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(8)港湾を活用した観光レクリエーションの将来予想
・ 全事業者・団体の約半数が、港湾を利用した観光レクリエーションのニーズは「ますます高まるだろう」とみている。
・ 高まりが予想される活動については、回答者の4割が「ヨット・ボート・カヌーなどの海洋スポーツ」(25件)を挙げ、「遊覧・クルーズなどの海洋観光」(24)が僅差でこれに続いた。次いで「港湾観光を活かした食事・宿泊・買い物」、「海洋環境や臨港産業の体験学習」、「港湾での釣り」(各19)、「港湾でのイベント」(16)、「散策などの公園的利用」(15)と、現在最も港湾でよくみられる活動が挙げられている。
・ 長崎県の海洋の資源性が高く評価されていることとあわせて考えると、今後は一層海洋の魅力を活用し、そこに誘うアクセスゲートとしての港湾で、食や産業観光も含む多様な活動が広がることが期待されているといえる。
 
■ニーズ動向の予想【全事業者・団体】
選択肢
01 ますますニーズ・関心が高まるだろう 33 53.2
02 ニーズ・関心の高まりは、それ程期待できない 10 16.2
03 わからない 10 16.2
無回答 9 14.4
集計対象票数(N=62) 62 100.0
 
<高まりが予想される活動>
選択肢 〜主要項目〜(複数回答)
ヨット・ボート・カヌーなどの海洋スポーツ 25 40.3
遊覧・クルーズなどの海洋観光 24 38.7
港湾環境を活かした食事・宿泊・買い物 19 30.6
海洋環境や臨港産業の体験学習 19 30.6
港湾での釣り 19 30.6
港湾空間でのイベント 16 25.8
港湾での散策など公園的利用 15 24.1
港湾の環境や文化を楽しむ観光 13 21.0
港湾空間を活用したスポーツや健康増進活動 13 21.0
港湾リゾートなど半居住的利用 13 21.0
音楽や絵画など芸術活動への港湾の利用 6 9.7
集計対象票数(N=62)
 
(9)今後の取り組み意向
・ 全事業者・団体の過半数が「積極的に取り組みたい」としており、市町村と比べると相対的に積極的な意向が示された。
 
■港湾の観光レクリエーション利用への将来的な取り組み意向【全事業者・団体】
選択肢
01 積極的に取り組みたい 34 54.8
02 現状維持 17 27.4
03 縮小・撤退を考えている 4 6.4
無回答 7 11.3
集計対象票数(N=62) 62 100.0
 
(10)観光レクリエーション活動に利用しやすい港湾づくりに向けて
・ 旅行代理店・広告代理店を除く地元事業所・団体に「港湾での活動を魅力的なものとするのに大切と思うこと」について聞いたところ、第一に「駐車場の確保」(32件)が挙げられ、続いて「無料」又は「家族で」「気軽に楽しめる場づくり」(30)、「安全管理の充実」(29)、「周辺海域の魅力の紹介」(28)、「周辺観光地・観光レクリエーション施設との連携」(26)が挙げられた。誰もが気軽に立ち寄り、海を楽しめるような場とすることが重要視されているといえる。
・ また、「港湾や海洋の環境保全」(21)も重視されているほか、「悪天候でも楽しめる場づくり」・「港湾周辺の観光資源の発掘と紹介」(各17)など、楽しみや魅力の幅を広げる視点も示された。
・ これに、「路線バス、旅客船などの公共交通の利便性促進」、「スポーツ大会などイベント開催の促進」(各15)、「港湾での朝市など賑わいづくり」(14)、「飲食や買い物などの魅力づくり」(13)などが続いており、アクセス条件の向上、イベント促進、食や買い物との連携など、観光地としての資質向上に関わる指摘も多くみられ、海の魅力があっても観光行動の受け皿条件が少ない・見えてこないとする旅行代理店の感触との合致点が認められる。
 
