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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/06/02 朝日新聞朝刊
「日本の防衛」超える提案 ミサイル研究、米が拡大構想<解説>
 
 ブッシュ米政権のミサイル防衛拡大構想にどうかかわるのか。日本は戦域ミサイル防衛(TMD)の共同技術研究を進めてきたが、新たな構想への関与は、技術面でも基本理念の面でも、根本的な見直しを迫られる可能性をはらむ。(1面参照)
 米国が共同研究を打診してきたイージス艦の装備についての分野は、新しいミサイル防衛構想の柱の一つである「ミサイル上昇段階での海上発射による迎撃」に関連するのかどうか注目される。
 打ち上げられたミサイルが上空でおとりの弾頭を放出すると、本物との見分けが難しい。識別しやすい発射直後に、相手国に近い海上から迎撃ミサイルを撃てばより効果的、という理屈だ。
 しかし、日米が2年前から共同研究している海上配備型上層システム(NTWD)は、同じ海上発射でも、ミサイルが下降する段階で迎撃するもので、技術的に異なる。防衛庁には「予算を投入してきた研究を今さら変えると言われても困る」との声がある。
 さらに深刻なのは、TMDと米本土ミサイル防衛(NMD)が一体化されることで、日本がミサイル防衛に加わる基本理念が揺らぐことだ。
 日本政府は、米本土を守るNMDと同盟国を守るTMDは「技術的にまったく別物」として、TMD研究に参加してきた。米国が両者の一体化を表明した後も「あくまでも日本の防衛が目的」と強調している。
 しかし、米国の国防政策に詳しい森本敏・拓殖大教授は「米国の構想は地球のどこからミサイルが飛ぼうが、これを迎撃するシステムを米国と同盟国で作ること」と指摘する。日本に飛んでくるミサイルだけ撃ち落とせばいい、という論理は成り立たない。「集団的自衛権の行使そのもの」(森本教授)になる。
 もともとミサイル防衛は技術的に難しいとされる。「大量のミサイルが同時に飛来した場合、迎撃成功率が20%から30%でも『効果』がある」。米政府高官は非公式に日本側にこう伝えている。実際の迎撃能力より、構想を表明し、研究を続けること自体が、ミサイルを持つ国家への抑止力になるとして、政治的、軍事的意義があるという見方は強い。
 ただ、米国内でも計画への疑念は根強くある。上院の軍事委員長に、計画に懐疑的な民主党議員が就任する予定でもあり、実現の可能性自体が微妙との見方もある。
 こうした中で、田中外相のミサイル防衛計画への批判も表面化した。日本政府が計画に支持ではなく「理解する」という、あいまいともいえる姿勢を示しているのは、米国の世界戦略に加わるのかどうか、まだ判断がつきかねているからだ。
 今月末には日米の首脳会談が行われるほか、外相や防衛担当閣僚による会談も検討されている。まずは米構想の全体像を確認し、日本が付き合える限界はどこまでかを明示すべきだろう。
(政治部・栗原健太郎)
<NMDとTMDの一体化>
 米国はクリントン前政権で、長距離ミサイルから自国を守るNMDと、中・短距離ミサイルから同盟国や駐留米軍を守るTMDに分けて研究してきた。飛んで来る中距離ミサイルの最高速度は秒速約3キロだが、長距離ミサイルは同7キロに達するため、NMDの方がTMDより技術的にはるかに難しいとされた。昨夏にNMDの実験に失敗し、クリントン大統領は配備決定を先送りした。
 しかし、大統領選でNMDの早急な配備を主張したブッシュ大統領が当選し、ミサイル防衛構想に積極姿勢を打ち出した。ただ、「NMDは米国の防衛だけが目的」という欧州同盟国の批判を受けて、TMDとNMDを一体化。ブッシュ政権内には、同盟国と協力して世界各地に迎撃体を配備する構想がある。
 <イージス艦> 航空機やミサイルなど数百キロ先の標的を識別し、同時に10以上の目標を迎撃できるイージス・システムを搭載する最新鋭の艦艇。ミサイルの探知から情報処理、応戦までコンピューターが自動制御する。海上自衛隊は4個護衛隊群に1隻ずつ、計4隻を持っている。
 
 
 
 
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