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1998/04/08 読売新聞夕刊
日米防衛協力指針関連法整備大要の要旨
 
 政府が八日、与党に示した「新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の実効性を確保するための法整備の大要」の要旨は次の通り。(本文記事1面)
1、新法の概要
【目的】
 わが国周辺地域のわが国の平和と安全に重要な影響を与える事態(周辺事態)に際し、わが国が実施する措置、実施手続き、その他の必要事項を定め、わが国の平和と安全の確保に資する。
【基本原則】
 武力による威嚇または武力行使に当たるものではない。首相は基本計画に基づいて行政各部を指揮監督する。
【各活動の内容】
 〈後方地域支援等〉周辺事態に際し日米安保条約の目的達成のために活動している米軍に対し、わが国領域や戦闘地域とは一線を画された公海(輸送のみ)で行う物品や役務の提供等(補給、輸送、整備、衛生等)。物品の提供に当たっては、武器・弾薬を除く。戦闘行動に発進する米軍機への直接の給油等は行わない▽上記のほか、米軍への主体的活動への支援について検討中〈捜索救難活動〉周辺事態における戦闘で遭難した戦闘員を捜索救難するための活動▽わが国領域並びにわが国周囲の戦闘地域とは一線を画された公海及び他国領海(当該他国の同意のある場合のみ)で行うものに限る〈船舶検査活動〉周辺事態に際し、貿易等の規制措置の厳格な実施を確保するための国連安保理決議に基づく、船舶の航行状況の監視、船舶の積荷・目的地の検査・確認、同意を得ての乗船検査、必要に応じた進路変更の要請等を行う活動▽他国の活動海域とは区別された海域を指定して実施。
【周辺事態でわが国が実施する活動に関する基本計画】
 閣議決定された基本計画の定めるところにより実施する。〈基本計画に記載する事項〉基本方針▽後方地域支援等▽捜索救難活動▽船舶検査活動▽その他(実施区域の範囲その他実施区域の指定に関する事項を含む)〈捜索救難活動と船舶検査活動は、自衛隊の部隊等のみが実施〉
【自衛隊による後方地域支援等、捜索救難活動、船舶検査活動の実施】
 〈防衛庁長官は基本計画に従い具体的な実施区域を定め、首相の承認を得て自衛隊の部隊等に後方地域支援等、捜索救難活動、船舶検査活動の実施を命ずる〉〈中断・休止に関する事項〉
【関係行政機関による措置等の実施】
 関係行政機関の長は、法令、基本計画に従い、周辺事態での必要な措置をとる。
【国以外の者による協力等】
 関係行政機関の長は、地方公共団体の長に協力を求めることができる▽関係行政機関の長は、民間等に必要な協力を依頼することができる。
【国会報告】
 首相は、基本計画の決定または変更があった場合には、遅滞なく国会に報告する。
【武器使用】
 捜索救難活動、船舶検査活動を行っている者の生命等を防護するための必要最小限の武器使用に関する規定について検討中。
【その他】
 新法を受けて、自衛隊が任務遂行に支障を生じない限度で後方地域支援等、捜索救難活動、船舶検査活動を実施できる旨を自衛隊法に規定。
2、日米間の取り決め(日米物品役務相互提供協定改正)
【周辺事態への適用】
 日米物品役務相互提供協定を改正し、周辺事態に対応する活動に必要な物品、役務も自衛隊と米軍との間で提供できることとする。
【周辺事態に対応する米軍活動に必要な物品、役務の提供】
 周辺事態に対応する米軍活動に必要な物品、役務の自衛隊からの提供は新法に従う。
【武器・弾薬の提供】
 自衛隊から米軍へ提供する物品には、武器、弾薬は含まない。
3、自衛隊法改正
【在外邦人等の輸送】
 自衛隊が行う在外邦人等の輸送手段として、船舶と当該船舶に搭載された回転翼航空機を加える。隊員と現場の在外邦人等の生命等を防護するため必要最小限の武器使用に関する規定について検討中。
 
 
 
 
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