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地方税財政制度改革を踏まえた地方公共団体の役割に関する研究

 事業名 地方税財政制度改革を踏まえた地方公共団体の役割に関する研究
 団体名 地方自治研究機構 注目度注目度5


4 各段階における調整効果の比較
(1)調整効果の概要
(1)売上税の配分では、州税収連邦平均の92%に相当する税収が保障される。
(2)州間財政調整では、調整額測定値の95%が保障されるよう課税力測定値が調整される。
(3)不足額補充交付金では、調整額測定値の99.5%が保障される(特別補充交付金によって各州の歳入は調整額測定値の100%を超える)。
 
(2)連邦財政調整の拠出・受領額(2000年)
 
図表2-2-11 連邦財政調整の拠出・受領額
単位:百万ユーロ
(注)1
Euro=1.95583DM
資料:
Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2002, Bundesanzeiger Verlaggesellschaft, 2001, 及びStatistisches Bundesamt, Statistisches Jahrbuch 2000 für die Bundesrepublik Deutschland, Metzler-Poeschel, Stuttgart, 2001
 
 売上税は州税収の割当て、州間財政調整は州相互間の移転、連邦補充交付金は連邦税収から給付とそれぞれ性質が異なるため、移動する資金の総額だけではその需要度をはかることは難しい。そこで各プロセスの一人当たりの調整額を示した。売上税の配分については、その調整機能を測るため、各州に割当てられた一人当たり税収を連邦平均との比較で示している。負値はその州の一人当たり売上税収が連邦平均を下回る額を、正値は上回る額を表している。州間財政調整については負値は一人当たりの拠出額を、正値は一人当たり受領額を示している。ゆえに売上税配分も州間財政調整もともに、負値は財政調整のために負担をしたことを、正値は財政調整から追加的な財政力を与えられたことを意味しているので、最大負値と最大正値の差は調整の度合いを示すことになる。連邦補充交付金については一人当たりの受領額が示されているので、その最小値と最大値との差が、調整の度合いを示し、州間財政調整、売上税配分、旧東ドイツ諸州に対する特別需要補充交付金、不足額補充交付金の順で大きい。
 
図表2-2-12 連邦財政調整の一人あたり調整額(2000年)
単位:百万ユーロ
(注)1
ユーロ=1.95583DM
資料:
Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2002, Bundesanzeiger Verlaggesellschaft, 2001, 及びStatistisches Bundesamt, Statistisches Jahrbuch 2000 für die Bundesrepublik Deutschland, Metzler-Poeschel, Stuttgart, 2001
 
(1)概要
 市町村は共同税である所得税収の配分を受けるが、その代わりに市町村税である営業税収の一部を営業税分担金として共同税へ拠出する。つまり営業税収の一部と所得税収の一部が交換されるわけであるが、これには経済的条件の違いによって生じる市町村間の税収格差を縮小し、より人口比例的な租税収入の配分をもたらすという効果がある。
 営業税分担金は、営業税収を賦課率で除し、これに一定割合(54%)をかけたものであるから、その大きさはひとえに課税標準の大きさに依存する。
 営業税の課税標準は営業収益であるので市町村内に所在する企業が多ければ多いほど、企業の収益が高ければ高いほど、その税収が大きくなる。
 つまり営業税の税収は、経済的な諸条件に依存する。
 他方、所得税収の市町村取得分は、市町村の人口にほぼ比例した形で配分される。共同税である所得税からまず、全所得税収のうち市町村所得分である15%が、帰属する税収額(州内に居住する個人が納付した所得税の合計額)に応じて各州に配分される。そして次に、州が、各納税者が納付した税額のうち課税所得50,000マルク以下に相当する部分だけを取り上げ、その市町村合計額が州合計額に占める比率に応じて税収を各市町村に配分する。
 少なくとも納税者の一部は50,000マルク以上の課税所得を有すると考えられるので、この比率は、所得の比率に比べ、より納税者の比率に近いものとなる。納税者の数と人口の数の間に関係があるとすれば、所得税の配分は、人口比例に比較的近いものとなる。
 市町村の会計は、資本会計(資産の購入や売却)と、経常会計(資本会計以外の行政費用一般)に分けられている。市町村の経常会計の歳入内訳として、最も重要な財源は第1に租税収入であり、第2に手数料収入である。また、州からの交付金も約4分の1を超える重要な役割を担っていることがわかる。他方、資本会計の歳入は、州からの交付金が最も需要であり、全収入の40%を超えている。このように州からの交付金は市町村にとって必要不可欠なものであり、市町村の財政力は交付金の多寡に大きく依存する。
 また、給付された交付金の内訳は、総額の約60%が使途の限定されていない一般交付金に、そして残りの40%が使途が指定されている特別交付金に充てられている。一般交付金では基準交付金が最も多く、全体の50%近くを占めている。基準交付金は、特定のルールに従って算定される財政力に基づいて給付され、一般的な財政需要の充足に充てられる。一般交付金にはこのほかに家族給付調整交付金や需要交付金などがあるが、その給費額はいずれも小さい。家族給付財政調整交付金とは養育扶助に関連して生じる負担を補償するための交付金であり、需要交付金は軍事基地が存在するなど特別の事情を抱える市町村に給付される。
 
