日本財団 図書館


編集に当たって
 我が国の経済発展に伴い, 国民の生活水準が向上するとともに都市型の生活様式が定着してきたが, 今後, 更に豊かさの実感できる国民生活の実現や地域経済社会の均衡ある発展を図るため, 生活に密接に関連した社会資本の充実が求められている。
 なかでも, 下水道の整備は国民の関心と期待も強く, 快適な生活環境の確保や公共用水域の水質保全はもちろんのこと, 若者の定住といった地域づくりの観点かちも, 地方公共団体にとって極めて重要な課題となっているところである。
 平成13年度末の汚水処理施設整備率は, 全国平均で73.7%となっている が, このうち人口5万人未満の市町村に限って見た場合, 49.4%と低い水準にとどまっており, 今後は中小規模の市町村における汚水処理施設整備の促進が求められている。
 また, 現在では, 公共下水道のみならず, 農業集落排水施設, 浄化槽などといった各種の汚水処理システムが普及しているので, 下水道の整備を進めるに当たっては, これらの多様なシステムの中から, 地域の特性に適した経済的かつ効率的な処理方式を選択して整備を進める必要がある。
 いずれにしても, 今後, 下水道の整備を積極的に進めていくことが期待されるが, それとともに, 下水道サービスを永続的に提供していくための事業経営も非常に重要な課題となっている。
 これまで, 下水道事業が公営企業であることについての理解が必ずしも十分でなく, 使用料が適正な水準より低く抑えられている例が多く見受けられる。この収入不足額等を補てんするため, 下水道事業へ一般会計が多額の財政負担をすることは, 将来の地方公共団体の財政運営への影響が懸念されることから, 今後は, より積極的に地方公営企業法の適用等により経理内容を明確化するとともに, 使用料水準を適正化し, 経営の安定化に努める必要がある。
 なお, 使用料は, 徹底した効率化, 合理化がなされていることを前提に設定されるものであることから, 建設費・維持管理費のより一層の削減に努める必要がある。
 本書は, このような現在の状況を踏まえ, 下水道経営の在り方の指針となるべく, 最新の内容により, 改訂を行ったものである。
 本書が広く関係各位に活用され, 下水道事業の健全な発展に資することができれば幸いである。
 
平成15年7月
下水道事業経営研究会







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION