A 小泉首相は「どこで戦闘が起きるかわからない。無限定だ」と言った。法案ではあらかじめ決めようがないということだろう。すでに戦場になっているアフガニスタンに自衛隊が入ることはありえない。政府は、自衛隊の活動地域として、隣国のパキスタンを想定している。
だけど、もし、オサマ・ビンラディン氏がアフガン国外に逃亡したり、米国が同時多発テロの支援国がほかにもある、と認定したりすれば、戦闘は飛び火するかも知れない。ゲリラが国境を超えて組織的なテロを起こす可能性もある。テロには、あらかじめここだ、と言い切れる「戦場」はない。
A 法案には「戦闘行為が行われておらず、かつ、活動期間を通じて戦闘行為が行われないと認められる地域」と書かれている。周辺事態法の「後方地域」の概念を援用した表現だ。現地政府の同意も条件にしている。また、米軍が将来、かりにイラクを攻撃したとしても、「ビンラディン氏がイラク国内にいなければイラク攻撃作戦の支援は無理だろう」と言う外務省幹部はいる。
A 活動が想定される地域に調査団を送り、現地政府と話し合う。そのうえで、実施区域の範囲や内容を基本計画に書き込む。法案では、基本計画は閣議決定して国会に報告することになっている。民主党などは国会がチェック機能を果たすため、事前承認とするよう修正を求めている。
A たとえば、インド洋のディエゴガルシア島(英領)には米軍基地がある。ペルシャ湾やアラビア海に展開する空母部隊などへの支援拠点だ。難民支援では、アフガンに隣接するタジキスタンもあるかもしれない。パキスタンについては、大勢のアフガン難民が流れ込んでおり、法案の成立を待たずに、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づいて、自衛隊のC130輸送機が救援物資を運び込んだ。
A 確かにそうだ。アフガン国境近くや難民キャンプでは、武装ゲリラが紛れ込んでいてもわからないだろう。反米デモも各地で起きている。外務省は「どこが危険でどこが安全か、今は断定できない。でも、実際の戦闘行為が起きる蓋(がい)然性があるかどうか、となれば現地調査で判断はつく」と言っている。国境付近で戦闘や組織的なテロが起きそうなら、例えば、イスラマバードに物資を輸送して国際機関に引き渡したり、国境から離れた地域で医療活動をしたりすることを想定しているようだ。
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。