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MEPC 49/2/3
ANNEX 2
 
附属書
 
有害水生生物及び病原体の移動を、防止、減少及び除去するための
バラスト水及び沈殿物の制御及び管理規則
 
A節 一般規定
 
規則A-1 定義
 
この附属書の運用上:
 
1 “新船”とは、[この条約が発効した後3年][20[10]年1月1日]後に建造された船舶をいう。
 
2 “現存船”とは、新造船以外の船舶をいう。
 
3 “建造された”とは、建造段階の次のものをいう。
 
.1 キールが据え付けられた段階、又は
 
.2 特定の船舶と確認し得る建造が開始した段階
 
.3 当該特定の船舶について、50トン又は全建造材料見積もり重量の1パーセントのいずれか少ないものが組み立てられた段階
 
[4 “主要な改造“とは、現存船の次のいずれかの改造をいう。
 
.1 船舶の寸法又は積載容量を、実質的に変更する改造
 
.2 船舶の種類を変更する改造
 
.3 その目的が、船舶の耐用年数の実質的延長であると、主官庁が認める改造
 
[.4 現存船には適用されず、新船に適用される現行条約の関連規定に従うことになる船舶の改造]]
 
5 “検査基準日”とは、国際バラスト水管理証書の有効期間満了日に対応する各年の月日をいう。
 
6 “証書”とは、国際バラスト水管理証書をいう。
 
規則A-2 一般適用
 
 他に別段の規定がない限り、バラスト水管理については、この附属書に従って実施しなければならない。
 
規則A-3 適用除外
 
 以下のいずれか場合にも、規則B-3の要件又はC節に従って一締約国が採用したいかなる追加方策を適用してはならない。
 
1 緊急状況下における船舶安全及び海上人命救助確保のために必要な、バラスト水及び沈殿物の取入れ又は排出
 
2 船舶及びその設備の損傷により生じた、偶発的なバラスト水及び沈殿物の排出
 
(a)損傷発生又は排出発見前後に、損害又は排出を防止又は最小化するための、あらゆる合理的予防措置手段がとられたことを条件とする。
 
(b)船舶所有者、会社又は責任士官が、故意又は無謀に損傷を引き起こした場合を除く。
 
3 船舶からの汚染事故の回避又は最小化を意図した、バラスト水及び沈殿物の取入れ又は排出
 
4 船内のバラスト水及び沈殿物のすべてを取り入れた場所と同じ場所における、当該船舶からの、取入れ場所で取込んだバラスト水及び沈殿物の排出。ただし、他の場所からのバラスト水及び沈殿物と混合していないことを条件とする。
 
[規則A-4 未管理バラスト水排出許可条件
 
 締約国は、その管轄水域において、[単一又は複数の航海あるいは航路に限り、][もっぱら単一航路を運航するいかなる船舶からの]第B-3規則に従い管理されていないバラスト水の排出を許可することができる。いかなる当該許可も、環境、人間健康、財産又は資源への危険性評価に基づいた一定期間だけに与えることができる。このような排出は、近隣又は他の国々の、環境、人間健康、財産又は資源に対し、危害又は損傷を与えてはならない。当該締約国は、不利な影響を与えるであろうと判断するいかなる国に対しても、確認された懸念事項の解決を目指し、相談しなければならない。このような許可に従ったバラスト水排出については、バラスト水管理記録簿に記載しなければならない。]
 
規則A-5 同等の応諾
 
[長さ50米未満で、最大バラスト水容量8トン(metric tones)の[貿易に従事しない]*pleasure yachtsの、この附属書への同等の応諾については、IMOが策定するガイドラインに従って決定されなければならない。]
 
B節 船舶のための管理及び規制要件
 
規則B-1 バラスト水管理計画
 
 各船舶は、主官庁が承認したバラスト水管理計画を、船内に所持かつ履行しなければならない。バラスト水管理計画は、機関が策定かつ採択したバラスト水管理計画ガイドラインに基づいたものでなければならない。バラスト水管理計画は、個々の船舶について具体的なものであり、また、少なくとも以下の各要件を満足しなければならない。
 
