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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/06/15 朝日新聞朝刊
軍隊へ、が狙いなのか イラク特措法(社説)
 
 自衛隊をイラクに派遣するための特別措置法案が、国会に提出された。
 私たちは先週、五つの理由をあげて法案は支持できないと主張した。「まず派遣ありき」ゆえのずさんさや、首相判断の危うさはその後も次々と表面化している。
 小泉首相は法案の閣議決定を前に、修正に応じた。自衛隊の活動のなかから「大量破壊兵器(WMD)処理の支援活動」を削ったのだ。自民党から「WMDが見つかっていない」のに書き込むのはおかしい、という異論が出たためだ。
 米英両国はイラクの隠し持ったWMDの廃棄を戦争の大義に掲げた。その大義を信じればこそ、首相は戦争を支持したし、法案にも書き込もうとしたはずだ。それを、いとも簡単に修正してしまった。
 法案は「イラクの復興」への協力を目的に掲げた。だが、この派遣が戦争の後始末への協力であることは隠しようもない。
 この修正で法案を認めた自民党も自民党だが、もう戦争の正当性などどうでもいいから自衛隊を、と言わんばかりの首相の姿勢は指導者としての資質を疑わせる。
 自衛隊は一体、イラクのどこに送られるのだろうか。
 南部は比較的落ち着いたとされるが、首都の北では米軍が新たな掃討作戦を続けている。首都陥落後も米兵の死者はやまない。民衆に対する銃器狩りも思うに任せない。「全土がまだ戦闘地域だ」と現地司令官は言う。
 自衛隊を出せるのは「非戦闘地域」に限られる。そこで石破防衛庁長官が持ち出したのが、「戦闘」とは「国または国に準ずる者による組織的、計画的な武力の行使」であって、自爆テロや略奪などをきっかけにした住民間の衝突があっても「戦闘地域」ではないという新解釈だ。苦し紛れが透けて見える。
 活動中に攻撃を受け、武器を使って対処しなければならないような恐れが小さくないなら、自衛隊員の安全のためにそれなりの用意が必要ということになる。
 国会対策への配慮から武器の使用基準の緩和は今回見送られたが、携行する武器の強化が早くも政府内で論議の的だ。
 自衛隊から死傷者が出た場合の対処や、相手を死傷させた場合に法的にどう処理すべきなのかも考えざるを得なくなろう。
 これらは、日本がこれまで真剣に考える必要がなかった問題だ。自衛隊は憲法上、外国での武力行使を許されない、つまり普通の軍隊ではない。カンボジアやゴラン高原で国連の平和維持活動を重ねてきたとはいえ、いまのイラクのような危険にさらされたことがない。
 小泉首相は、自衛隊を普通の軍隊にするための憲法改正を説いてきた人だ。イラク派遣には、日米同盟の下で、そうした方向への一歩を踏み出したいという思いが込められているのだろうか。
 
 
 
 
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