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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/12/20 朝日新聞朝刊
費用と効果で考えよう 日本の防衛(社説)
 
 航空自衛隊の先遣隊に対してイラクへの派遣命令を出した同じ日、小泉政権はさらに大きな政策変更を打ち出した。
 日本に向けて発射された弾道ミサイルを撃墜するためのミサイル防衛(MD)の導入。新しい防衛計画の大綱の策定方針。そして、より大規模なMDを日米共同で進めるための武器輸出三原則の見直しだ。
 いずれも日本の安全やそのための財政負担、アジアや世界との付き合い方を左右する課題だが、それにふさわしい議論が政府内でかわされたとは聞いたことがない。
 冷戦後の変化を踏まえ、日米の防衛協力をアジア太平洋へと広げた前回の大綱見直しから8年。日本をめぐる環境は激変した。北朝鮮の核やミサイルの開発。9・11事件が示した国際テロの恐怖。そうした脅威を日本人は深刻に受け止めている。
 今回決まった新大綱の策定方針は、着上陸侵攻に備えることを目的としてきた従来の組織や兵器体系の縮小と、新たな脅威に機動的に対応できる防衛力への転換をうたった。むしろ遅いくらいの決定である。
 専守防衛を国是とする日本にとって、防衛力は戦争に出かけるためのものではない。むしろ万一の事態にも国民の安全を守るための安心料というべきだろう。当然、防衛費の「負担」と、それで得られる安心という「給付」が見合うかどうかを納税者は厳しく監視しなければなるまい。
 さて、MDである。導入がとんとんと決まったのは、それだけ北朝鮮の脅威が意識されているからだろう。しかし、どれだけの撃墜効果があがるのかはまだ定かではないし、全土を守れるわけでもない。必要経費は最終的に1兆円にのぼる。
 この財政状況の下でどうしても必要だというなら、防衛費の他の分野をもっと大胆に削って振り向けるべきだろう。あるいは外交によって北朝鮮の脅威をなくしていくことができれば、それが最も賢い。必要なのはこうした複眼的な思考である。
 MDの予算化や武器輸出三原則の見直しの背景には、米国の要請もある。日本の企業が開発した部品を米国に輸出できるようになれば、それが組み込まれたMDがイスラエルなどにも流れる恐れが生まれる。
 紛争当事国には決して武器を輸出しない外交は、どこの国からも日本を敵視されないために役立ってきた。それを失うコストは、対米協力によって得られる利益に見合うのか。否であろう。
 新大綱では、海外での活動への参加を自衛隊の本来の業務に格上げするという。国連PKOも含まれるのだろうが、今回のイラク派遣のような活動を恒常的にできるようにするのが主な狙いであろう。
 脅威に対応して、米軍はいつでも地球規模で行動する。どこまでそれに付き合うのが日本の安全にとっていいことなのか。ここでも「負担と給付」という観点から、腰を落として考える時である。
 
 
 
 
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