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第7条 検査及び証明
 
1 締約国は、当該締約国旗を掲げるか又は同国権限の下に運航していて、検査及び証明を条件とする当該締約国の船舶については、附属書の規則に従って検査かつ証明することを確保しなければならない。
 
[2 附属書C節に従って追加方策を実施する締約国は、その他の締約国に対し、船舶の追加検査及び証明を要求してはならない。また、当該船舶の主官庁についても、その他の締約国が課す追加検査及び証明の義務を負わされることもない。このような追加方策の立証は、当該追加方策を実施する締約国の責任となり、船舶の不当な遅延を生じてはならない。]
 
第8条 違反
 
1 条約要件へのいかなる違反も禁止されなければならず、また、違反が行われた場所のいかんを問わず、当該船舶に関係する主官庁の法の下に処罰できる措置が確立されなければならない。主官庁は、このような違反の情報を入手した場合、その件を調査しなければならず、また、摘発違反について、報告締約国に対し、追加証拠の提供を要求することができる。当該主官庁が、当該摘発違反について手続きを進めるのに十分な証拠が入手可能と確信する場合、当該主官庁の法に従って、可及的速やかに手続きをとらなければならない。 当該主官庁は、とられたいかなる措置についても、速やかに、違反摘発を報告した締約国にはもちろん、機関にも報告しなければならない。主官庁は、当該違反情報を受け取った後1年以内にいかなる措置もとらなかった場合、違反摘発を報告した締約国に対し、その旨を通告しなければならない。
 
2 条約締約国の管轄内においては、いかなる条約要件への違反も禁止されなければならず、それゆえ、締約国の法の下に処罰できる措置が確立されなければならない。締約国は、違反発生時にはいつでも、以下のいずれかの措置をとらなければならない。
 
(a)自国法に従い、手続きをとること。
 
(b)違反船舶の主官庁に、当該締約国が所有する違反発生の情報及び証拠を提供すること。
 
3 本条に従って、一締約国の法により規定された罰則については、条約への違反をどこにおいても思い止まらせるのに十分な、厳しいものでなければならない。
 
第9条 船舶の点検
 
1 条約適用船舶は、その他の締約国のいかなる港又は沖合係留施設においても、当該船舶が条約を遵守しているかどうかを決定することを目的とした、当該締約国から正式に権限を与えられた職員による点検に従うものとする。当該点検については、以下のものに限られる。
 
(a)有効な証書が船内にあることの確認。当該証書が有効な場合、容認されなければならない。;及び又は、
 
(b)バラスト水管理記録簿の点検、[及び/又は
 
(c)機関策定のガイドラインに従って実施された船舶バラスト水のサンプリング。しかしながら、当該サンプリングの調査分析に必要な時間を、船舶の[運航、]移動及び出港に不当な遅延を生ずる根拠として用いてはならない。]
 
2 当該船舶が有効な証書を所持していないか、又は以下のいずれかについて、信ずるに足る明確な根拠がある場合には、より詳細な点検を実施することができる。[この点検には、機関が策定するガイドラインに従って実施された船舶バラスト水のサンプリングが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかしながら、当該サンプリングの調査分析に必要な時間を、船舶の[運航、]移動及び出港に不当な遅延を生ずる根拠として用いてはならない。]
 
(a)当該船舶及びその設備が、当該証書の明細に実質的に一致していない場合
 
(b)船長又は乗組員が、バラスト水管理船内手順について熟知していないか、又は当該手順を履行しなかった場合
 
3 この条第2項の事情が発生の下に、点検実施締約国は、当該船舶が、環境、人間健康、財産又は資源に対し有害となる不合理な脅威なしでバラスト水排出が可能となるまで、バラスト水を排出させないことを確保する措置を講じなければならない。
 
第10条 違反発見及び船舶管制
 
1 締約国は、違反の発見及び条約規定の執行に協力しなければならない。
 
2 船舶が条約に違反したことが発見された場合、当該船舶が旗国とする締約国、及び/あるいは、当該船舶が運航している港又は沖合ターミナルの属する締約国は、第8条に記述の処罰又は第9条に記述の措置に加えて、当該船舶について、警告、拘留又はその締め出しの措置をとることができる。しかしながら、当該締約国は、当該船舶に対し、バラスト水排出あるいは最も近い利用可能な修理場又は受入施設に向かう目的で、港又は沖合ターミナルを離れる許可を与えることができる。ただし、そうすることが、環境、人間健康、財産又は資源に対し有害となる、不合理な脅威のないことを条件とする。
 
3 その他の港又は沖合ターミナルから受け取った結果を含め、第9(1)(c)/9(2)条に記述のサンプリング結果が、該当船舶について、環境、人間健康、財産又は資源に対し不合理な脅威となっていることを示している場合、当該船舶が運航している水域の締約国は、当該脅威が除去されるまで、当該船舶からのバラスト水排出を禁止することができる。4
 