■地元事業所・団体が、港湾での活動を魅力的なものとするのに大切と思うこと 【観光レクリエーション施設+マリンレジャー事業者+観光周遊船+主要団体+商工会等】
選択肢〜主要項目〜(複数回答) 内訳
駐車場の確保 32 施設2、マリンレジャー事業者11、観光船6、団体11、商工会等2
無料/家族で気軽に楽しめる場づくり 30 施設2、マリンレジャー事業者10、観光船4、団体10、商工会等4
安全管理の充実 29 施設3、マリンレジャー事業者7、観光船7、団体9、商工会等3
周辺海域の魅力の紹介 28 施設4、マリンレジャー事業者11、観光船6、団体3、商工会等4
周辺観光地・観光施設との連携 26 施設4、マリンレジャー事業者8、観光船4、団体5、商工会等5
港湾や海洋の環境保全 21 マリンレジャー事業者8、観光船3、団体9、商工会等1
悪天候でも楽しめる場づくり 17 施設3、マリンレジャー事業者4、観光船4、団体3、商工会等3
港湾周辺の観光資源の発掘と紹介 17 施設3、マリンレジャー事業者5、観光船3、団体3、商工会等3
バス・船等公共交通の利便性促進 15 施設2、マリンレジャー事業者4、観光船5、団体2、商工会等2
港湾での朝市など賑わいづくり 15 施設4、マリンレジャー事業者5、観光船2、団体1、商工会等3
スポーツ大会などイベント開催の促進 14 施設1、マリンレジャー事業者5、団体7、商工会等1
飲食・買い物などの魅力づくり 13 施設2、マリンレジャー事業者2、観光船2、団体6、商工会等1
港湾や施設のバリアフリー化 10 施設1、マリンレジャー事業者2、観光船3、団体3、商工会等1
他の施設・活動との一体的なPR 9 施設2、マリンレジャー事業者4、観光船1、商工会等2
ライトアップや植栽などによる景観づくり 5 施設1、マリンレジャー事業者2、観光船1、商工会等1
音楽・絵画・写真など文化との連携 2 マリンレジャー事業者1、団体1
集計対象票数(N=52) 施設5、マリンレジャー事業者19、観光船8、団体13、商工会等7
 
・ 地元事業者・団体は、「港湾での活動で感じる困難・問題・支障」として、「駐車場スペースが不十分」・「レジャー水域が確保されていない」・「水・電気・トイレ等の確保」といった物理的な活動基盤確保の問題と同率で「ゴミや違法係留など利用者のモラル意識」(各16件)を挙げた。
・ 次いで、「休憩・散策など楽しめる環境がない」・「マリンレジャーについてまだよく知られていない」(各14)、「埠頭などの構造が接岸しにくい」(13)、「港湾の利用手続きや法的規制の煩雑さ」(11)と続き、物理的な施設条件とともに、制度面でのやりにくさや、PR・情報提供面での不十分さが大きく認識されている様子が示された。
・ 上の、「港湾での観光レクリエーションの魅力化」に関わる指摘と併せて読んでも、活動に必要な施設の充実、安全で快適な活動環境づくりにつながる物理的な条件整備とともに、法制度面の環境や地域の陸海域、地元の産業等とリンクしたPRのあり方といったソフトな条件整備の重要性がクローズアップされてくる。
 
■地元事業所・団体が、港湾での活動で感じる困難・問題・支障 【観光レクリエーション施設+マリンレジャー事業者+観光周遊船+主要団体+商工会等】
選択肢〜主要項目〜(複数回答) 内訳
駐車場スペースが不十分 16 30.8 施設1、マリンレジャー事業者5、観光船2、団体6、商工会等2
レジャー水域が確保されていない 16 30.8 マリンレジャー事業者7、団体3、商工会等1
水・電気・トイレ等の確保 16 30.8 マリンレジャー事業者6、観光船1、団体7、商工会等2
ゴミや違法係留等利用者のモラル意識 16 30.8 マリンレジャー事業者6、観光船3、団体4、商工会等3
休憩・散策等楽しめる環境がない 14 26.9 施設4、マリンレジャー事業者2、観光船2、団体4、商工会等2
マリンレジャーがまだよく知られていない 14 26.9 マリンレジャー事業者8、団体5、商工会等1
埠頭などの構造が接岸しにくい 13 25.0 マリンレジャー事業者6、観光船2、団体5、商工会等1
港湾の利用手続や法的規制の煩雑さ 11 21.2 マリンレジャー事業者4、団体4、商工会等3
大型船の航行が活動に危険 9 17.3 マリンレジャー事業者2、観光船2、団体2
気象・海象により活動日・時間が不確実 9 17.3 施設2、マリンレジャー事業者2、観光船2、団体2、商工会等1
港湾周辺の道路の混雑・渋滞 8 15.4 施設1、マリンレジャー事業者3、観光船1、団体2、商工会等1
防犯上の不安 8 15.4 商工会等5、観光船1、団体2
都市部から港湾までが遠い 8 15.4 施設1、マリンレジャー事業者3、観光船1、団体3、
道が狭くわかりにくいなどアクセスしにくい 6 11.5 マリンレジャー事業者2、観光船3、団体1
施設利用や運賃などの経済性 5 9.6 施設1、マリンレジャー事業者1、観光船1、団体2
港湾にある施設環境の使い勝手 5 9.6 施設1、マリンレジャー事業者2、団体3、商工会等1
港湾周辺が荒れている・殺風景 4 7.7 マリンレジャー事業者2、観光船1、商工会等1
飲食・宿泊の場所がない・遠い 4 7.7 施設1、マリンレジャー事業者2、観光船3、団体5、商工会等1
港湾自体の存在が知られていない 4 7.7 マリンレジャー事業者1、観光船2、団体1
集計対象票数(N=52) 施設4、マリンレジャー事業者19、観光船8、団体13、商工会等7
 
