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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/04/09 読売新聞朝刊
[自衛隊PKO平和への試練]世界と日本第六部(4)ポル・ポト派説得(連載)
◆日本の指導力に期待も
 ポル・ポト派抜きのカンボジア総選挙が決定的となったさる三月中旬、米―タイ合同軍事演習がタイ北東のカンボジア国境付近で行われた。その演習のシナリオは、プノンペン政府軍とポル・ポト軍の戦闘が再開、国連平和維持活動(PKO)が撤退に追い込まれ、各地でポル・ポト軍によるベトナム人入植者の大殺りくが起きる。戦闘はタイ領内に波及し、ベトナム軍が入植者救出を名目に大規模に再侵攻する――というものだった。
 このシナリオは演習のためのあくまで仮定だが、二月のプノンペン政府軍によるポル・ポト派支配地区への総攻撃、最近頻発するポル・ポト軍によるベトナム人殺害事件をみると、総選挙後に、こうした事態が現実とならないとは言い切れない。ベトナム軍の再侵攻という時代の逆戻りはともかく、内戦拡大の図は十分想定できる。
 国連による平和再建を決めた一九九一年十月のカンボジア・パリ和平協定は、東南アジア諸国連合(ASEAN)にとっては、それまで強大な敵国だったベトナムを中心としたインドシナとの協力関係を可能にし、二十一世紀に向けて強固な経済力を持つ東南アジア建設への展望を開くものだった。いわゆる「戦場から市場へ」の構想だ。
 タイ軍部筋は「冷戦、中―ソ対立、ベトナムの膨張主義など複雑な国際政治の中で、プノンペン政府とポル・ポト派が鋭く対立していた。その間に、我々はシアヌーク派とソン・サン派を作り育てた。四派の主張や力関係の絡み合いの中でこそパリ和平協定ができたのだ」と語る。それだけに、ポル・ポト派を和平プロセスの核となる総選挙に引き込めなかったことに対する懸念は大きい。
 ASEANは今年一月、カンボジア総選挙前に大統領選挙を実施するとの共同提案を行った。これも、ポル・ポト派の受け入れ可能な大統領選を行い、ポル・ポト派を和平に参加させようとの努力の表れだった。ASEAN各国は今もポル・ポト派のパリ和平協定への復帰が最も重要であるとの認識で一致している。
 一方、国連の苦悩も強まっている。「テロや経済破壊行為が出始めた。熱い戦いから、陰惨な駆け引きに移ったが、これに対する用意が国連には出来ていなかった。対症療法で、しのぐしかない」と、カンボジア情勢を注視する安保理外交筋は、総選挙準備でエネルギーを使い果たした国連の“疲れ”を告白する。
 国連としては、とにかく選挙をやり遂げれば、満点とはいかなくても成果あったということになるが、選挙前にさらに混乱が拡大し、平和実現のキーパーソンと見られているシアヌーク殿下自身が「やっぱり選挙はだめ」とさじを投げたらどうなるか。「大変なことになる。パリ和平協定にある中立的な政治環境の保証を、選挙前に、明石康国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)特別代表が宣言できなくなる」と、別の外交筋も不安を隠さない。
 国連のガリ事務総長はパリ和平協定で決められた選挙三か月後のUNTAC展開期限切れのあとも、新政府の要請があれば、一部部隊を残留させることも示唆しているが、国際社会は初の日本人犠牲者も出た和平正念場の中で、日本の貢献の真価を改めて見定めようとしているのは間違いない。
 混乱の波及を一番恐れているタイの軍首脳は日本に対しこう注文をつける。「ポル・ポト派は鬼っ子であっても、追い詰めるようなことでは解決にはならない。日本はアジアの指導国として粘り強く同派の主張に耳を傾け、西側諸国とは違った立場をとって欲しい」
(バンコク・松永成太郎、ニューヨーク・山岡邦彦)
 
 
 
 
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