図表2-2-13 市町村の経常会計歳入予算(2000年度)
区分 予算額
(10億ユーロ)
構成比
(%)
租税収入
 営業税
 所得税収市町村取得分
 売上税収市町村取得分
 不動産税
51.9
19.3
21.3
2.7
7.9
40.7
15.1
16.7
2.1
6.2
州からの交付金
 一般交付金
 特別交付金
40.3
29.4
10.9
31.6
23.0
8.5
手数料 16.9 13.3
その他の収入 47.2 37.0
市町村相互間の移転 ▲28.7 ▲22.5
合計 127.6 100.0
(注)
1ユーロ=1.95583DMで換算
資料:
Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2002, Bundesanzeiger Verlagsgesellschaft, 2001
 
図表2-2-14 市町村の資本会計歳入予算(2000年度)
区分 予算額
(10億ユーロ)
構成比
(%)
出資分の売却収入 1.4 7.4
固定資産の売却収入 5.5 28.2
分担金 2.5 12.6
州からの投資交付金 8.1 41.6
その他の収入 2.7 13.7
市町村相互間の移転 ▲0.7 ▲3.4
合計 19.4 100.0
(注)
1ユーロ=1.95583DMで換算
資料:
Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2002, Bundesanzeiger Verlagsgesellschaft, 2001
 
 目的交付金では、社会資本整備など特定の公共投資の財源に充てられる投資交付金が最も多く、その他の「経常的な目的交付金」が約13%である。
 このように市町村財政調整には、使途の限定を受けず一般財源に充てられる一般交付金と特定のルールによって交付される基準交付金があるが、基準交付金が交付金全体に占める割合は非常に小さく、交付金を通じて州が市町村に関与する余地は小さく抑えられている。
 
図表2-2-15 州から市町村への交付金の内訳(2000年度)
(注)
1ユーロ=1.95583DM
資料:
Bundesministerium der Finanzen, Finanzbericht 2002, Bundesanzeiger Verlagsgesellschaft, 2001より
 
(2)基準交付金の仕組み
 基準交付金は主として人口で財政需要を、基幹税の税収で課税力を測定し、その格差が縮小されるよう給付額を決定するという基本構造である。
 
ア 給付総額の決定
 財政調整分担金と共同税州取得分の一定割合を財政調整のための原資に充て、これを財政調整基金と呼ぶ。財政調整基金は一部が特別交付金に充てられ、残額が基準交付金の給与総額とされる。
 財政調整分担金とは州が市町村から徴収するものである。その額は市町村の税収に分担率を乗じて算定する。市町村の税収には市町村基幹税である営業税と不動産税に加え、共同税である取得税と売上税の市町村取得分、そして基準交付金及び家族給付調整交付金からの受領額が含まれる。分担率は累進構造を有している。これは財政力及び課税力の強い市町村はより多くの財政調整分担金を支払うこととし、これにより市町村間の財政力格差は縮小される。
 
