日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/08/05 朝日新聞夕刊
米追従色濃く、見えぬ指針 柱に自衛隊派遣・MD 防衛白書
《解説》
 03年度版防衛白書は、小泉政権下で有事法制やイラク特措法が成立するなど安保政策が進んだことを受けて、これを機に自衛隊の存在価値を国内外で積極的に示そうとする防衛庁の意図がにじんだ内容になっている。だが「若葉マークを卒業する」自衛隊が、今後どのように自らの役割を規定するのか。白書からは、単独行動主義に走る米国へにじり寄る以外に明確な指針は見えてこない。(1面参照)
 今回の白書は、防衛政策をめぐる直近の出来事を単に網羅的に記述した従来のものとは異なり、「今後の防衛庁・自衛隊のあり方」という最終章を設け、将来の防衛政策の方向付けを打ち出そうとしたのが特徴だ。
 その最終章では、自衛隊の役割について「自衛隊は存在することで脅威への抑止効果を果たすだけでなく、いかに積極的にその任務を果たすかが問われる」と規定した。国際平和協力分野を想定し、政府内で検討が始まった自衛隊派遣のための一般法(恒久法)制定を意識した記述だ。
 だが、そのように自衛隊の役割を拡大する基準・原則については明確にしないまま、米国内ですらその正当性に疑問が出ているイラク攻撃を手放しで評価するなど、「唯一の超大国」と位置づける米国に追従する表現ばかりが目立つ。
 白書のもう一つの柱であるミサイル防衛(MD)でも、日本に早期導入を強く求める米国への配慮が読みとれる。防衛庁は04年度の予算にMDの導入経費を盛り込む方針で、白書でも小泉首相の日米首脳会談での言葉を引いて「日米同盟の信頼性の強化に資する」と位置づけた。
 浮かび上がるのは、日米同盟の現状にあぐらをかかず、目に見える形で米国の主張する「有志連合」に参加しなければならないという焦燥感だ。
 しかしブッシュ流外交政策が国際社会をリードし続けられるのか、今の米国に従うことが本当に国益にかなうのか、といった疑問はぬぐえない。日本が国際社会でどのような役割を果たし、防衛政策の全体像をどう描くのかといった像は欠落している。
(佐藤武嗣)
◇防衛白書の主なポイント
 5日の閣議で報告された03年度版防衛白書の主なポイントは次の通り。
【米国】
 米国は唯一の超大国として、国際社会における優位を維持している。圧倒的な国力を背景に、国際関係は米国を中心として新たなものになりつつある。冷戦時代には、同盟の存在そのものに価値があったが、米国にとっての同盟の価値は、同盟そのものだけではないとの指摘がある。米国などによるイラクへの軍事行動は、安保理が有効な手段をとれない場合には、脅威を放置するという妥協的な態度をとらず、断固たる手段をとるという米国の強い意志と能力を示した。
【北朝鮮】
 昨年来、北朝鮮による核問題に対して再び国際社会の懸念が高まっている。北朝鮮の行動は、意図的に緊張を高めることによって見返りを得ようとする瀬戸際政策との見方がある一方で、最終的な目的は核兵器の保有であるとの見方もある。過去の核兵器開発疑惑が解明されていないことに加え、既に北朝鮮の核兵器開発が相当に進んでいる可能性も排除できない。
【有事法制】
 有事法制は、これまで研究すること自体が戦争を招くのだとする議論が見られ、十分な議論が行われてこなかった。しかし、幅広い支持を得て武力攻撃事態対処関連3法が成立した。活発な議論を通じての国民の理解の深まりを受け、与野党の幅広い合意が形成されたという点で、我が国の防衛政策にとって歴史的転換点であるといえよう。
【国際平和協力】
 自衛隊の国際平和協力は国民から十分に理解され、かつ期待される活動であり、自衛隊の主要な活動の一つになった。いわゆる「若葉マーク」を卒業する時期に来た。今後、今まで以上に困難な任務を的確に遂行することが求められていることを自覚すべき時期に来た。自衛隊は存在することで脅威に対する抑止効果を果たすだけでなく、いかに積極的にその任務を果たすかということが問われるようになってきている。
【今後の防衛力整備】
 我が国として「危機に強い国家」「国民が安全・安心に暮らせる国家」を作ることは重要。今後は、国際テロやミサイル攻撃などの「非対称的な攻撃」などにも十分考慮した対応能力の充実・強化を図っていく必要がある。自衛隊の現体制では「非対称的な攻撃」に対処する能力は不十分なものも少なくなく、これらの能力獲得が必要。冷戦が崩壊して10年以上がたち、近い将来、我が国に対する大がかりな着上陸侵攻の可能性は低いと考えられる。本格的な着上陸侵攻に備えた装備などは規模縮小を検討する。
【ミサイル防衛】
 国際社会において急速に弾道ミサイルの拡散が進み、アジアでも多数の弾道ミサイルが配備され、我が国を射程に収めるものもあると考えられる。弾道ミサイルの脅威にいかに対処するかが重要な課題。弾道ミサイル対処を想定した有効な防衛システムを日本が保有していないという現状を踏まえると、ミサイル防衛(MD)は我が国の防衛政策上の重要かつ喫緊の課題である。現在実施している日米共同技術研究を引き続き推進するとともに、我が国のMDに関する技術的進歩などを踏まえつつ、研究・検討を加速化させていくことが必要である。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
14位
(28,844成果物中)

成果物アクセス数
432,030

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年5月20日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から