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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/12/05 朝日新聞朝刊
これは納得できない イージス艦(社説)
 
 小泉首相がイージス護衛艦をインド洋に派遣することを決めた。
 アフガニスタンでのアルカイダ掃討作戦を助けるため、自衛隊はパキスタンの沖で米英などの艦艇への給油活動を続けている。その護衛にあたる旗艦を現在展開中の従来型からイージス艦へと交代させる。
 この活動にイージス艦を送るべきか否かは、1年前のテロ対策特措法成立当時から議論の的になってきた。航空機やミサイルを探知し、情報を解析し、攻撃する能力が従来型に比べてけた違いに高いためだ。
 1隻で探知できる範囲は通常型の5倍に当たる半径約500キロ。しかも、200以上の飛行物体を同時に探知できる。
 いまでも、自衛隊の護衛艦は米軍とデータを共有している。イージス艦を投入すれば、その豊富な情報を利用して米軍が武力行使を行う、つまり憲法が禁じる集団的自衛権の行使に結びつく可能性が高まるという理由から、与党内にも反対論が根強い。だからこそ、米政府からの強い要請にもかかわらず、政府は派遣を見送ってきた。
 強力な冷房装置をもつイージス艦は、酷暑の海域での居住性に優れている。5カ月ごとに交代している旗艦の一角にイージス艦を加えることで運用が楽になる。防御機能が高いから給油活動の安全性が高まる。政府は方針転換の理由をそう説明する。
 しかし、これではなぜいま転換なのかの十分な説明にはなっていない。
 イラク情勢が緊迫している。これから数カ月は米軍の攻撃がいつ始まってもおかしくない時期だ。イージス艦がインド洋で活動を始めるのはそのさなかである。
 日本は法的にはイラク攻撃への支援はいっさいできない。自衛隊が給油活動をしている海域はイラクから約2千キロも離れているし、データを共有しても集団的自衛権行使にあたる活動は考えられない。防衛庁はそう主張する。
 しかし、対テロ戦支援を目的に日本が高性能の艦艇を投入すれば、イラク攻撃に向かう米軍の負担を減らすことになる。米政府はそこを評価するだろう。
 与党内の抵抗を押し切った首相の決定にはそんな判断が読みとれる。経済や日朝問題が思うに任せないなかで、決断力を誇示する狙いもあったのかもしれない。
 攻撃の正当性やアラブ世界への影響をめぐって国際世論は割れている。明確に武力行使を容認した国連安保理決議があるわけではなく、イラクの大量破壊兵器による脅威が切迫しているわけでもない。
 政府はイラク攻撃について「仮定の話だから」という理由で、国民への態度表明を避けてきた。それでいて、対米支援の色濃いイージス艦派遣を決めるのは、攻撃を構える米国の背中を押すようなものだ。
 自衛隊の活動はどこまで広がるのか、国民の不安は深い。それをぬぐうだけの説得力に乏しい派遣である。
 
 
 
 
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