4 また、締約国は、いかなる締約国から、船舶が条約の規定に違反して運航中又は運航されたという、十分な証拠を伴った調査要請を受けた場合にも、当該船舶の当該締約国管轄下の港又は沖合ターミナル入港時に、当該船舶を点検することができる。当該調査報告書は、適切な措置がとれるよう、調査要請国及び関係船主官庁の所管当局に送付されなければならない。
 
第11条 管制措置の通知
 
1 第9又は10条に従って実施された点検において条約違反が示された場合、実行可能な限り、該当船の船長に通知しなければならない。違反の証拠があればその証拠を含んだ報告書を、主官庁に送付しなければならない。
 
2 第9(3)、10(2)又は10(3)条に従ってとられたいかなる措置についても、当該措置の実施職員は、措置が必要となることに関するあらゆる事実について、直ちに、書面で、船舶の旗国である締約国の領事又は外交代表者に、それが不可能な場合には、該当船舶の主官庁に報告しなければならない。加えて、証明書発行に責任を有する認可された組織にも通知しなければならない。
 
3 関連寄港国当局は、第9(3)、10(2)、又は10(3)条に明示の措置をとることが不可能な場合、あるいは当該船舶が次寄港港に向かうことが容認された場合には、当該船舶の次寄港港に加えて、第2項に記載の締約国に、当該船舶に関連するすべての情報を通知しなければならない。
 
第12条 船舶の不当な遅延
 
1 条約第[7(2)]、8、[9及び10]条の下の船舶の不当な拘留又は遅延の回避に、最大限努力しなければならない。
 
2 条約の第[7(2)]、8、[9及び10]条の下に、船舶が不当に拘留又は遅延させられた場合、当該船舶に対して、被ったいかなる損失又は損害についても賠償を受ける権利を与なければならない。
 
第13条 地域協力
 
 条約の目的促進のため、一定の地理学的地域において、環境、人間健康、財産又は資源の保護に共通の利害関係を持つ複数の締約国は、特有の地域的特徴を考慮に入れて、条約に矛盾しない地域協定の締結を含む地域協力を促進することに努力しなければならない。締約国は、調和手続き作成のため、当該地域協定締約国との協力に努めなければならない。
 
第14条 情報の連絡
 
1 各締約国は、機関に対し、以下のいずれの情報についても報告しなければならず、また、他の締約国が必要に応じ入手できるようにしておかなければならない
 
(a)条約履行のための自国法、規則及びガイドラインを含む、バラスト水管理に関する要件及び手続き
 
(b)バラスト水及び沈殿物の環境的に安全な処分のため利用可能な受入施設及びその位置
 
(c)附属書規則A-3に明示の理由により、条約の規定遵守が不可能な船舶からの情報についての要件
 
2 機関は、本条に基づくいかなる連絡事項についても締約国にその受領を通告し、また、本条第1項の副項(b)及び(c)の下のいかなる機関への連絡事項についても、すべての締約国への回章に付さなければならない。
 
第15条 紛争の解決
 
 締約国は、条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争については、交渉、照会、和解、仲裁、司法解決、地域機関又は協定への訴え、あるいは他の平和的手段について、自力で選択し解決しなければならない。
 
第16条 国際法及び他の協定との関係
 
 条約において、国連海洋法条約に反映されている慣習的国際法の下のいかなる国の権利及び義務を侵害するものは何もない。
 
第17条 署名、批准、受諾、承認及び加盟
 
1 条約は、機関本部において、いかなる国による署名のため、[ ]から[ ]まで開放し、その後もいかなる国の加盟のため開放しておかなければならない。
 
2 各国は、以下のいずれかにより条約締約国となることができる。
 
(a)批准、受諾又は承認を条件としない署名
 
(b)批准、受諾又は承認に続く、批准、受諾又は承認を条件とする署名
 
(c)加盟
 
3 批准、受諾、承認又は加盟については、IMO事務局長にその旨を文書で寄託することにより有効としなければならない。
 
4 異なる法制度が適用される複数の領土単位から成る国は、署名、批准、受諾、承認又は加入時において、条約が当該国のすべて、又は1つ以上の領土単位のみに条約の適用が及ぶべきかを宣言することができ、また、いかなる時にも、他の宣言の寄託により前宣言を変更することができる。
 
5 いかなる当該宣言も、寄託者に書面で通告し、かつ、条約が適用される単又は複数の領土単位を明確に述べなければならない。
 
第18条 発効
 
1 条約は、[後日文案作成]に発効するものとする。
 
2 発効のための要件が満たされた日から発効日までの間にこの条約の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した国については、当該批准書、受諾書、承認書又は加入書は、この条約発効日又は当該文書寄託日の後3箇月を経過した日のいずれか遅い日に効力を生ずるものとするずる。
 
3 この条約発効日後に寄託されるいかなる批准書、受諾書、承認書又は加入書についても、寄託の日の3箇月で効力を生ずるものとする。
 
4 この条約の改正が、第[19]条の下受諾されたものとみなされる日の後に寄託されるいかなる批准書、受諾書、承認書又は加入書についても、改正された条約に係るものとする。
 

4 この項の第9条への移設につき検討必要







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