イ 課税力測定値の決定
 各市町村の課税力は、「課税力測定値」により算定する。これは営業税及び不動産税の税収、所得税及び売上税の市町村取得分、家族給付調整交付金受領額を合計し、そこから営業税分担金を差し引くことにより求める。
 
図表2-2-16 課税力測定値
営業税及び不動産税、家族給付調整所得税及び売上税の
+交付金受領額−営業税分担金市町村所得分
 
 ただし、これらにはその年度に実際に受領した額ではなく、2年前の実績をもとに計算した当該年度の予測値を用いる。所得税及び家族給付調整交付金については、その年の配分基準率、すなわち給付総額に占める当該市町村取得分の割合を2年前に受領額に乗じることによって求められる。そして売上税については、2年前の受領額に80%を乗じて求められる。
 地方税である営業税と不動産税については、税率の平準化を行う。営業税と不動産税は、課税標準に課税基準率と賦課率を乗じることによって税額を求める。課税基準率は全国一律であるが、賦課率は市町村が決定するため、最終的な税率の決定権は市町村にある。こうした税率に依存せずに課税力を求めるため、この両税については実際の賦課率に替えて定率を用いるのである。この定率は、農林業の不動産に対して課せられる不動産税Aでは195%、その他の不動産を課税対象とする不動産税Bでは185%、そして営業税については290%となっている。営業税と不動産税の当該年度の課税力は、2年前の税収を当時の賦課率で除し、これにこの定率を乗じることによって求める。
 
ウ 需要額測定値
 市町村の財政重要は、「需要額測定値」によって測られる。需要額測定値は市町村の人口に「1人当たり基本額」を乗じる。1人当たり基本額は、人口が多いほど大きくなるように設定されている。これは人口が多くなるほど、一人当たりの行政費用が高くなるという仮定に基づいた措置である。一人当たり基本額は、財政調整基金の基準交付税分、すなわち給付総額が適切に配分されるよう、各年度ごとに州財務省が決定する。よって、規模によって修正された人口数を需要の決定要素であるとみなして、その比率を求めたものにすぎない。市町村の任務から予測される需要額とは異なるものである。
 
エ 給付額の決定
 基準交付金の給付額は、課税力測定値が需要額測定値に不足する額をもとに決定される。不足の全額を交付金で補てんすることは市町村の徴税努力が無駄となるため、不足額はその一定割合に相当する額のみが給付される。この割合は給付率と呼ばれるが、給付総額に対する不足額合計の比率によって求められる。たとえば、不足額の全市町村合計が、給付総額の70%である場合、各々の市町村に対して不足額の70%が給付される。
 この方法のもとでは、給付率は需要額測定値決定における一人当たり基本額と直接的な関係を持つ。1人当たりの基本額が高く設定されれば、不足額の合計が大きくなり、それだけ給付率は低められる。逆に一人当たり基本額が低く設定されれば給付率は高くなる。よって、一人あたり基本額が低くなれば財政力の弱い市町村が絶対的に有利であり、高くなれば財政力の強い市町村のほうが有利となる。財政調整の度合いは、一人当たり基本額を通じて州が決定していることを意味している。
 
 ドイツにおいて、州間の財政調整は、売上税の垂直的配分、売上税の州間配分、州間財政調整、連邦補充金という4つの措置によって行われているが、この中で最も重要な役割を果たしているのが州間財政調整である。これは、州間で直接的に財政調整を行うものであるため、少なからず拠出側に強い負担感が生じる。また、課税力の強い公共団体に、その優位を相殺してしまうほどの拠出を求めることは、徴収努力を阻害する要因の一つともなる。そしてさらに、独自の政策を展開する可能性を抑制することにもつながる。財政力の低い旧東ドイツ諸州が1995年からこの制度に加わったことにより、こうした財政調整の矛盾点はより顕著に問題視されるようになった。州間財政調整のような水平的財政調整には、つねに財政調整をどれだけ行うかという問題がつきまとうのである。







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更新日: 2020年6月27日

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