する必要があった。
 このような状況に鑑み、開発途上国の指導者を育成するための長期研修を実施するとともに、運輸関係の資料、情報等の提供を実施することにより開発途上国の人造りに資することを目的とした。
 
【平成元年度】
 グァテマラ(航空)、インド(都市交通)及びトルコ(鉄道)から各1名、計3名を招へいした。また、元運輸関係研修履修者(1976年度〜1983年度)のうち、帰国後の動向が確認された600名強を対象にわが国の運輸部門における経済・技術協力に関するハンドブック、最新の技術関係の文献、運輸分野全般にわたっての技術情報資料等を提供した。
 
【平成2年度】
 航空分野においてフィリピンから1名、インドネシアから2名、計3名を招へいし、関係者との情報・意見交換、関連施設の視察等を行った。また元運輸関係研修履修者の動向等を把握・整理し、運輸関係協力の円滑な推進に資するため、研修履修者本人を対象とするアンケート調査も実施した。
 
【平成3年度】
 運輸関係情報の提供を行うほか、ホンジュラス、グァテマラ及びコスタリカヘ運輸分野の専門家4名を派遣し、当該国の関係者と運輸関係人材育成問題を中心に今後の協力のあり方等について意見交換を行った。また、わが国において運輸関係の研修等を受けた帰国研修生を対象に、昨年度実施したアンケート調査に基づいて、個人別データをコンピューターに入力し、データベース化を図った。
 
【平成4年度】
 運輸全般にわたって最新の技術情報資料を収集・編纂し、運輸関係分野の研修履修者に提供した。
 
【平成5年度】
 平成5年度以降は、運輸関係情報の提供を行うほか、国内運輸技術協力要員研修として、わが国の民間及び地方自治体の運輸分野にたずさわっている技術者を対象として、開発途上国における海外研修を中心とした国際協力実務研修を実施した。5年度は、鉄道9名、港湾8名及び観光11名、計28名を対象に実施した。
 
【平成6年度】
 運輸関係情報の提供を行うほか、海運10名、鉄道9名及び港湾9名、計28名の技術者を対象に海外研修を実施した。
 
【平成7年度】
 運輸関係情報の提供を行うほか、海運10名、鉄道8名及び港湾7名、計25名の技術者を対象に海外研修を実施した。
 
【平成8年度】
 運輸関係情報の提供を行うほか、鉄道9名及び港湾9名、計18名の技術者を対象に海外研修を実施した。
 
【平成9年度】
 最終年度である9年度も、運輸関係情報の提供を行うほか、鉄道7名及び港湾6名、計13名の技術者を対象に海外研修を実施した。
 
 わが国の民間及び地方自治体の運輸分野にたずさわっている技術者を対象に、開発途上国における海外研修を中心とした国際協力実務研修を実施した。
 
【平成10年度】
 鉄道分野8名及び環境分野9名を対象に研修を実施した。鉄道分野については、インドネシア国ジャカルタにおいて、ジャボタベック鉄道改良プロジェクトについての説明を受け、質疑応答を行った。また、ジャカルタ都市圏通勤輸送の実態を見学するとともに、ジャカルタからバンドンまで鉄道に試乗した。さらにインドネシア鉄道公社関係者と鉄道技術協力の進め方及び問題点について討議を行うほか鉄道職員訓練センターを見学した。一方、環境分野については、ベトナム国ハノイ市を訪問し、運輸省及び科学技術環境省自然環境保護局において開発による人口増加や自然環境への影響・環境保護のためにベトナム政府が講じてきた対応策について説明を受けた。その後、ハイフォン港等を視察し、港湾事情と港湾開発の実態を見学し、それぞれの関係者から将来の開発計画と自然環境への配慮について説明を受けた。
 
【平成11年度】
 鉄道分野8名及び環境分野5名を対象に海外研修を実施した。鉄道分野については、タイ国バンコク市を訪問し、タイ国鉄本社、首相府陸路交通管理委員会事務局において、マストランジットシステムの現状と整備計画及び鉄道技術協力についての説明の聴取と質疑応答を行った。また、バンコクからチェンマイまでタイ国鉄北線に試乗したり、タイ国鉄研修センター等の見学を行った。
 環境分野については、フィリピン国マニラ市において、アジア開発銀行・海外経済協力基金を訪問し、フィリピンにおけるわが国の国際協力の概要・最新状況について講義を受けた。更に、フィリピン港湾局を訪問し、コンテナターミナル等を見学するとともに同国の港湾分野における設備の状況及び運営について講義を受けた。また、港湾開発が社会環境に及ぼした影響について主に住環境の面から調査するため、現地バタンガスにおいて港湾拡張整備に伴って立ち退いた住民の再定住地を視察し、関係者から将来の開発計画と社会環境への配慮について説明を受け、質疑応答、意見交換を行った。なお、この事業は、平成9年度まで、「運輸関係人材育成事業」として実施されてきたものである。







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