・ 「港湾の観光レクリエーション利用の促進で有効と思う方策」について全事業者・団体に聞いたところ、第一に「港湾の目的外使用への規制緩和」(25件)が挙げられ、続いて「海洋観光・マリンレジャーの共同的PR」(24)、「港湾を活用した多様なイベントの誘致・開発」(23)といったソフト施策関連の項目が、「海難救助体制や安全管理システムの充実」・「駐車場の拡充」(各21)を凌ぐ率でみられた。
・ 次に「漁協や臨海産業と連携した体験等の魅力づくり」(19)、「港湾を含むツアーや観光ルートの開発」(18)に続き、「海洋利用の『情報センター』づくり」・「地元のマリンスポーツ愛好者との連携」(各16)、「港湾の所在の告知・PRの徹底」(15)など、地元地域の産業や活動と上手くつなぐことに魅力化のポイントがあると認識されている様子がうかがわれる。
・ 市町村アンケートでは、「人にやさしい快適な港湾環境づくり(公園化)」とともに「港湾の目的外使用への規制緩和」が筆頭に挙げられ、「海洋スポーツ・レジャーの普及・理解促進」、「イベント誘致・開発」などが高位でみられることが、事業者・団体の認識とも共通している。
・ これらを総合すると、港湾・海域利用の活性化は、そのために新たな施設を整備すること以上に、すでにある地元の産業・施設・活動と港湾・海洋利用を一層明確につなぎ、「共同的な体制づくり・情報ネットワークづくり」の促進、港湾やマリンレジャーに対する理解促進を狙った情報戦略の展開など、ソフト面での施策を講じることの重要性が浮かび上がってくる。
 
■港湾の観光レクリエーション利用の促進で有効と思う方策【全事業者・団体】
選択肢 〜主要項目〜(複数回答)
港湾の目的外使用への規制緩和 25 40.3
海洋観光・マリンレジャーの共同的PR 24 38.7
港湾を活用した多様なイベントの誘致・開発 23 37.1
海難救助体制や安全管理システムの充実 21 33.9
駐車場の拡充 21 33.9
漁協や臨海産業と連携した体験等の魅力づくり 19 30.6
港湾を含むツアーや観光ルートの開発 18 29.0
海洋利用の「情報センター」づくり 16 25.8
地元のマリンスポーツ愛好者との連携 16 25.8
港湾の所在の告知・PRの徹底 15 24.2
港湾の公園的利用への開放 14 22.6
活動別の港湾の利用区分の明確化 13 21.0
港湾を含む交通ネットワークの充実 13 21.0
旅行会社等仲介機関への港湾・海洋の売り込み 13 21.0
温泉やグルメ等との連携 12 19.4
港のネットワーク化による海洋レジャーの促進 10 16.1
港湾までの案内標識等の充実 9 14.5
利用手続きの煩雑さへの対応 9 14.5
海洋や港湾にある低利用資源の開発 7 11.3
集計対象票数(N=62)







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