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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/01/30 朝日新聞朝刊
安保の枠 船舶検査や捜索に縛り(ガイドライン法案Q&A)
 
 Q ガイドライン関連法案で、政府は「日米安保条約の枠をはめる」と言い始めたようだけど、どういうことなの。
 A ちょっとややこしいんだけど、一九九七年九月に、二十年ぶりの改定があって、いまのガイドラインができた。これは日米間の条約ではない。一種の申し合わせのようなものだけど、それを実施する根拠になるのが、いま国会にかかっている法案なんだ。
 Q 日米防衛協力のための指針だから、安保条約の「枠内」というのは当たり前じゃないの。
 A そこが難しいんだが、ガイドラインには様々な活動が盛り込まれている。その一つが「後方地域支援」だ。物資の補給や武器・弾薬の輸送など米軍の活動への支援だね。
 そのほかに、日米両国が「主体的に行う活動」という項目を入れたんだ。これがくせ者でね、「主体的」と言うんだから米軍と直接関係なく、自衛隊つまり日本独自でやる活動だ。国会でよく取り上げられる「船舶検査」や「捜索・救難活動」はこれに入っている。
 Q どうして、主体的活動なんて項目を作ったの。
 A ガイドライン改定のきっかけは、九三年の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発疑惑。米国は有事に備えて、日本に協力を求めたんだけど、安保条約では「施設の提供」しか規定がなく、断念せざるをえなかった。同時に、政府の一部には九〇年の湾岸危機の教訓から、自衛隊の活動範囲を広げたいという思いがあったんだね。だから、船舶検査や捜索・救難ぐらいは「主体的」にできるようにしようとね。
 Q 米軍と関係なくというんじゃ、世界中で自衛隊が活動するのかい。
 A 小渕恵三首相は「中東、インド洋、地球の裏側は考えられない」と言ってる。でも、自衛隊の役割や日米安保条約を事実上拡大しようとしているんじゃないか、という疑問はでる。国会で野党が追及している点はそこなんだ。
 Q ああ、そうか。それで「安保の枠をはめる」という……。
 A そういうことなんだ。だから、首相も二十九日の衆院予算委員会で「法案は安保条約の目的の枠内であり、これを超えるものでない」と答弁した。「枠内」と言い切ることには、二つの意味がある。船舶検査と捜索・救難は米軍と一緒に活動しない限りはできなくなる。また、周辺事態の範囲が、安保条約などが定める「極東及びその周辺」を超えないことを認めることになる。
 Q すべて安保条約の枠内に収める修正なんてできるの。
 A 政府は昨年春の法案準備段階で、「安保条約の目的達成のために」という言葉を入れようとした。でも、内閣法制局が「船舶検査と捜索・救難は、安保条約とは別の概念です。矛盾が起きる」と主張して、断念したんだ。
 Q では、これからどうするの。
 A 方法は二つあるようだ。ひとつは、法案の前文に、精神的、政治的な意味合いで「安保条約の枠内」をうたう。自衛隊の活動範囲が広がる可能性は残るけど、政府が「法律を運用するとき、自衛隊の活動を広げるようなことはしませんよ」と約束することだ。
 もうひとつは、船舶検査と捜索・救難の各条項に「安保条約の目的達成のため」とか「安保条約の趣旨にのっとり」という一文を加えるやり方だ。こうすると、「主体的活動」自体を否定し、理論的にも自衛隊の活動は広がらないというわけだ。
 
 
 
 
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