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コーキングたがね
 ボルトのかしめ作業の仕上げに使われるものと考えます。鋼ボルトや銅ボルトの頭部を整形するもので一般的には角釘締を用いてました。鋼船(鋲接型)の外板コーキングのたがね様のものです。
 
 
尺杖
 
鉋均し定規
 
 2枚合せの理由は使う時は、外して両方の面を互に合せて、左右に移動させて、接面に狂いの空きが無い事を確めて、鉋の台ならしを行います。指金をも使いますが、曲っている場合は正確では無いから定木を使います。之は家大工さんも同様です。
 
補充される道具類
 永年を通して船大工職として有る場合は金物類も相当に消耗し新しく購入するものが有ります。
 バラメ鋸、平鉋、ダメ切のみ、鉞、手斧、錐類(半消耗品)・・・。
 手製では、ダメ切のみの柄、鍔のみの柄、鉋台、玄能の柄、鋸の柄、鉞の柄、手斧の柄、ボンコチ、・・・と多々です。
 
 昔も家大工さんがヒョイと片手で袋を肩に掛けて出かける姿も有りましたが、船大工のそれは道具が大量で重く、多くの職人は背負い型でした。但し底は板底の方が落付いて良いのですが、底の面積が大きいため、帆布を2重、3重にして布底にする人も有りました。
 
 
 
 この造船所で大工作業に必要として揃えていた工具類を少し拾って見ます。この他に木材運搬用の道具も若干あります。
1. 油圧ジャッキ
和船では当初、棚の取付とかが有る為に低い盤木に船体を乗せておきますが、船底ボルトなどの打込(下から)が有ったり、船おろしのためごろを差込む場合などで盤木を高くするので、之を使います。
2. チェンブロック 重い船底材の矧合せ、反転、移動などに使います。
3. 木挽鋸 先に説明した様、船底材の接手を挽くために
4. 万力
木工用のもので呼称 だるままんしゅう、と棒型のもの等3種の寸法別で多数が有った。
5. 錐 6分〜1寸8分など大きい経の手もみ錐と特に長いもの及びボトル頭専用の頭錐。
6. 片鍔のみ 船底材の矧合せ専用として鋼製(木柄なし)のものが特注品として2種あり。
7. 大ハンマー 前記の片鍔打込用として3kg程のものが有った。
8. 当て棒 銅鋲を使用した際、外部で鋲の頭部を当て押える道具(九鋼製)
9. 水平器 L600位のもの多数用意あり。
10. 鋲切 大型なので市販なく、特注品を用意していた。
11. 漆ねり機
外国製の様に記憶あり。鉢径約φ〜300φm/m手廻しで、かまぼこ摺り機様で1台が(卓上型)有った。
 
 戦後すぐ、この造船所から町の造船場へ今で云うアルバイトに出かけた先輩が云うには『材料などの使い方が我々が考えるより、とてもキビシク(あんた方造船所とは違うんだョ)と時々注意を受けた』と申してます。この造船所では大変と思った事以上に。小さな造船場は、まだ〃〃色々と、シビアーな事が有った様です。







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