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伝統的地場産業の再生・育成に関する研究

 事業名 伝統的地場産業の再生・育成に関する研究
 団体名 地方自治研究機構 注目度注目度5


6 “ぷからすストーリー”実現に向けての今後の検討課題
 本研究では、石工や瓦葺きなどの空間づくりの手わざから、民具・工芸、食・生活文化など、宮古らしい風景や風情の要素となっている地域独自の技能・技術の現状や継承の状況、来島者の観光意識や行動等の基礎的な情報を把握・整理した。そしてこれを観光資源として、あるいは活力ある地域づくりに生かしていくための展望と具体的な方策を提示した。
 実態調査で出逢った個性豊かな手わざやその担い手の方たち、市民会議における市民の豊かな発想と表現力そして地域発展への高い問題意識、また委員会での実現に向けた真摯な議論などを通じて、本提案の基本理念となる企画段階から市民が主体的に関わり、行政との協働により発展し継続する“ぷからすストーリー”が導出された。
 人口減少や市町村合併などの環境変化や厳しい財政状況のもとでこそ、自律に目覚めた市民と行政が地域の資源や課題を共有し、試行錯誤を重ねながらも知恵と力を出し合い、相互連携により構造改革を進める契機(チャンス)と捉えることができる。
 本研究では、その一歩を踏み出すための基礎情報の整理と、官民一体となって推進するためのストーリー及び長期展望を提示しているが、大切なのは今後の実践的な取組みである。本調査研究成果は、今後の検討・計画(Plan)、試行・実践(Do)、検証・評価(See)、再試行・展開(Action)などの実践的な取組み(ストーリー)の中で、手わざ情報の拡充や、提案内容のさらなる具現化あるいは軌道修正が必要となる。今後の具体的な取組みを進めるための検討課題を以下に記し、“ぷからすストーリーの序章”としたい。
 
(1)「宮古市民フォーラム(仮称)」を立ち上げる
 今回の提言内容の具現化には、まず市民主体の手わざ観光まちづくりの推進組織となる「市民フォーラム」の設立が不可欠となる。メンバーの募集に際しては、コアメンバーはまずは市民会議及び本委員会の参加メンバー及びそのメンバーからの推薦者とする。また本調査研究成果の市民報告会あるいは広報を行い、賛同者を募ることも考えられる。コアメンバーの限定はとにかく一日も早い立ち上げを目指すためである。組織の核づくりができた後は、「この指止まれ方式」で広く参加を募り、参加者規模や熟度に応じてフォーラムの活動内容や検討メニューの豊富化を図る。
 フォーラムの企画・運営事務局の立ち上げは行政が望ましい。行政は参加者の募集や連絡、会場の確保・提供などを主に行う。この場合行政職員は事務局としてだけでなく、一市民としてあるいは行政へのパイプ役として対等な立場でのフォーラムの参加も望まれる。運営方式や参加者への報償、運営費用の調達については行政職員も含めたコア(中心)メンバーで協議し、当事者間で決定していくものだが基本はローコストと効率性を重視し、行政の補助金助成金などに依存しない自律的な運営をめざす。
 
(2)手わざ人材情報を拡充する
 実態調査結果や市民会議などから手わざの基礎情報を整理し、その活用・実践イメージとして、手わざ体験メニューの試案を提示しているが、その具現化については市民フォーラムでの検討を想定している。体験メニューの具現化には体験メニューの講師の人材情報(内容・対応条件等)の収集・整理が不可欠であり、それが「ぷからすストーリー2」の手わざ認証・登録制度の基礎的な情報にもつながる。
 手わざ人材情報の収集は、行政担当が中心となって進める。まず観光、教育(生涯学習、学校)、産業(農林漁業、製造業)など行政及び関連団体機関で保有する名人や表彰者、新聞等記事掲載情報を収集し統合する。それらの基礎情報を中心に市民フォーラム会員による更なる拡充という展開となる。
 
(3)ビジネスに結びつく出会いとコスト感覚を重視する
 上述の市民フォーラムの立ち上げや、手わざ人材情報の収集・整理は当初は行政担当課が中心となり実施するものなので着手時に外部経費は発生しない。しかし、市民フォーラムという“場づくり”と手わざ人材情報という“コンテンツ”を企画・整備する過程や、その後の展開においても常に留意しなければならないことはコスト感覚であり、業を立ち上げる発想である。市民と行政の協働による展開は、そこにかかる費用をすべてボランティア(無償)で賄うといった安易な想定では参加者の理解も得られず早晩行き詰まることは必至である。例えば、市民フォーラムの会場費や広報費などの運営費、手わざ講師への謝礼金、手数料など市民フォーラムの運営や体験メニューの実現化に際しても、コスト感覚を抜きにしては成り立たない。
 市民フォーラムは市民の地域課題の共有化や誇り意識の醸成といった意識啓発(気づき)の場であることはもとより、その目指すところは起業の仕掛けであり、手わざ人の発掘・育成と、それを求める人(観光客、観光事業者、まちづくり企画団体等)とのマッチング(出会い)の場による新たなコミュニティビジネスの育成・創出にある。活動の対価を得て、これを運用していくという基本的な考え方と目標を共有し、その活動に反映していくことが肝要である。
 
(4)多様な連携・協力の実践により“ぷからすストーリー”の具現化を図る
 地方分権や三位一体改革の推進という潮流のなかで産業基盤の弱い地域では、企業も行政も明るい将来展望を描きにくい状況にある。国では地域経済の活性化や雇用創出をめざした地域再生策をはじめ、規制緩和や権限委譲、民間開放等の広範にわたり地域の可能性や潜在力を生かした構造改革を後押しするような政策が実施されている。沖縄県も観光リゾート振興をはじめ、地域特性を伸ばす宮古圏域の整備推進を掲げて各種支援に取り組んでいる。“ぷからすストーリー”の実現には、地域観光の活性化や、中心市街地活性化、定住促進、地産地消対策、自然・文化的景観の文化財化など国や県の多様な政策メニューの効果的な活用の検討が不可欠である。
 また「手わざが息づく宮古らしい空間」は、観光客の意識と同様に行政域にとらわれない宮古圏域全体を指すものである。周辺市町村との連携・協力を積極的に進め、圏域全体のイメージアップと相乗効果を勘案しつつストーリー展開する必要がある。
 最後に、市民と行政の連携・協力関係の構築が“ぷからすストーリー”のはじめの一歩であることを改めて確認しておきたい。







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