.1 条約が要求するバラスト水管理作業に関連して、船舶及び乗組員の安全対策を詳述すること。[この規定については、復原性、縦強度、sloshing、プロペラ没水、最小船首喫水及び船橋視界等、多くの要件を考慮にいれなければならない
 
.2 条約で明示の、バラスト水管理要件及び補足バラスト水管理実施の履行のためにとるべき措置について、詳細に記述すること。
 
.3 沈殿物の処分についての手順について詳述すること。
 
(a)海上
 
(b)寄港国要件に従った港内又はdry-dock
 
.4 船上バラスト水管理作業を実施する水域の沿岸又は寄港国の当局と、当該作業について調整する手続きを含むこと。
 
.5 当該計画の適切な履行を確保する船上責任士官を任命すること。
 
.6 条約の下に規定される船舶のための報告要件を含むこと。
 
.7 船舶の日常語で記載すること。使用言語が英語、仏語又はスペイン語でない場合、これらの言語の1つによる翻訳文を含むこと。
 
規則B-2 バラスト水管理記録簿
 
1 各船舶は、船内に、バラスト水管理記録簿[又は電子記録システム]5を所持しなければならない。当該記録簿には、少なくとも、付録IIに明記の情報を記載しなければならない。
 
2 記録簿への記入については、最後の記入がなされた後、少なくとも2年間船内に保持し、その後少なくとも3年間は、会社の管理下におかなければならない。船舶の日常語で記入しなければならない。
 
3 規則A-3、A-4又はB-3.4.5に従ったバラスト水排出が生じた場合、あるいはその他の点で条約により除外されない例外的バラスト水排出が生じた場合、当該排出の状況及びその理由について、バラスト水管理記録簿に記述しなければならない。
 
4 当該記録簿については、曳航下の無人船舶の場合を除き、すべての正当な検査時に容易に応じられるように保管し、かつ、船内に保持しなければならない。
 
5 バラスト水管理関連各作業については、完了各作業のすべてをバラスト水管理記録簿に記入し、遅滞なく当該記録簿への記録を完全なものとしなければならない。完了各作業については、一人又は複数の当該運用関連責任士官が署名しなければならず、また、当該船舶の船長は、終った頁毎に署名しなければならない。バラスト水管理記録簿には、船舶の日常語で記入しなければならない。当該記入語が、英語、仏語又はスペイン語でない場合、これら3ヶ国語の内の一言語による翻訳文を記入しなければならない。
 
6 締約国政府の所管当局は、この規則が適用されるいかなる船舶について、当該船舶が当該締約国内にある港又は沖合ターミナルにいる間に、船内のバラスト水管理記録簿を点検し、当該記録簿記入事項のコピーをとり、かつ、本船船長に対し、当該記入事項の正しいコピーであることの証明を要求することができる。バラスト水管理記録簿記入内容の正当なコピーとして本船船長により証明されているいかなるコピーも、司法訴訟手続きにおける記入内容の事実証明として、取り扱われるものとする。この規則第4項の下による、所管当局によるバラスト水管理記録簿の点検及び証明付コピーの取得については、船舶に不当な遅延を生ずることなしに、できる限り速やかに遂行されなければならない。
 
規則B-3 船舶のバラスト水管理
 
[1 条約において別段の規定がない限り、新船は、規則E-2記載の基準を満足又はそれ以上のバラスト水管理を実施しなければならない。
 
2 条約において別段の規定がない限り、現存船は、以下の基準を満足又はそれ以上のバラスト水管理を実施しなければならない。
 
.1 規則E-2に記載の基準
 
.2 規則E-1に記載の基準。この基準を用いる現存船は、[当該船舶が廃船となるまで][条約発効後5年まで][船齢に基づいた一定の日まで]この基準を用いることができる。
 
