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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1988/08/24 読売新聞朝刊
[社説]「軍縮」・「防衛努力」両立への視点
 
 ここ数年、防衛白書で「軍縮」に触れるページ数が、わずかずつだが増えている。
 私たちは五年前、五十八年版の白書が出た際に、軍縮努力の重要性を説明する記述がもう少しほしいと要望したことがある。「防衛」の目的が、平和と安定の維持にある以上、同じ目的で進められる「軍縮」も、白書が取り上げるべきだと考えたからである。
 さる六月に発効した中距離核戦力(INF)全廃条約は、米ソ両国が、既存の核兵器を初めて廃棄することを取り決めたという点で、歴史的なできごとだった。
 六十三年版の防衛白書が、この問題を取り上げ、これに対する政府の対応方針を明らかにしているのは当然である。
 白書が示す政府の考え方は、これまで私たちが折に触れて主張してきた考え方とほぼ同じであり、その基本は、現実を直視しながら憲法の範囲内で対応しようという姿勢だ。
 「INF条約とその影響」と題して、白書は、三つのポイントを指摘している。
 第一は、「INF条約締結のほか、戦略核の軍縮交渉など米ソ間において各種対話の促進が行われていることは、世界の平和と安定にとり歓迎すべきものである」として、前向きの評価をしている点だ。
 一部には、みせかけのソ連の平和攻勢に乗せられる恐れがある、との警戒論もあるが、私たちは、世界平和の実現をめざすうえで、この動きを否定してはならないと考える。
 ただ手放しの楽観が許されないことも当然だ。二つ目のポイントとして、白書は、「米ソを中心とする東西間の軍事的対峙(たいじ)関係は依然として変わるものではなく、今日の国際社会の平和と安定が、依然として核兵器を含む力の均衡に基づく抑止により維持されているという冷厳な事実を忘れてはならない」と述べている。
 米ソ対話の進展は、将来、東西関係の枠組みにも変化を生じさせる可能性を秘めているかも知れないが、それには、まだ相当な時間を要するだろう。
 INF条約によって廃棄される核兵器の量が、全体のわずか数パーセントに過ぎないことも考え合わせると、現時点で、ユートピア的な平和郷が地球上に直ちに誕生するかのような錯覚にとらわれるのも、危険である。
 この白書は、極東ソ連軍の増強やその活動の活発化についても指摘している。昨年の白書と比較した場合、ソ連太平洋艦隊の総数で五隻(五万トン)、爆撃機十機、戦闘機三十機がそれぞれ増えている。
 こうした背景から白書は、第三のポイントとして「わが国としては今後とも、限定的かつ小規模な侵略に有効に対処し得る効率的な防衛力を整備するとともに、日米安保体制を堅持することにより、あらゆる侵略を未然に防止していく必要がある」としている。
 軍縮と防衛努力−−。私たちは、複眼による両にらみを怠ってはならないと考える。
 しかし、防衛力整備に当たっては、防衛庁に特に注文しておきたいことがある。
 それは、徹底的に無駄を排して、効率的な防衛力を備えること、また、気をひき締めて、国民に信頼される自衛隊の維持に努めることである。
 
 
 
 
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