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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/09/24 毎日新聞朝刊
冷戦崩壊を反映、「外向き」安保に−−日米防衛新指針、日本有事から周辺有事に比重
 
 1978年の指針と比べて新指針の際立つ特徴は、「日本周辺事態」に関する比重を格段に高めたことだ。78年当時は「仮想敵国ソ連」の侵攻を抑止するという「日本有事」の対処に指針策定の主眼があったが、新指針は冷戦構造の崩壊という国際情勢と、それを受けて様変わりしつつある国内政治を反映。政府が憲法解釈上禁じる「集団的自衛権の行使」との線引きが不明確な領域に踏み込むなど、「内向き」の日米安保を大きく転換させる分岐点となりそうだ。
 78年指針策定の背景には、日本国内で70年代後半から強まるソ連の軍事的脅威への懸念があった。栗栖弘臣統幕議長による「第一線指揮官の判断で超法規的な行動をとることもありうる」(78年7月)との発言に象徴されるように、「ソ連脅威論」が台頭しつつあった。ところが、60年の日米安保条約改定後、日米間の防衛協力を定めた取り決めはもちろん、協議の場さえなかった。両政府は75年8月に防衛協力小委員会(SDC)の設置を決め、78年11月に指針を策定した。
 指針は(1)侵略を未然に防止するための態勢(2)日本に対する武力攻撃に際しての対処行動(日米安保条約第5条「日本有事」に対応)(3)日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力(同条約第6条「極東有事」に対応)――で構成。各項の研究や共同訓練などの実施を規定した。指針に基づき日本有事に関しては共同訓練が活発化し、共同作戦計画案の作成など研究の成果は上がったが、極東有事は指針自体の記述も少なく、研究も進まなかった。集団的自衛権の行使が国内の反発を招きかねず、両政府に二の足を踏ませたのが実態だった。
 一方、新指針は冷戦終結を受けて「日本有事」よりも、朝鮮半島有事などの「周辺事態」の可能性が強まることを想定した。日米の防衛協力強化を容認する国内の政治状況の流れも踏まえ、78年指針で「便宜供与」とした表現は新指針で「相互支援」と書き改められた。
【桜井茂】
◇1978年の指針と新指針◇
◆前提
◇78年指針
 研究・協議の結論は、両政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけない
◇新指針
 指針とその下で行われる取り組みはいずれの政府にも立法上、予算上または行政上の措置を義務づけない。しかし、おのおのの具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される
◆平素の協力
◇78年指針
 自衛隊と米軍は、日本防衛のための整合のとれた作戦を円滑・効果的に共同して実施するため、共同作戦計画の研究、共同演習と共同訓練を適時実施する
◇新指針
 両政府は、正確な情報と的確な分析が安全保障の基礎と認識し、アジア太平洋地域を中心に双方が関心を有する国際情勢についての情報と意見交換を強化するとともに、防衛政策と軍事態勢について緊密な協議を継続する
◆日本有事
◇78年指針
 日本は原則として限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する。独力で排除することが困難な場合には、米国の協力をまって、これを排除する
◇新指針
 日本は、日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する。その際、米国は日本に対して適切に協力する
◆日本周辺有事
◇78年指針
 日本以外の極東における事態で、日本の安全に重要な影響を与える場合に日本が米軍に行う便宜供与のあり方について、あらかじめ相互に研究を行う(極東有事)
◇新指針
 両政府は適切な取り決めに従い、必要に応じて相互支援する。協力例は(1)捜索・救難(2)非戦闘員を退避させるための活動(3)後方地域支援――など40項目
◆共同の取り組み
◇78年指針
 (なし)
◇新指針
 両政府は、共同作戦計画、相互協力計画について検討を行うとともに共通の基準と実施要領等を確立するため、包括的なメカニズムを構築する。両政府の関係機関が関与する
 両政府は、緊急事態においての活動に関する調整を行うため、調整メカニズムを平素から構築しておく
 
 
 
 
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