注:船齢による可変的日付のBWEフェーズアウトがこの条約案に含まれる場合、船舶の船齢に適用されるフェーズアウト日を決定しなければならない。
 
3 この規則の第1項及び第2項については、施設のために機関により作成されたガイドラインを考慮して設計された受入施設へのバラスト水排出には適用されない。
 
4 この規則第2.2項(すなわちバラスト水交換)に従ってバラスト水管理を実施するか、あるいは規則E-2の基準を満足するバラスト水交換を用いる船舶については、以下を遵守しなければならない。
 
.1 可能な場合には常時、機関策定のガイドラインを考慮して、最も近い陸地6から[200]海里以上かつ水深[200]メートル以上の水域で、バラスト水交換を実施すること。
 
.2 この規則第4.1項に従ったバラスト水交換実施が不可能な船舶の場合には、第4.1項に述べられているガイドラインを考慮して、また、最も近い陸地からできる限り離れて、また、すべての場合において、[最も近い陸地から[12][50]海里以上離れて][かつ、水深200メートル以上で][及び/又は][沿岸国決定の距離以上で][機関認定の特別海域外で]バラスト水交換を実施しなければならない。[沿岸国決定のいかなるバラスト水排出回避海域においても、バラスト水交換を実施してはならない。当該排出回避海域については、機関策定のガイドラインを考慮しなければならず、また、IMO及び隣接諸国に対し、適切に当該海域設定について通知しなければならない。]7
 
.3 第4.1又は4.2項に記載の距離又は水深におけるバラスト水交換実施が不可能な船舶の場合、寄港国は、当該船舶に対し、第4.1項に述べられているガイドラインを考慮して、寄港国管轄下の指定区域でのバラスト水交換実施を許可することができる。ただし、近隣又は他の国々の環境、人間健康、財産又は資源に危害を与えないことが、寄港国許可の条件となる。
 
.4 船舶に対し、この規則第4.1項の個々の要件に応諾するため、予定航路からの離路又は航海の遅延を要求してはならない。
 
.5 バラスト水交換実施船舶に対し、その船の船長が、当該交換について、悪天候による、船舶の安全性、復原力、乗組員又は乗客への脅威、あるいは船舶建造上のデザイン、設備故障又は他の例外的条件に脅威を与えることになると合理的に判断した場合、適用される第4.1、4.2又は4.3項への応諾を要求してはならない。
 
.6 船舶は、第4.5項に述べられている事由で、第4.1、4.2又は4.3項を遵守できない場合、その理由をバラスト水管理記録簿に記入しなければならない。
 
規則B-4 船舶の沈殿物管理
 
1 すべての船舶は、バラスト水を運搬するよう指定された区画から、その船舶のバラスト水管理計画の規定に従って、沈殿物を除去又は処分しなければならない。
 
2 新船については、機関が策定するガイドラインに基づいて、沈殿物の取入れ及び好ましくない策略を最小化し、沈殿物除去を助長し、かつ、沈殿物の除去及びサンプリングができるアクセスを提供するように、設計かつ建造しなければならない。現存船については、実行可能な限り、この規定を遵守しなければならない。
 
規則B-5 士官及び乗組員の義務
 
 バラスト水管理に従事する士官及び乗組員は、当人が乗船する船舶固有のバラスト水管理の実施における当人の義務を熟知しなければならず、かつ、義務に応じてその船舶のバラスト水管理計画を熟知しなければならない。
 

* 作成必要
5 書面記録の代替肢としての電子記録システム利用について、検討必要
6 “最も近い陸地”の定義については、MARPOL 73/78附属書I第1(9)規則と同様のものと考慮すべし。
7 括弧内選択肢については、組み合わせも考慮可能。
短期間航海問題については、これら選択肢の最終選択時に考慮すべし。







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