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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/12/21 読売新聞朝刊
[脱冷戦の次期防](上)「%」だけが独り歩き(連載)
◆肝心の「内容の論議」不足
 今回の次期防衛力整備計画(次期防)の策定に至る過程は終始、「裏街道」で進められたと言ってよい。本来なら、政府の安全保障会議(議長・海部首相)でなされなければならない議論が、大蔵省、防衛庁、自民党国防関係議員の間で非公式に展開したからだ。
 最終段階の十一日夕、防衛費総額をめぐる折衝のため、防衛庁の畠山蕃防衛局長が大蔵省に小村武主計局次長を訪ねた。
 小村「国際情勢は変わった。国民感情では二%台ですよ。伸び率は二・五%でいかがですか」
 畠山「せめて三・七か三・八%でないと、どうしようもない」
 二・五%だと総額は二十二兆四千億円前後、三・七%では二十三兆二千億円前後という計算だ。協議は五十分間に及んだが、歩み寄りは見られず、防衛庁に帰った畠山は「差は揚子江の幅くらいある」と嘆いた。
 そこで、自民党の倉成正安保調査会長、山崎拓同会長代理、谷垣禎一防衛政務次官らが十四日昼、防衛庁幹部と作戦会議を開き、折衝に乗り出してきた。
 十七日夜は国会近くのホテル、十八日夜は国会内で石川要三防衛庁長官、依田智治事務次官も加わった。大蔵省はようやく二・八%まで歩み寄ったが、緊張緩和を理由に転換点の次期防を迫る大蔵省の論理は強固だった。しかし、脱冷戦を迎え、正面装備では何が必要で、隊舎整備など後方部門にはいくらかけるかといった具体論は、本来ならば安全保障会議の中で展開すべきものだ。
 防衛庁は国防族を風圧に利用する反面、総額の論議を避けたため、肝心の安保会議で総額が直接テーマになったのは最後の二回だけ。防衛費の積算根拠を知らされていないメンバーの中からは「事務方が出してきた額が妥当か、こっちは判断する物差しを持ち合わせていない。せいぜい国民総生産(GNP)比でどれくらいか見るだけ」との不満も出たほどだ。
 総額論議だけではない。今回の次期防では、東西の劇的な緊張緩和を踏まえ、日本の防衛政策の指針としてきた防衛計画大綱との関係をどう位置づけるか、ポスト冷戦時代の日本の防衛のあり方をどう考えるかが問われた。ところが、この最も肝心な点も、国民の目から見て十分な議論が尽くされたとは言い難い。
 防衛庁が本格的な議論を避けたのは一つは通常国会の補正予算審議に影響を与えたくないとの理由。もう一つは「海部首相をはじめとする安保会議メンバーに対する不信感」(防衛庁筋)からだという。
 先月二十二日の安保会議後、橋本竜太郎蔵相、中山太郎外相、坂本三十次官房長官、石川防衛庁長官の関係四閣僚協議が衆院議員会館で開かれた。
 「次期防はとにかく抑制だ。国際情勢が変わったんだから防衛計画大綱も修正すべきだ」と強調する坂本長官。
 中山外相は「陸上自衛隊の定員は十八万人から十六万人に下げたらどうか」と発言し、石川長官はあっさり同調した。
 これを契機に防衛庁幹部は「抑制一辺倒」の四閣僚協議に案件を持ち込まなくなった。国防族だけに相談したと言ってもよい。総額をめぐる交渉は「国防族のメンツをどう立てるか」という次元の話になり、三・〇%の伸び率で決着した。
 五年前の現行中期防策定時は、「竹下蔵相と後藤田総務庁長官が組んで、中曽根首相の防衛費アップの方針に抵抗した」という証言もあり、政治家の協議のウエートが高かったという。今回のように、一貫して裏で取引したかのような印象を与えるのは、文民統制の観点から不明朗さを残したと言えそうだ。(敬称略)
 
 
 
 
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