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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/12/01 朝日新聞朝刊
文民統制の空洞化だ 自衛隊派遣(社説)
 
 文民統制の原則は、民主主義の根幹である。それが、ここまで空洞化したことに強い危ぐを覚える。
 テロ対策特別措置法に基づく、国会での自衛隊派遣の承認のあり方である。
 中谷元・防衛庁長官が自衛隊に派遣命令を出してから2日後、政府は自衛隊が米軍支援や難民支援にあたる基本計画などの承認を国会に求めた。テロ特措法に基づく国会による事後承認の手続きである。
 けれども、その審議は国権の最高機関によるチェックというには、ほど遠い内容だったといわざるをえない。
 派遣される自衛隊の具体的な活動区域や活動内容などは、事後承認にあたって吟味すべき眼目だろう。ところが、これらは自衛隊派遣の枠組みを定めた基本計画や実施要綱では明らかにされていない。
 国会審議でも政府は「自衛隊の活動があらかじめ明らかになると、米軍の作戦行動にも支障をきたす」と主張して、「お話しできない」「調整中で答えられない」などと質問をかわすことに終始した。
 これでは議論ができようはずもない。いったん防衛庁長官の命令によって派遣された以上、米軍と共に具体的にどのように行動するかは「行政の裁量」に属する問題であり、高度な軍事機密である、という意識が自衛隊側には強くうかがえる。
 しかし、それはおかしい。戦前の軍隊と違って自衛隊は厳格な文民統制下での行動が義務づけられている。その行動内容については明確な説明責任がある。
 例えば自衛艦が燃料を洋上補給する相手の米艦艇は、アフガニスタンに向かってミサイルを発射する艦艇なのか。憲法が禁じる武力行使との一体化との関係を左右する情報さえ示されないのでは、国会のチェック機能が働く余地はないに等しい。
 米国防総省では毎日、約1時間、統合参謀本部の作戦副部長らが前日のアフガニスタンでの軍事行動や参加部隊の概要、作戦目的などを記者団に説明している。米軍に都合のよい情報操作もあるに違いないが、国民は少なくとも軍事展開のあらましについての情報を得ることができる。
 自衛艦の活動情報を開示して、米軍の行動にどんな支障があるというのか。いたずらな秘密主義は、育ちつつある自衛隊に対する国民の信頼感に水をかける。自衛隊の独断専行に対する内外の警戒感を増幅させることにもなるだろう。防衛庁と自衛隊は、そのことに気づくべきだ。
 衆参両院での事後承認の採決をめぐり民主党から造反者が出た。自衛隊の具体的な活動区域すらわからないで承認することには無理がある。テロ特措法の審議段階であれほど事前承認にこだわった鳩山由紀夫代表が、事後承認の国会審議が始まる前から賛成を公言していたのは解せない。
 国会の空洞化に手を貸した、と言われても仕方あるまい。
 
 
 
 
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